第102話 内偵の結果
単于台――――――
「そうかい 兄上はボクを消そうしてると..............」
「残念ながらその様にございます。この謀には陛下を始め、太尉・呼延攸、侍中・劉乗、衛尉・劉鋭と先帝存命の頃から太子派に与していた左衛将軍・馬景、武衛将軍・劉欽、劉盛、劉璿が参加しております」
劉聡は平陽西部に建てられた宮殿・単于台にいた。
宦官の王沈は内偵の結果を主に伝えると引き下がった。
「おのれ呼延攸の野郎――――――ッ 私怨で漢を滅ぼすつもりか!!」
頭に血が上った劉聡は付近にあった肘置きを蹴り飛ばす。肘置きは二転三転すると動きを止めたのだった.............
遺詔には “司馬氏の二の舞を演じぬように“ と記されていた、にも関わらずこの有様であった。
(ボクに兄殺しをさせようとは.................)
劉和は呼延攸の補佐や看病無くしては生きられない。呼延攸を除くということは、劉和も葬らなければならないという事なのだ。
しかしその場合、問題になってくるのが次の皇帝を誰がやるかである。劉聡が帝位につけば間違いなく、“帝位強奪と皇帝殺し“ の汚名が付き纏う.............
「兄を支えるって云っておきながら、手を掛けるハメになろうとは.............さて、どうしたものか」
事が事だけに流石の劉聡も慎重になり、長男の劉易や次男の劉粲に軍備を整えさせた。そして王沈や郭猗といった宦官の勢力を使って劉和派の内偵を続けさせた。
その後、得られた情報は以下の通りとなった。
①斉王・劉裕、魯王・劉隆、北海王・劉乂を始末すること。
②謀に異を唱えた劉盛がその場で殺されたこと。
③東堂と西堂には陵墓の建設によって余った資材が運び込まれていること。
④楚王に対抗すべく、同等の力を持つ始安王・劉曜に協力要請を出していること。
どれも劉聡を愕然とさせる情報であった。そして一際、彼が気に入らなかったのは劉和派の連中が劉曜の義心を巧いこと利用しようとしている事であった。
父を失い憔悴して判断力が落ちているであろう劉曜にアレコレ甘い言葉で引き込もうとしていると報告を受けた劉聡は激怒。直ぐさま使者を劉曜の邸に派遣するのだった。




