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第24話 荒城

大陵(だいりょう)――――――



「こ、これは――――――ッ!!」



 大陵に着いてから先ず目に飛び込んできたの城壁や城門の目の前を埋め尽くさんとする(むくろ)の山、そして遺棄された井蘭車(せいらんしゃ)霹靂車(へきれきしゃ)といった攻城兵器...........


 城壁の表面は(すす)で黒くなり、至る箇所が砕けている。楼閣もほぽ倒壊しかけており、一部からは黒煙が上がっている。


 はね橋を渡り城内に入るとそこから先は地獄のような光景が延々と続いていた。



倒壊した家屋に押し潰された人............



母を亡くして1人彷徨う子供............



夫や子を亡くして錯乱する女性..........



筵に横たわり死を待つしかない虫の息の兵士...........


これら惨状によそ目に俺は曹嶷(そうぎょく)を連れて内城の本陣に入った。



漢軍本陣―――――― 


「おぉ これは劉将軍!! お待ちしておりました」


 本陣が置かれている宿舎に到着すると戟を持った守衛が出迎えてくれた。


「ん 御役目ご苦労だな 劉雅(りゅうが)はいるか?」


「奥で休まれてますよ。ただ傷が酷く、医術の心得がある者に診せたところ、7日間は安静にした方が良いと言われました」


「............」


 守衛からの話を聞きながら宿舎の大広間に着くとそこには諸将が沈痛な面持ちで左右に座していた。

 そして大広間の中央奥に(しょう)が置かれその上に劉雅は横たわっていた。


「劉雅殿............」


 仰向けで寝かされている劉雅は左肩から右脇腹、右肩から左脇腹にかけて包帯が巻かれており、腹部にもまた一枚包帯が巻かれていた。

 包帯には血が滲み痛々しい有様で、彼の隣に置いてある桶には血が付着した鏃や、鏃を体内から引き抜く際に使われたであろう器具が放ってあった。


「兵達を鼓舞しようと前線で指揮していたらこうなりました.........此度は無茶しすぎたと、少しばかりか後悔しております ところで将軍の方はどうでしたか?」


「予想してた通り、晋陽(しんよう)から敵の1軍が出っ張ってきてた 一応、汾水(ふんすい)の西側で撃退はしたが............まさかこの大陵にまで来ているとは思わなかったわ」


「そうですか こちらは幸い落城は免れましたが兵も民も疲弊しております もし再び晋軍が押し寄せれば今度こそ落城しましょう.........」


唯一動かせる顔をこちらに向けながら劉雅はそう言う。


「.............そんなことより今は体を労るのが先だ。傷が癒えたら離石(りせき)まで送るから、しばらく養生しろ」


「いえ 私も将軍と同じく劉氏の血を引く者、この程度の掠り傷で戦線離脱しては笑われます!! ............どうかお側に居させて下さい」


思いっきり重傷なのに掠り傷って.............


「分かった だがくれぐれも無理はしてくれなよ 欲しいものや食べたいものがあれば言ってくれ 俺が取り寄せるから では失礼するよ」


 傷病人相手に長居は毒である。俺はさっさと踵を返すと本陣から出ていった。

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