エリザベス グリーゼ876bへ (前編)
エリザベス号は数日間、チョコレートを少し多めに製造するため、ゆっくりと宇宙を進んでいた。次の目的地は、グリーゼ876bという惑星だ。
その日、時田は日勤で、午前の仕事を終えて、昼休みにエリザベス号の食堂で日替り定食を食べていると、全盛期の小錦を思い出させるような大きな肥えた女が、時田の左斜め前の席に座った。女は、おかっぱ頭で平べったいヒラメのような顔をしており、"林"と書かれた名札を戦闘服に付けていた。
時田(もしかして、この女がユッキーナなのか?いやいやいやいや、たぶん、名字が一緒なだけの別人だろ。)
肥えた女は、カレーのご飯を一口で食べて、おかわりをしに行った。肥えた女がいなくなり、時田の回りで、いろいろな話が飛び交った。
「あれってユッキーナだろ?」
「そう。」
「太りすぎだろ。」
「ペリー艦長にいろいろ言われて、ストレス太りじゃない?」
「それは違うなあ。ユッキーナは、元女力士だ。ユッキーナが本気になれば、張り手1発で、ペリー艦長の首の骨をへし折れるはずだ。」
時田(どうやら、ユッキーナのようだ。三月と竹田に話したら、二人ともガッカリするだろうなあ。ユッキーナは、細くてか弱い可愛い女の子をイメージしてたからなあ。)
ユッキーナが、おぼんにカレーがいっぱいに入った大きなどんぷり2個と、水が入ったコップ4個をのせて、席に戻って来た。ユッキーナは、あっという間にカレーをたいらげ、水をゴクゴクと飲んで、またカレーのおかわりをしに行った。
時田(どんだけ食べるんだよ、それにしても、ペリーが爺で、ユッキーナが大女って、どんな組み合わせだよ。)
昼食を終え、時田はチョコレート専用の白い作業着を着て、再びチョコ掛けの作業を始めた。しばらくして、艦内放送が流れた。
艦長・ペリー「コレヨリワープヲスル、ワープゴレンパツ!!」
ユキナ「艦長、もう少しチョコレートを生産してからワープした方が・・・・。」
艦長・ペリー「ダマレ、コノスーパーブタオンナ!!チョコレートノシンパイヲスルマエニ、オマエノソノタイケイヲドウニカシロ!!」
ユキナ「艦長、私は至って健康です、私は大丈夫
です。」
艦長・ペリー「ダイジョウブダト?オマエ、ヨノナカナメテルダロ、オマエハジブンニアマインダヨ、コレイジョウフトッテミロ、シャサツスルゾ!!アシタカラマイニチ、オマエノタイジュウヲハカルカラナ。」
ここで、艦内放送が切れた。
時田(出た!!爺と大女コンビ。何言ってるか相変わらずよく分からなかったけど、明日から毎日、ユッキーナの体重を測るみたいだな。)
エリザベス号は、5連続ワープをして、グリーゼ876bに着いた。
グリーゼ876bには、体が木でできており、4つ足で緑の髪、顔が2つある生物が、生態系ピラミッドの頂点に君臨していた。この生物は、緑の髪の毛で光合成をしているらしい。エリザベス号から、何台かチョコレートを積んだ積載車が出て来て、ここの住人の指定する場所に配送された。




