奔走【生桑セガ】
新生八事体勢は順風満帆に回っているように思えた。
だが、誰しもが、いつかはやめる。
私は人がいなくなることに対し、人一倍過敏になり、新規の勧誘に奔走していた。
恋姫以外のゲームを積極的にやるようになったのもこのころだ。
例えば零SP勢が恋姫をやってくれたなら、私も零SPをやり、それをきっかけに交流の輪を広げ、さらなるプレイヤーを会得しようとした。
本当に色々やった。
サムライスピリッツ零SP、サムライスピリッツ(新作)、ブレードアークス、アクアパッツァ、BBTAG、MVCl、エトセトラ。
上手くなって「恋姫をやれば格ゲーが上手くなりますよ」とアピール出来たら理想だったが、私はどのゲームもあまり上手くはならなかった。
原因は恋姫のゲーム性にあった。
攻撃をガードされたら不利になるという前提の元で作られた恋姫は守りが強く、ターンの入れ替わりが激しい。経験者はその入れ替わりの速さについていけるので、初心者に後れをとらない。
だが先に挙げたゲームの大半、ひいては格闘ゲームというものの大半は攻めが強く設定されており、強行動をいかに押し付けるかが重要になる。
私は恋姫で、受けてから攻める、というのを日常としていたため、相手の強い行動に対して受けに回って付き合ってしまい。結果その性能にボロボロに崩されてしまうというのがパターンだった。
だが、それでも、各タイトルのゲーマーたちは私のことを守りが固いと評価し、やりこめばすぐ強くなれますよと励ましてくれた。
私は他ゲーを通じて知り合った人たちや、何気なく対戦会の様子を眺めているゲーセンの客に向け、何か恋姫をアピールできないかと考え『恋姫†演武のはじめかた』という冊子を作成した。
ゲームの基本的なコンセプト、セオリーから、なにをはじめに取り掛かればいいのか、各キャラクターの紹介などを載せた10ページほどの冊子だ。
これを八事に置かせてもらい、対戦会中は手に取りやすい位置に置いてアピールした。ただ張遼の紹介の欄にゴリラという単語使ってしまい、ネットに上げた際、担当声優さんの目に留まってお叱りを受けるというトラブルもあった。これについては本当に反省している。
冊子は八事だけでなく、三重県四日市市の『生桑セガ』にも置いた。
赤帽が不定期ではあるが、そこで恋姫の対戦会を呼びかけるようになったからだ。
私はさらなるアピールのため冊子に『中級編』と題したよりゲームの攻略に突っ込んだページを追加した。
他にやれることはないだろうか。
私はいつも考えていた。
だが新規はそれ以上増える気配はなく、幸いなことに減ることもかった。
ただ、トモカの姿を見ることはもうほとんどなくなっていた。




