夢から覚める時
すみません!予定は未定でした!もう少し続きます。
「きゃあああ!」
「大変だ!人が落ちたぞ!」
「誰か、先生を呼べ!」
「救急車もだ!」
騒がしい周りをどこか遠くに感じながら、私は呆然とその場に立ち尽くした。
何故だろう。
前にも、似たような事があった気がする…。
たくさんの人が慌てふためく中。
血の気を失い、倒れている金の髪の青年に向かって必死に声を掛けているのは銀の髪の………。
そこまで考えた時。
頭の中に様々な映像がフラッシュバックした。
可愛くて大切な義妹の美桜。
柔らかな笑みを浮かべる薬師のルイス。
紳士で知的なキース様。
男気があって頼れるギル。
そして、冷たいけれど、暖かな心を持つ水の瞳の…。
「…っ!!」
私は急いで階段を駆け降り、葉月の側に膝をついた。
驚いて私を見る外野をよそに、私は手を組んで祈りを捧げる。
「生命を司りし女神ミリアよ…。彼の者に癒しの光をあたえたまえ!」
一瞬、使えないかもと不安が過ったが、それを打ち消す程の光が手の中に溢れだした。
それをなんの躊躇いもなく葉月に翳し、心から彼の傷が癒える事を願う。
みるみるうちに傷が塞がり、堅く閉ざされた瞼が振るえて静かに開くのを見届けてから、私は翳した手を下ろした。
「……里桜?」
「葉月…。良かった…」
安堵した瞬間、ぽろりと瞳から涙が零れた。
次から次へと溢れる涙が、雨の様に葉月の顔を濡らす。
呆然する葉月を見て、私は精一杯の笑みを浮かべた。
こんな人混みの中で癒しの力を使ったのだ。
誕生日はまだ来ていないけれど、ミリアに迎えに来てもらわなければ、どうなるのかは目に見えている。
「ごめんね、葉月。私…、行くね……」
「里桜?もしかして……」
最後まで聞く前に、浮かび上がったミリアの刻印が熱を持ち、再び光が現れたかと思ったらハッキリしていた意識が遠ざかる。
「里桜!!」
のばされた手が私の腕を掴んだ瞬間、意識は完全に闇へと沈んだ。




