労働3 社長就任
皆さん、おはようございます。
池田でございます。
さて、謎の世界に飛ばされた私は、そこで出会った亀さんに【スキル】の存在を教えられました。
そして、なんと私のスキルは【工場長】
もう、意味が解らないよ。
亀さんにスキルの詳細な内容を伝える。
「【社員】?【工場長】?まったく意味が解らん」
亀さんも困り果てる。
「私の世界では、ありふれた職業? でして」
まあ、なりたくてなるわけではないんですけどね。
えへへ…
ところで。
「そういえば、まだお名前を伺っておりませんでしたね」
私、こういうものですと名刺を差し出す。
「...なんじゃそれは? ほんとおかしな男じゃの…それに」
亀さんが不敵な笑みを浮かべる。
「このワシの名を知らぬとは。よろしい! この名をしかと刻むが良い。我こそは北方の守護者にして、【世界を支える者】その名をケートス!」
亀さん、改めケートスが仰々しく名乗りを上げる。
相手方が名乗ったのであれば、こちらも名乗らなければ失礼に値する。
「私は、西ヶ竹重工業株式会社 南製作所 工場長の池田 鉄山と申します」
鉄山は堂々と名乗りを上げる。
「工場長? それはおぬしのスキルの名であろう?」
「いえ、私の役職が工場長でして、いや【工場長】でもあるんですが」
鉄山はだんだん自分が何を言っているか分からなくなる。
そして唐突に。
ピコン!
頭の中で音が鳴った。
鉄山はとうとう自分がおかしくなったと思った。
自分の目の前に画面がでる。
「個体:ケートスを【社員】にしますか?」
【YES】←
【NO】
は?
突然なにを?
そもそも面接もしていないのに社員にできるか。
【NO】を選ぼうとするが、しかし。
(…もしかして社員にできる?)
ケートスがいつまでもいてくれる確証もない。
こんな世界に一人はさみしい。
(高齢者雇用か…安全配慮義務を確認しておくか)
鉄山は【YES】を選択する。
ピッ―――!
警告音がなった。
「ケートスはあなたより能力が高いようです。【社員】にはできませんでした」
ぐふっ!!
亀に能力で負けた。
涙ぐむ鉄山、そして今度は。
「個体:ケートスは条件を満たしました。ケートスを【社長】にしますか?」
【YES】←
【NO】
今度は【社長】にできるようである。
なんだか節操の無い能力だな。
「なにをさっきからコソコソしておる?」
ぶつぶつ呟く鉄山を見て、亀さん改めケートスが怪訝な顔をする。
(亀の癖に表情豊かだな)
そんなアホな事を考えながら、鉄山は提案してみた。
「…どうも私の【工場長】なんですが。ケートスさんを【社長】にできる様でして」
「社長? ほお~、面白い! やって見せろ」
意外とノリノリなケートス。
「えっ!? いいんですか?」
「かまわん。おぬし程度のスキルでどうにかなるワシではない」
自信満々のケートス。
そこまで言うならばとケートスを社長にしてみる。
鉄山は【YES】を選択する。
「ケートスはあなたの【社長】となりました」
凄まじく簡単に社長就任である。
続けて、
「【社長】スキルの効果により、あなたの能力値が強化されます」
能力が強化されるらしい。
やったぜ!
「統率」を入手しました。
カッコいい!
「体力増加」を入手しました。
ほう
「精神力強化」を入手しました。
ほう?
「睡眠耐性」を入手しました。
…ほう?
「毒耐性」を入手しました。
…
「疲労軽減」を入手しました。
…ヤメテ
なんて社畜向けなんだ。
世の社長がこぞって欲しがりそうなスキルだ。
「む? 【社長】とやらになったようじゃな。ワシのスキルに【社長】が追加されたわい」
ふむふむと【社長】スキルを調べるケートス。
「面白いな。おぬしが庇護下におると、おぬしの【社員】の数だけワシの力が強化されるのか」
なにそれ、魔王さま?
「そしておぬしのダメージをワシが肩代わりすることもできるか。よかったの? ワシは物理的な衝撃に対して完璧な耐性を持つ。早い話、傷つけることができないという事じゃ」
え?ケートスさんマジ神。
これなら社員の労災も肩代わりしてもらえる?
「あっ、【社員】の労災は肩代わりできないみたいじゃの」
何でだぁぁー!
スキル名:社長
〈効果〉
・配下の【工場長】【社員】の数だけ能力が上昇する。
・配下の【工場長】にスキルを付与する。(スキルはランダム)
・配下の【工場長】のダメージを受けることができる。(任意)
・労災は肩代わりできない。
・【工場長】が死ぬとこのスキルは消滅する。




