第九章:「炎の向こう側」
夜は、ガッロが見張りを交代する時に交わした短い囁きを除けば、静かに過ぎていった。
だがその静けさは……自然なものではなかった。
目を開けずとも、ガッロの視線が自分の上にあることを感じ取れていた。
そしてその感覚は……夜の間、消えることがなかった。
夜明けの最初の光と共に野営がゆっくりと目覚め始めても、夜通し空気の中に吊り下げられていたあの曖昧な緊張は、まだ解けていないようだった。
ピエトロが決然として引き受けた最初の見張りは、何時間も前に終わっていた。代わりに残されていたのは、朝の冷気と、消えかけた熾火の弱い温もりだった。
ブミンは木の幹に預けていた頭をゆっくりと上げ、夜の間ずっと続けていた警戒を、眠たげな眼差しの奥へ隠した。
ファビオ、ニコ、バスティアンが眠気の重さを振り払いながら武器と装備を身につける中、ピエトロはわずか数時間の休息によるけだるさをまといながらも、新たな気力と共に身を起こした。もはや夜も、沈黙も残っていなかった。彼らの前には、埃っぽい草原と、数日にわたる不確かさだけが広がっていた。
時が経つにつれ、太陽は草原の上にかかっていた灰色の薄幕を引き裂き、焼けつくような黄色へと変えていった。道中で彼らが目にしたものは、互いを写し取ったような低い丘、風に揺れる乾いた草、そして小さな林ばかりだった。まるで何時間も進んでいるのではなく、同じ止まった絵の中に閉じ込められ、ぐるぐると回り続けているかのようだった。見渡す限り、集落の痕跡も、文明に属する気配もなかった。ただ、空の果てしない青と、地の終わりなき黄色の間に挟まれていた。
その単調さの中で、ブミンは理論として知っている魔術を実践へ移すための、静かな機会を見つけていた。目に留まった小さな草原兎や、茂みの中に隠れた鳥は、彼にとって単なる獲物ではなく、同時に練習のための標的となっていた。指先に集まる力を見えざる針へと変えたり、空気を一点で真空にすることで、獲物を音もなく地面へ落としたりした。ひとつひとつの動きが、心の中にある埃をかぶった知識が、現実の世界でどのように形を取るのかを理解させてくれた。
旅の三日目。
夜を過ごすために入り込んだ小さな林の中で、彼らは集めた薪で起こした火を囲んでいた。ニコとファビオは、昼間にブミンが狩った二羽の兎を捌くのに忙しかった。ブミンは揺れる火明かりの中、兎の皮を剥ぐ刃の動きと、疲れ切っていながらもどこか思案深く見えるピエトロの様子を、静かに見つめていた。
ガッロは手にした太い枝を組み、火を大きくしていた。兎の肉がしっかり焼けるよう、熾火の熱を強めているのだった。数歩離れた場所では、バスティアンが沈み込んでくる漆黒の闇に備えるかのように、周囲の茂みから集めた最後の薪を抱えて戻ってきていた。彼らの一つひとつの動きには、兵士としての規律と、空腹がもたらす静かな焦りが入り混じっていた。
沈黙を破ったのは、昇り始めた月を見上げながら、疲れた声で話すピエトロだった。
「ガッロ……あとどれくらいだ?」
「おそらく明日には町が見えるでしょう、若様。」
ガッロは燃え上がり始めた火から視線を外さずに言った。その声にあるわずかなためらいは、はっきりと感じ取れた。
ピエトロはその答えの重みを受け止め、深くため息をついた。
「はあ……本当に正しい方角へ向かっているんだろうな?」
ガッロは言葉を止めた。手にしていた枝を火の中へ置きながら、うんざりした声で答えた。
「おそらくは、若様。」
「おそらく……か。」
ピエトロは視線を空から下ろし、火へ向けながら言った。その声に滲む苛立ちは、一語ごとにはっきりと表れていた。
ブミンは座ったままその会話を眺めながら、ガッロが護衛というよりも、闇の中で道を探す異邦人のように見えることに気づいた。彼らの手に地図はなかった。あるのはただ、星々と、ガッロの記憶に残る薄い痕跡だけだった。
「馬を置いてこなければよかったな。」
ニコが片手で額の汗を拭いながら言った。
ガッロはニコに答えなかった。ただ手にしていた枝を、まるで誰かを黙らせるような乱暴さで火へ投げ込んだ。ファビオは捌き終えた肉をガッロに差し出しながら、小さく呟くように続けた。
「馬がいれば、今頃とっくに家に着いてた。今は……」
彼は言葉を止め、ブミンを見て、それからピエトロを見た。
「……生きていることに感謝するしかない。」
ピエトロは炎から視線を離さず、声にある退屈さをさらに少しだけ露わにして言った。
「馬は消えた。食料も消えた……残ったのは“おそらく”ばかりだ。」
その時、ファビオは口にすべきではなかった言葉をこぼしてしまった。
「あの傭兵の言うことなんか聞かずに、馬を置いてこなければ――」
ファビオは突然、言葉を止めた。ピエトロとニコは、まるで彼が最大の罪を告白したかのように、鋭く彼を見つめた。空気が一瞬で凍りついた。ガッロは静かに視線をブミンへ向け、手をゆっくりと傍らの剣へ近づけた。ブミンはこの突然の変化を前に、状況の深刻さと、目の前の者たちの本当の立場を頭の中で測り始めた。
沈黙を破ったのは、集めた枝を脇へ下ろしたバスティアンの落ち着いた声だった。
「永遠に隠しておけるものでもありません、サー・ガッロ。もう、彼に真実を話してもよいのではないでしょうか。」
一瞬だけ間を置き、バスティアンは目の端でブミンを見た。
「おそらくブミンは、もうとっくに気づいているでしょうが……」
ガッロは目を閉じ、深く息を吸った。剣へ伸びていた手をゆっくりと引き、ピエトロへ向き直った。その眼差しには、若様からの無言の許可を待つ色があった。ピエトロはガッロの視線に込められた問いを無視しなかった。だが、決断は自ら下した。火から視線を外し、まっすぐブミンの目を見据えた。
「俺たちは……」
唇が一瞬ためらった。
「……あの隊商を襲った側だった。」
本作の日本語版は、AI支援による翻訳工程を経て制作され、原文の文体や感情を損なわないよう人の手によって確認・調整されています。




