六十一話 「山奥の廃村」
優子たちは、少し遠くまで歩いていた。ミテチャンネルの夕食に巻き込まれ、全員が腹一杯になり、散歩をしていたのだ。
「こんなに食べたの久々すぎる......お腹が」
安音が悶える。
「私もお腹いっぱいではないけど、沢山食べたかな」
「野美子が一番重いの食べてた」
「えぇ〜!?」
「サービスで出されたお酒も飲んでたし」
「俺もこんなに食べたのはねぇな」
「大家さんどうせいつも肉沢山食べてるでしょ」
「あ、それで言ったら和牛ステーキにバターの塊乗っけそう」
「あ!それ最初会ったときに思いました!!」
「お前ら俺をなんだと思ってるんだ」
「私たちの金で飯食うやつ」
「金のない貴族みたいな人」
「肉団子」
「肉団子笑笑」
「......」
大家は反論を諦めた。
「......あれ?私たちのアパートは?」
戻ってきたつもりが、いつの間にか知らぬ場所に来ていた。
「どこ?」
「わかんない。スマホは......圏外?」
「終わった。私たち一週間後くらいになったらニュースに流れるのかな」
「やだ、やめてよ」
しかし、遭難したのは事実。どうしようもない現状に、彼女たちは焦りを感じ始めていた。
「めんでぃ〜」
優子を除く。
「あー、こんな時は上を目指せばいいってテレビで言ってた気がする」
優子の提案で、優子たちは山の上へ向かった。
「あれ?階段あるよ」
突如、安音が葉に埋もれた石の地面を見つけた。
「本当だ!!これを降りれば......」
「いや待て!」
そこに、大家がかっこよく手を伸ばす。
「見ろ、看板もある!だかな、行き先は石降《いしふり》ダムだ。もう手ついてないし、逆に危ない」
「なんで?」
「もう長年放置されてる。それに水場のものだ、劣化が酷くていつ崩れるかわからねぇ」
「なんでそのままなの......?」
「日本の闇だ」
「えぐ」
「じゃあ上は?」
「ん?家あるじゃん。奥まであるよ」
優子は、奥まで続く雰囲気のある集落を見つけた。
「え、怖っ。絶対人いないって」
「安音怖いんだ?」
「アネキ!!守ってください!!」
「え?」
(あ、この中で一番ダメなの私じゃなくて稚陽っぽい)
「やだなぁ、大丈夫だよ」
「ま、まぁ怖いが住んでる人がいたら失礼だしな」
ガサッ、ドバン!!
間髪入れず、何か重いものがドラム缶に落ちたような音がした。
「きゃあああ!!」
「きゃあぁっ!叫ばないでよ安音」
「安音女の子みたい」
「はぁ?私が女の子じゃないって言いたいわけ?」
安音が超高音で叫び、野美子が驚く。
「おい、近所迷惑だろ」
「は、あっ......」
稚陽はあまりに驚きすぎたのか、腰を引きよくわからない静止をしている。
異変に一番に気づいたのは優子だった。
シャー、と何かが出ている稚陽。食後だからか勢いがあり、本人も止められなかったのか、下の枯葉に滴る。
「うっ......」
「お、おい――」
「オオヤサンはダム見学シマショー!」
ドゴム!と厚い肉の沈む音、大家は吹っ飛んだ。
「うっ、えぐっ......」
稚陽はかつての過ちがフラッシュバックし泣いてしまった。
「ほら、歩きにくいでしょ?」
「!?や、やあ!優子さんが汚れちゃう」
「大丈夫大丈夫、大丈夫だよ〜帰ろうね〜」
躊躇なく抱っこする優子、それに惚れ込む野美子。戦犯の安音、そして良心が原因でくたばった大家。側から見れば、不審者!
「ゆ、ゆう――」
「安音が過剰に叫んだせいでしょ」
「ごめん」
「優子、でも帰る方法が......」
「あのぉ......」
その時、他所から誰かに話しかけられた。
「ご老人!」
そこにいたのは、程よく健康そうな翁だった。
「どうしたのかね」
「迷子?遭難してて」
「ああ、そこに階段があるじゃろ?降りると分かれ道があるから、そこを砂の道の方を進めば帰れると思うよ」
「ありがとうございます。すいませんこんな夜中に」
優子たちは、言われた道を通って下の町に出た。
「ねぇ、あそこ人住んでたんだ」
「そうだね。買い出しとか大変そう」
「......」
「どうしたのさ大家さん」
「なぁ、今マップで調べたんだが、あそこはそもそもダムと重なってるっぽいぞ?」
「ん?うそだぁ」
「見間違いでしょ目ん玉肉団子。あ、体もだね」
ダムが建つ際に暗黙の虐殺で村が潰れたが、とうの昔に村が存在していた事は、もう誰も知らない。
この話書いてたの日付越してて暗かったからか、すごく怖くて腹壊した。




