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五十話 「雨、時に喪失」
優子は、新しい買い物をした。
それは、原付バイクである。
「これで大家のおっさんトラックに乗らなくて済むわ」
勿論、免許もある。
優子は、軽くツーリングをしようと思った。
部屋に戻って、着替えだけする。
「ふんふふんふん」
バタンバタン!
「ん?」
しかし、突然の嵐。
突然ではなく、予報されていた台風だった。
テレビをつけていないだ。
優子は、窓の外を覗いた。
窓に張り付く雫、叩きつけられる窓。
「うわー......雨だよ」
言うまでもない。
バタンバタン!
ドカドカン!
外から、とても荒れた音が聞こえる。
ドンドンドン!
そこに、誰かが扉を叩いた。
優子は、何かあると危ないので、急いで向かった。
「優子!バイクが!」
そこにいたのは野美子だった。
「そんでわざわざ来てくれたの?」
「う、うん」
「え、バイク?」
優子は、遅れてその言葉を理解した。
下を見ると、大木が貫通した一台の原付があった。
「はぁあ〜......」
どういう状況やねん。
そういうツッコミが、先に頭によぎる。
「あっ」
野美子は、強風で立つのも大変だった。
「入って。危ないよ」
野美子は、優子の部屋に入れてもらった。




