五十七話 「穂の夢」
「スゥ......――」
穂の実家で、穂は深い眠りについていた。
「......どこだろう。こんな花畑、見たことないな」
穂は、一度立ち上がり、周りを見渡した。
「あっちには......川?海かな」
穂の見る方向には、莫大な水面があった。
しかし、水面には深い霧があり、よく見えなかった。
「......ん?懐かしい煙の匂いがする」
穂は、ふと下を見た。
「ヤ、ヤニが生えてる......!」
穂は、それを拾い上げた。
「すううううう――」
穂は、地面にドテッと座る。
タバコの炭が落ち、そこは地獄の業火と化した。
「ふふ。穂ちゃんの寝顔かわいい」
穂の母、須江は、寝ている穂を覗きに来た。
しかし、覗き足らず隣でまじまじと見ている。
「クスッ。口の形、夢の中でもタバコ吸ってるのかな?」
その様子を見た須江は、穂にタバコを咥えさせた。
一本、また一本と。
「ふ、ふふっ。あふっはは。へ〜ははっ。......ぶっふふ、ひ、はふっ」
その光景に、須江は笑いを抑える。
「面白いなぁ穂ちゃんは」
須江は、穂のベッドに肘を置いた。
「そっか、そうだね。早く会いたいね――」
須江は、ゆっくりと頭を乗せる。
「穂は、本当にパパっ子だったから......」
「大家さん。ニュース見して」
「あぁん?自分の部屋で見ればいいだろう」
「電気代が」
「冷蔵庫漁んなよ」
「うす」
優子は、大家の部屋のテレビをつけ、その場に座った。
「......やっぱ眠い」
即、二度寝。
「チッ、つけるならせめて見ろや」
大家はリモコンを奪い、大喜利のチャンネルを変えた。
「あ。そういや、ゴミ捨て......」
大家はゴミ袋をまとめ、外に出る。
そこには、無意味なテレビがあった。
『昨晩、二階建ての住宅一棟が全焼しました。中からは、女性と見られる二人のご遺体と、原因と思われるタバコの焼け跡が見つかりました。なお、現在もお住まいの方とは連絡が取れていません』




