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第104話 寝返り

 7月下旬、楚王(そおう)劉聡(りゅうそう)を詰問するべく平陽(へいよう)に呼びつけたが彼は応じなかった。

 これを “逆心あり“ とみた皇帝・劉和(りゅうか)は激怒して太尉(たいい)呼延攸(こえんゆう)に楚王討伐を命じた。


対して劉聡は諸将と兵を単于台(ぜんうだい)に集めると涙ぐみながら訴える。


「陛下は佞臣(ねいしん)・呼延攸によって惑わされ司馬一族の二の舞を演じようとしている これを除かねば大漢の未来は永久に潰えよう ボクと共に佞臣を誅し、大漢を護ろうぞ」


「「「うォォォォォォォォ」」」


 今回は出しゃばる気はないらしく、子の劉易(りゅうえき)劉粲(りゅうさん)のみが武装して劉聡本人は(たん)..........つまり普段着のままであった。


 無数の牙旗が単于台に並ぶ中、これから皇帝への叛逆を実行するとは思えない程諸将の士気は高かった。つまりそれ程、劉和や呼延攸は嫌われていたのである。


 事実この時、平陽から逃げてくるものが後を絶たず、中には計画の内容を漏らす者までいた。



そして――――――



「そぉォォォォれぇェェェ!!」



ドスンッ!!



「そぉォォォォれぇェェェ!!」



ドスンッ!!



「そぉォォォォれぇェェェ!!」



 禁軍を率いる劉鋭(りゅうえい)馬景(ばけい)は平陽から単于台の門前に到着すると、兵達に先の尖った丸太を持たせて突破を図ろうとしていた。


 しかし門の守りは固く、兵の頭上から次々と矢や石が降り注ぐ。

 


「これ程の備えを事前にしていたとは...........やはり謀反を企んでいたな楚王ォ!!」



 激高する劉鋭ではあったが、数多くの戦いを経験している劉聡の兵と、皇帝を護るだけで実戦経験皆無の禁軍とでは力量も判断力も大きな差があった。


 半日攻めてもビクともしない劉聡軍に、劉鋭は遂に諦めて平陽に退いたのだった。



太極殿――――――


「なに!? 尚書(しょうしょ)田密(でんみつ)武衛(ぶえい)劉璿(りゅうせん)が楚王に寝返っただと? 2人は北海王(ほっかいおう)を攻めていたのではないのか?」


「それが北海王に投降して、そのまま楚王のいる単于台に奔ったと..............」


言い終わる前に衛兵は劉和の隣にいた呼延攸によって斬り殺された。


「陛下、我らに味方している劉欽(りゅうきん)もいつ裏切るか分かりませぬ。我らは彼の兄・劉盛(りゅうせい)を斬りましたから不満を抱いておりましょう こうなった以上、怪しい者は斬るべきかと!!」


「.............これでは味方が居なくなるではないか」


「お味方など天下に幾らでもおります。味方が足りなければ我が掻き集めます故、ご安心なされよ 今は陛下が総大将なのです しっかりなされよ」


「うむ」


 味方の裏切りを訊く度に劉和は己の不甲斐なさと人望の無さを痛感して沈み込んでいた。

 そしてそんな中でも支えてくれる呼延攸と劉乗(りゅうじょう)には心の底から感謝していた...............この時までは

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