五十八話 「アネキ!!」
「うえええぇええ〜ん!!」
朝、稚陽は共用廊下で大号泣していた。
「どうしたの!?」
そこに、安音が顔を出した。
「優子さんの上で、お漏らししちゃったぁあ〜!」
お泊まり会の朝、優子が大家の部屋に凸る前。
ぐっしょり。
優子は、太もも周辺が濡れている感覚に違和感を覚えた。
丁度、稚陽の股の辺りだ。
「え、これって......アレか?」
優子は少しだけ起き上がり、稚陽の様子を見た。
「稚陽?」
「ん、んんっ......えっ――?」
気付いた。
「あ、え?う、嘘......やだ」
「そうだったのかー。優子はどうだったの?」
安音は、着替えた稚陽を、慰めるために自室に入れた。
「優子さんは、私が漏らしたのに汚そうにせずに、気にせず落ち着かせようとしてくれました。そのまま洗面所に連れてってくれて......」
「やるやん」
「それで、まだパニックになっていたので、優子さんもぐちょぐちょにしてしまいました」
「......怒ってた?」
「いや、そんなことは」
「やるやーん」
安音は、優子に対する信用が正しかったと思い、なんだか満足げだった。
「ただ、顔面に飛びついた時は流石に嫌そうな顔をしてました」
「いやそりゃそうでしょ」
「......」
稚陽は、安音の即答に落ち込んだ。
安音は、マズったと思い、フォローをしようとした。
「......でも、私もそんな事あったから」
「そうなんですか?」
(私よりも先に安音さんが......?だから優子さんあんな感じだったのか!)
「私よりも先に優子さんの上で漏らしたんですね!?」
「え!?」
「先輩ですね!アネキと呼ばせてください!!」
「ちょっ――」
安音は、急いで稚陽を外に運んだ。
「何ですか〜、言ってくれればよかったのに。アネキも、優子さんの上で漏らしたことあるって」
「ちょっ!?」
「え......」
そこに通りかかった優子が、稚陽の言葉を聞いてしまった。
「ゆ、優子」
「そんな事したの!?」
「あんたが知っとるやろが!!」
安音は、優子のことをアパートの外まで蹴り飛ばした。




