七十九話 「再登場配信」
優子たちの休暇はまだあった。
と言うより、仕事ができていれば、出社しなくてもいい。
旅館での朝のように布団に寝転がっていると、実輝が訪ねてきた。
「優子さん、配信どうします?」
「えー、いいかな」
「でも、昔はとても売れてたじゃないですか」
「だって、多分視聴者私のこと女だと思ってたから」
「充分じゃないですか。今でもこっちに来たときより活き活きしてますし」
「てか、BANされたんじゃないの?」
「運営に問い合わせて、許してもらえました」
「へぇ」
「これも、優子さんがファンを増やしてくれたおかげですよ」
「......最後にいいよ」
「やった」
実輝はガッツポーズした。
「あの、私はどうすれば?」
稚陽は居場所がなさそうだった。
「出ます?」
「いや、遠慮します......」
「では、スマホの裏側に」
「はい」
実輝はセットした。
十五分ほど待機で、優子復活のサムネイルを貼った。
「何します?」
「男だよって言う?」
「おー、いーですねー」
実輝は画面のボタンを押した。
「おはようみんな〜。今日は、優子さんが遊びにきてくれてて、配信出てくれるそうでーす」
「ども......」
【エンジェル優子!!!!】
【髪切った?失恋??】
【なんか清潔感ある】
【何があった】
「みなさん、優子さんが不在の間、日給百万円の女として名を上げていました」
「え!?」
驚いたのは稚陽だ。
視聴者にバレそうだったが、誤魔化した。
「今ここで、真実をお伝えしようと思います」
実輝は優子に視線を送った。
「へ。えー、配信の画面とかわからなくて、勘違いさせてたのも知らなかったんだけど......一応男性......です」
【嘘だろ】
【罪深すぎるエンジェル】
【俺はわかってたぞ】
【男の娘!?!?】
「一回外行って、散歩配信しましょう」
「うん......」
稚陽は隠れながら、優子たちを見送った。
「じゃ、今から散歩するねー」
散歩動画は平和だった。
田舎を歩きながら喋って、オチはイッヌに襲われる安音だ。
反響があったのは言うまでもなく、ネットのトレンドランキングにも載った。
幻滅する視聴者が発生することが予想されたが、むしろ過激派が発生した。
「日本終わりだよ」




