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第97話 間道の戦い

洛陽(らくよう)・間道付近――――――



「あれが敵の残党ぞ 討ち滅ぼせェ!!」



 洛陽や河南(かなん)から出っ張ってきた晋軍は俺の軍を主力だと勘違いして攻撃を開始。


 たった5千の騎兵で万の大軍を相手するのだ。勝つことよりも被害を最小限に留めつつ、宜陽(ぎよう)撤退の時間稼ぎをするのが目的なのである。


 そこで劉綏(りゅうすい)王忠(おうちゅう)曹恂(そうじゅん)平先(へいせん)にそれぞれ千騎を率いさせて洛水(らくすい)に沿うようにして散らせ、先ずは敵の攻撃を分散させた。


 そして退路を確保すべく劉雅(りゅうが)劉暉(りゅうき)、2人の弟にそれぞれ騎兵2百を与えて宜陽(ぎよう)へと続く間道に向かわせた。


 自軍があちらこちらで死闘を繰り広げている中、手薄になっていた本隊に敵の一部隊が此方に突っ込んでくるのが見えた。


 特に先頭を駆けている全身黒づくめの将は一際異彩を放っていた............

 白いマントや馬の尾のような兜飾りが風に靡き、鎧の色も相まって歴戦の将に見えた。


 矢の如く飛んできた黒づくめの将は二振りの湾刀を振りかぶると兵の首や腕が次々と宙を舞う。



「晋軍にも中々強いのがいるじゃないか」



血気にはやった俺は神剣を振りかざして敵将に一騎討ちを仕掛ける。



「白銀の将..............ッ!?」



「ハァ!!」



バキンッ



間合いを詰めて神剣を叩きつける。



黒づくめの将はこの急襲に動揺の色を見せる。



「突然の急襲には弱ぇみてぇだな」


「.............ッ」



(よしッ これで敵の隊列が止まった)



 先頭がどん詰まりになった事によって後続の軍も停止した。

 どん詰まりになって餅のように固まる晋軍を見た俺は全軍に下知した。



「かかれェ!!」



「「うォォォォォォォォ!!!!」」



散らばっていた漢軍が蜂の如く晋軍に群がり四方八方から矢を浴びせる。


 次々と矢が晋兵を貫く中、黒づくめの将にも矢が当たった。肩口を射抜かれた彼は痛む素振りすら見せずに退却していった。

 それに釣られるようにして他の晋軍も河南や洛陽へ引き返していったのだった。


 損害は戦死が4百余り、戦傷が8百余りとなった。そして約半日の時間稼ぎによって劉聡は無事間道を抜け、俺も晋軍が退却した事によって全軍纏めて間道から宜陽に退いた。

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