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田舎カスの日々  作者: 月鏡水バケツ
田舎編

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69/90

六十九話 「夜の田舎道」

「以前にも、こうやって夜道を歩いたっすよね」

 安音がふと、そのような事を言う。

「あぁ、肉団子が流れてたやつ」

「ふぁっと、おあ、おいおーなんだよな」

「おい、殺すぞ」

 みんなから言いたい放題されて、大家もとうとうキレた。

「あの自動販売機、ビールも売ってるんだよねー」

 野美子がふと思い出して言うと、はっとした。

「いや、ノンアルだよ」

「本当?」

 優子はすかさず反応した。

「こら、もう飲みすぎないんだろ?」

 安音が水をさす。

 自動販売機に着くと、各々飲み物を買った。

 奈美子は、ただの水を買わされた。一番悲しいものである。

 帰り道。

「なんだか、名残惜しいなぁ」

「何がですか?」

「この道も、もうこうやって歩けるかわからなちからさ」

「またこちらに遊びに来ればよいのでは?ほら、以前のように私と同じ部屋で寝れば、私は優子さんの掛け布団になるので、スペースはありますよ」

「......天才じゃん」

「あ、そうだ優子」

 大家姉が、何やら思いついたらしい。

「この間は、弟が石につまずいたんだったな」

「それで、川に落ちたと」

「おい、俺は優子に蹴り飛ばされたんだぞ」

「今回もそうします?」

「やめろ――」

 突然、優子の視界から大家が消えた。

 優子は何が起こったかわならなかった。

 しかし、ドボンと大きな音が鳴る。その時、察しがついた。

「あー、大家さん落ちたー」

「ざまあ、ジャンキーファット!」

「大丈夫なんですか!?」

「脂肪あるから」

「それもそうですね!」

 本当に、言われたい放題である。

「やっぱり、優子に助けてもらっていた方がよかったんじゃないか?」

「............」

 以前にも見た光景である。


 無事、皆アパートに到着した。大家を除く。

 歩き疲れていて、何か留まって話すこともなく、部屋に帰った。

 優子も部屋に帰ろうとした時、安音がそこにいた

「あ、気まず」

 安音は目を逸らした。

「どうして?」

「前、こんな感じの時に、姉さんと同じ部屋に入ってるのを見かけて、勘違いしてたんだよね」

「ん?」

「姉さん、優子のこと好きで、部屋に連れ込んでるのかと思ってて――」

 ふと、優子の方に目線を直すと、そこには誰もいなかった。

 安音は、頬に温かい雫が伝うのを感じた。

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