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第30話 協議

離石・朝堂―――――― 



 「喬晞(きょうき)は何を考えておるだ!! わしの王道をなんと心得ているのか!!」



 深夜、漢王・劉淵(りゅうえん)の怒声が宮中に轟く。

 器量が大きく滅多に怒ることがなかった父がここまでの怒りを露わにしたのは初めてであり、事の重大さを物語っていた。


 直ぐに百官に招集がかけられたが、丞相(じょうしょう)劉宣(りゅうせん)は ”火急の用につき、百官の意見など不要“ という言葉により、喬晞の処遇は劉淵、劉宣、劉宏(りゅうこう)によって協議されることになった。



そして、その席には何故か 俺も呼ばれていた――――――



「漢王 先ずは落ち着きなされ 激昂していては判断を誤りますぞ」


「これが激昂しないでいられるか!! わしは此度の件で “()桀王(けつおう)(いん)紂王(ちゅうおう)” の如き暴君と誹りを受けよう!!」


「大王様は開国の明主にございます どうして桀王や紂王といった亡国の主と比べられましょうや それに今は喬晞将軍の処遇を決めるのが先決 怒るのはその後に.............」


「..............処遇はもうわしの中で決まってるわ」


劉淵はそう言うと腰に佩いていた王剣を外してハラリと劉宏に渡す。



―――――― ”この剣で自決させよ“ そういう意味が込められていた



永明(えいめい) 其方は劉宏と共に介休(かいきゅう)へ走れ 喬晞の自決を見届けた後、首級と冠軍将軍(かんぐんしょうぐん)の印綬を離石に送ってくれ それから喬晞の率いていた兵は其方に預ける 再び大陵(だいりょう)に拠点を戻して鎮守するといい」


 抑揚のない声音でそう俺に命じる父上..........明らかに古の聖王たらんとして無理している感が否めない。


 さらに王剣を渡された劉宏は視線を俺の方に向けて何か訴えているようだし、劉宣は劉淵から背を向けて落ち着かなそうに白髭を弄っている.............



(2人ともこの決定に不服という事か............俺が父を説き伏せるのを待っているみたいだな)


 俺としても現状余裕がなく 喬晞の率いる兵を指揮出来る自信はない ここは父を説得して喬晞の自決を取り下げてもらうしかなかった.............


「父上 恐れ入りながらこの劉永明 喬晞将軍を自決させることに賛同致しかねます」


「それは何故か? 喬晞はわしの王道に泥を塗った大罪人 これを生かしておいては家中の者は兎も角、天下の民は納得せぬ」


俺の言葉に父は此方を見据えてそういう。


「父上は既に聖王にあらせられます 民の中には父上を(しゅう)の武王の生まれ変わりだという者もおります 喬晞ごときの失態で父上の威名に傷がつくことないかと思います..........それより勇将を失っては晋軍に太刀打ち出来ませぬ ここは喬晞将軍を許されてはどうでしょうか」


「..........永明よ 何故、喬晞を庇う? 其方と喬晞の間に親交は無いであろうに」


「庇うつもりはありません これはあくまでも“漢”の為でございます そしていち早く晋を滅ぼす為でもあります」


それを聞くと劉淵はようやく笑みを浮かべた。


「ならば其方に問おう 喬晞をどう調理するか?」


冠軍将軍(かんぐんしょうぐん)の官位を剥奪して牢に繋ぐべきかと、そして機を見て再登用するべきかと思います」


「ほぉ 機を見て.........だな」


 なんとか説得出来たらしく、背後にいた劉宣、劉宏に目をやると2人はホッと胸をなで下ろしていた。


 そして俺は前任者として王剣を腰に帯び、大尉の劉宏を伴って介休へ向かうことになった。

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