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第3話 父との再会

西河国(せいがこく)左国城(さこくじょう)――――――


 左国城に到着すると俺は崔岳(さいがく)と共に城下を抜けると太極殿(たいきょくでん)の階段手前で止まった。


劉永明(りゅうえいめい) 只今、楽浪(らくろう)から馳せ参じました 陛下にお目通り願いたい!!」


 周囲にいる人間全てに聞こえる声量を出すと階段上にいる衛兵が槍を掲げて返事してくる。


「入られよ!! 陛下は中でお待ちだ」


 段上まで上がり衛兵に腰の神剣を預けると太極殿内に入る。

 (しん)の都・洛陽(らくよう)の太極殿よりは手狭で質素に感じたが、それでも壁や天井には最低限の装飾が施されており、それなりの豪華さがある。


 大広間に人は居らず――――――いや.........たった1人、玉座の目の前を行ったり来たりしてる者がいた。



「ち、父上 只今戻りました」



「おぉ................我が千里駒(せんりこま)が、我が千里駒が戻ってきた!! よくぞ戻ってきた我が()()よ!!!」



ガバッ!!



「うわっ!!」



俺に気付くなり父・劉淵(りゅうえん)は駆け足で向かってくると思いっきり抱き締めてくる。



「父上、袞衣(こんい)が乱れる..............」


「9年ぶりの我が子との再会なのだ。衣が乱れようとも構わん」


「父上ッ――――――」



 俺の実父は劉緑(りゅうりょく)という名だったらしい。

 俺が赤子同然の頃に亡くなっていて、当然ながら俺は父の顔を知らない.........

 実父が亡くなってから俺はすぐに一族の劉淵に引き取られて義理の兄達と一緒に育った。


 産みの親より育ての親―――――俺にとって劉淵はそんな存在だったのだ。



「さて...............と、戻ってきて早々に言うのも何だが、其方に頼みたい事がある。やってくれるか?」


「何なりと」


 落ち着きを取り戻した父は抱擁を解くと険しい顔つきで説明を始める。


「我らは(かん)を再興させたと云えどもその勢力は未だ弱小だ。北に王浚(おうしゅん)、南に司馬騰(しばとう)の勢力が邪魔で中々拡大が出来んのだ.........そ・こ・で其方には太原(たいげん)上党(じょうとう)の平定を頼みたいのだ」


「太原と上党の2郡を.........」


「うむ。詳しく申すと茲氏(しし)中都(ちゅうと)長子(ちょうし)屯留(とんりゅう)に屯する晋軍を徹底的に叩けば、司馬騰も我らの勢いを恐れて暫くは大人しくするであろう」



(うへぇ.......この戦い、失敗すりゃ漢や父上の威信が地に堕ちるかも。初陣なのに大役過ぎねぇか.........これ)



「.........わ、分かりました。この劉永明 漢王のご下命とあらば即刻、精兵を率いて太原上党のみならず京師(けいし)でふんぞり返る司馬の首を捻じ切ってご覧に入れましょう!!」



 自分を鼓舞する意味も含めて俺は敢えて仰々しく返事すると父上は破顔一笑する。

 そしてソッと俺の肩に手を載せると心の内を見透かしたようにニッコリと笑う父上――――――


「まあ気負うでないぞ。我らの武器兵糧が整うのは12月だ。それまでゆっくり屋敷で休むとよい。兄達も其方の帰りを待っていたのだ。顔を出してやれ」


「分かりました.........ところで父上、1つお願いが御座います」


「うん? 申してみよ」


「実は推挙致したい者が居りまして.........」


父上は推挙という言葉に目を細める。


「1つ忠告しておくが、仮に推挙した人間が罪を犯せば其方も連座で罰せられる。其方は劉氏の未来を切り拓く千里駒(せんりこま)......それを理解しての推挙か?」


「理解してるつもりです。漢は勃興したばかりで人材も不足しております。故に積極的な推挙が必要かと思いました」


「分かった。ならばその推挙したいという人間をここに連れて参れ」


父上の了承を得た俺は太極殿の前で待たせていた崔岳を迎えにいった。

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