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第7話 迫る危機

304年11月・太原国(たいげんこく)――――――


 征北将軍(せいほくしょうぐん)聶玄(じょうげん)上党郡(じょうとうぐん)の守りを司馬瑜しばゆに任せると、自らは屯留(とんりゅう)に立ち寄って2万の兵を引き連れると太原国への侵攻を開始した。


 太原国は紀元前247年、秦将(しんしょう)王齕(おうこつ)(ちょう)侵攻の際に獲得した地域で西を呂梁山脈(りょりょうさんみゃく)、東を太岳山脈(たいがくさんみゃく)に挟まれた要地となっている。

 

 古来から匈奴(きょうど)を含む異民族にとっては中原(ちゅうげん)へ攻め入る為の拠点となり、また漢族(かんぞく)にとっては中原を異民族から防衛する為の拠点となっていた。


 「郡内にいる胡族(こぞく)は老若男女問わず皆殺しせよ!! 奴らは(むし)と思え!! 1匹でも殺し損ねれば再び数を増やして国内に居座るであろう!!」


 太原国の中都(ちゅうと)京陵(けいりょう)()の3県を続け様に攻め落とした。

 この3県には僅か数千足らずの漢軍が守っていたに過ぎず晋軍が迫ってくると城から打って出て戦うも、機動力に勝る聶玄軍に翻弄されまくって敗走してしまったのだ。


 生き残った漢軍の残兵や3県の胡漢(こかん)の民は付近の山々や小川に逃げるも、追撃してきた晋兵によって虐殺されていったという.........山は(かばね)で埋まり、川は血によって朱く染まった。


 3県を落とした後、聶玄軍は北西に進路を変えた。汾水(ふんすい)を渡り大陵(だいりょう)に進出すると砦を築いてその地に留まったのだ。



――――――西河国(せいがこく)左国城(さこくじょう)


 3県陥落の報せを受けた劉淵(りゅうえん)は夜中にも関わらず直ぐに丞相(じょうしょう)劉宣(りゅうせん)太尉(たいい)劉宏(りゅうこう)を呼び出した。


「敵は中都、京陵、祁を攻め落として北西の大陵に居座ってる。恐らく敵の思惑はこの晋陽(しんよう)からの増援を待っていると思われる。増援が加わり次第、再び軍を動かしてきましょう」


「大陵からこの左国城まで約3日の道程じゃな。3日間のうちに守りを固めねばならんな.........」


 広間の中央に拡げられた地図を剣を指示棒代わりにして説明する鎧姿の劉宏、そしてその横で険しい表情をしながら立派な白ひげを撫でる劉宣.......


「丞相は籠城策をとるおつもりか? 晋陽にいる晋軍が合流すれば数は6~7万には膨れ上がる。それゆえに籠城は下策かと思うが..........」


 太尉とは今で云う国防大臣に相当する。劉宏は并州(へいしゅう)の各地に斥候(せっこう)を派遣して情報の収集にあたっていた。

 そして得た情報を元に漢軍にとってより良い策を編み出すのが仕事であった。そんな彼が籠城は下策だと言うのだ。


「大王様 籠城は下策ならば打って出て戦うしかありますまい。この劉宏が敵を食い止めてみせます。されど我らは各地に派兵して御座いますゆえ、少数での迎撃となりますが........」


「太尉が討ち死にしては先行きが危うくなる故、わしが出よう。わし自らが陣頭指揮を執れば士気も上がろう」


「劉淵殿!! 貴殿こそ討ち死にでもされたら一大事にございますぞ。この老いぼれの今までの努力を無にするおつもりか!!」


 劉淵の提案に劉宣は猛反対する。

 劉淵の有能さとカリスマ性を警戒した司馬一族は匈奴へは帰さず洛陽(らくよう)(ぎょう)に留め置かれていた。

 そんな劉淵の代理として匈奴の地を治めていたのが劉宣であった。そして劉淵が漢を建国できたのも彼の策謀があってこそであった。



――――――それゆえに劉淵はこの老いぼれに頭が上がらないのだ..........



「.........太尉・劉宏に命じる!! わしの名代として3万の兵を以て大陵に侵攻中の晋軍を討伐せよ!!」


「御意!!」



 翌朝、劉宏は3万の軍勢と共に左国城を発した。劉淵は左国城の南方の離石(りせき)まで見送ったという。

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