七十六話 「地獄耳に滴る涙」
「あぁ......」
話し疲れ、全員眠気に襲われた。
(あぁ、くそ、動けん)
「優子さん、大丈夫ですか?」
稚陽はそうでもなかった。
お酒をそんな量飲まなかったし、自分はそれほど昔の事で話すことはなかった。
「うん......大丈夫。野美子は?」
「ぐっすりですね」
「そう、よかった」
優子は猛烈な眠気に襲われていた。
「......任せられる?」
「ええ、多少なりは。それより、大丈夫でしたか?」
「ん?うん、大丈夫だったかな。でも、こうダラダラしてると昔を思い出すよ。もう昔の記憶かって」
「そうですか」
「ありがとう。あとごめん」
「お礼も謝罪もいりません。私、実は優子さんの背中を追いかけてたんですよ」
「アネキは?」
――安音は実は起きていて、話を少し聞いていた。
「アネキは、まぁ......私よりも先に漏らしてたからで」
安音は泣いた。
「安音はなかったよ?」
「え」
「……漏らしてない」
そう言ったのは安音だった。
「あ......」
「いいよ別に、似たようなもんだよどいつも」
「いや、でも安音さんにはすごく優しくしてもらえて、将来は安音さんみたいな強くて優しくて面白い人になりたいなとは思ってました」
「......」
安音は満足したので、何か余計な事を聞く前に寝た。




