第45話 過去に倣う
東谷関・本陣――――――
東谷関前面で激戦が繰り広げられる中、本営では武牙将軍・劉欽が手勢5千余りの兵と共に関を守っていた。
そして宋抽軍が攻撃を仕掛けてくると死に物狂いで抵抗するも押され気味になっていた。
そんな中、味方の苦戦を知ってか、知らぬか劉欽は陣幕に篭もり配下と碁を打っていた...........
「...................そろそろ不味いな 味方が押され始めている」
「東谷関前面の戦いもジワジワではありますが押されております。喬晞将軍が討ち死にして副将の平先が残兵をまとめて戦っておりますが、統率に不慣れなようで度々、劉曜軍が援護している形です」
パチッ パチッと碁石を置く音が響く中、副将の劉盛はそう劉欽に報告する。
「劉曜と劉景はどうだ?」
「まず劉景将軍は石宇慶と石尟の猛攻を受け、軍の一部を残して北の山林に退いております............さらに劉曜将軍に至っては軍を配下に任せて簫叡と一騎討ちをしております」
一騎討ち............その単語を聞いた劉欽は碁石を置く手を止めた。
「劉曜は何故、一騎討ちなどしているのだ!?」
「劉曜将軍と簫叡は知己と聞きます.............敵となったかつての友を自らの手で討ち取りたいということでしょう」
「血気に逸りおったな劉曜め 直ぐに左右の兵をやって止めさせよ!! 奴に死なれては漢王に合わせる顔が無くなるばかりか、漢の未来まで潰える!!」
「御意、直ぐに手配致します。それとこれは内々の話ですが..............」
「?」
劉盛は劉欽の傍に移動するとソッと耳打ちする。
「...........大司農の卜豫の話によれば離石内の食糧がもうじき底を突くとのこと 残念ながら飢饉は免れぬ状況とのことです」
「フッ 勝っても負けても地獄は避けられないってか.............だが戦が長引けば更なる地獄を見ることになるな」
「左様、ですので短期戦に持ち込むのが良いかと.............兵を派遣して探らせたところ臨汾と平陽の中間地に兵糧を貯め込んでる砦があることが分かりました。そこを奇襲して焼き討ちにすれば敵は自ずと退くでしょう」
劉欽はこの提案に頷いた。
こうして劉盛は精兵を率いて南下すると3日後に平陽近郊に到着。
かつて曹操対袁紹がぶつかった官渡の戦いは曹操軍が圧倒的に不利だった。
しかし袁紹軍の兵糧がある烏巣を焼き払うことで勝利を得た。今の漢軍は曹操軍に倣おうとしていたのだ。
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