七十話話 「田舎カス日々」
今日が最終日だから言うけど。
今更、本当に今なんだけれど。
本当に、クソだったなぁ、この暮らし。
自分が少しまともな倫理観を手に入れて、こうも見え方が変わってしまうものなのか。それも、悪い事だとは思わないけれど。
私だけ出て行って、新しい生活を享受して、野美子たちはここに置き去り。
いいじゃないか、日和の言う通り、ちゃんと人生を生きるって、決めたんだ。
そう。そうなんだよ。
戻らない。たとえ姉さんに「また何かあったら戻ってきていい」と言われても、野美子が大変で、安音あたりに助けを求められても、大家さんが釣りとかに誘っても、稚陽が漏らしても。......稚陽ごめん。あ、そうだ。どこかで進学したいとか言ってたから、就職先だけ教えてあげようかな。
「はぁ〜〜......」
「優子」
突然、後ろから野美子の声がした。
「え?」
後ろに、いた。
以前の野美子であれば、恐怖したことに違いない。しかし、今の彼女はなんかこう、良くなった。後ろにいたのが、テレビから出てくる系や飲んだくれ系幽霊でないのは助かる。
ただしかし、あら、合鍵を渡したつもりはないけど。大家しか持ってないのよ?......大家の手回しか?
「優子、あのね......」
何だ、何を言おうとしているんだ?
「な、なに?」
「さ、さっき、稚陽ちゃんと背中にひっつきむしつけたの」
「え?」
「ごめん」
うん。
やっぱり、自分の決断は信じるものだな。




