表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/72

069. 情報交換

 私はポツリ、ポツリと話し始めました。


「狐面の男は様々な能力のアーティファクトを持っているようでした……。

 両足……靴のあたりにはおそらくですが、風か空間系の能力のアーティファクトを持っているようでしたね――」


 あの緑色の光、あれは多分移動補助系のアーティファクトだと思って私は言いました。


「――――」


 お父様はピクリと右眉を跳ねさせただけで、表情は変えずに机上に視線を移しました。


「あとは……無効化アーティファクトも持ってましたよね……」

「どのタイプと相性が良いかはわかるか?」

「相性――」


 様々な色の光は使用していないからか、全て同じくらいの光量でしたし……。

 どれも、常時使用しているわけではなさそうですが、使い慣れているというかなんというか――


「おそらく……風系、だと思います――」


 直接は見ていないけれど、あの崖を登るのだって――アーティファクトを使っていたのだとすれば。

 短時間で高い位置まで登っていたことに説明がつきます。そして――


「私は記憶がない関係で……晃生さん以外の人がアーティファクトを使用するのを見たことがないのですが……。

 あの狐面の男のアーティファクトの使い方は、目につかないくらい短時間使用を繰り返している感じでしたね――」


 気が動転していたとはいえ、使っているはずなのに、使ったのだとも気づけなかった。

 特にあの、肩と足に攻撃を受けた時――――


 今、思い出しても背中に悪寒を感じる気がします――。


「――そうか。ありがとう」


 その言葉にハッとして、自分が机上の虚空を眺めていたことに気付きました。


 私はお父様の目を見て、出来る限りの柔らかい笑顔を作り言いました。


「いえ――」


 この情報が何かの役に立つと良いのですが――。


「お礼に、というか……少しでも自分の身を守れるよう、わたしの知ることを話しておこう。

 以前晃生には教えたが――奴は、相手の名を呼ぶことで昏睡させる、特殊なアーティファクトを使う」


 そうか――以前晃生さんが、本当の名を知られない方が良いと言っていたのは、この……


「そして新たに判明したのは、発動条件が三メートル以内だということ」

「それ以上遠くからは効果がない、と?」

「そうだ。

 真名でなければ効果はない、と考えられるが……仮の名でも気をつけるに越したことはないだろう」


 名とは、その存在を認識し縛るもの――。

 だとすれば、通称や偽名でも効果が及ぶ可能性がある――ということでしょうか……?


「わかりました。ありがとうございます――」


 新しい情報もくださっている。

 この方は、晃生さんの……私たちの敵ではない――けれど、完全に信用もできません。

 これまでのことを思えば――――


「そしてもう一つ、新しい情報というよりは訂正がある。

 呼ばれた者は意識を失い昏睡状態に陥る――と、考えられていたが……実際は違う。

 どうやら、身体を動かすことができなくなるだけのようだ」

「意識は()()ということですか――」

「そうだ……。

 名を呼ばれた者の魂を拘束し、身体と魂を繋がりを切る――

 “裏神器”の一つだ。

 そして――これに対抗できるのは“繋ぐ”の能力を持つ神器と、全てを回復できるほど高クオリティの聖水のみ」


 光があれば闇も存在する、神器にも人を助ける力の物もあれば、その反対も然り……ということなのでしょう……

 そんな恐ろしい力の物が存在するだなんて――


「昨日倒れた者が、その“繋ぎ”の神器の能力者でな――他の手立てを考えるために一度戻ってきたのだ。

 そして母さんから聖水の話を聞いて、急ぎ避難所に問い合わせたのだが、お前が持ち込んだ聖水はすでに患者達に分け与えられた後で。

 キヨミズに来ている聖水も試したが、効果はなかった」


 それでわたしの持つ聖水の小瓶を――。


「おそらく……龍石神社に赴きこれまでの謝罪をし、聖水をいただいてくるように、と今晩中にもお上から通達がくると思うが――倒れている者たちには早い方が良い。

 それに……これまでは情報も足りず後手で動くしかなかったが、これで少しは黒幕……狐面の男の思惑から外れるだろう」


 お父様はまだ何かを知っているのではないでしょうか……狐面の男に関して――

 なんとなくですが、私はそう感じました。


「――直接、もらいにはいかないのですか」


 思わず声が出ていました。

 理由は想像がつきます。つきますが――


「――今は行かない」


 彼は、私の目をじっと見て言いました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ