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恐怖  作者: 仲島香保里
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悪夢の回避

 この体にはバネが内臓されているのだろうかと思われるような動きで上半身をベッドの上で跳ね上げる。

 また……この夢?

 今日持っていた首の女性は、前に見た例の看護師だという女性だ。夢の中とはいえ、ついに殺してしまったんだ……

 この頃になると、もう罪悪感もなくなってきて、自嘲気味に悪夢を楽しむようになってきた。

 しかし、気分のいいものではない。なにせ、テレビの報道で、殺された人物と夢で自分が殺した人間が一致しているのだから。

 そして、おそらく今回も……

 いずれはニュースで看護師の女性が殺されたという報道がされるのでは……そして、自分が見ているこの夢は、予知夢……?


 今日は有給をもらい、睡眠外来を受診することにした。少し前に、あきらに相談した際に、睡眠の悪さが原因かもしれないと言われたのがきっかけだ。あきらがネットでこの病院を見つけてくれた。色々な科が入った総合病院で、なかなかの大きさを誇っている。

 初診の問診票を書き、採血などの簡単な検査を受ける。診察室に通され、白衣を着た三十半ばの男性医師に診察をしてもらった。相当なストレスを感じているようなので、受診ついでに、神経科の診察と心理士によるカウンセリングも受けてみませんかと勧められた。

 カウンセリング……なにやら引っかかるものを感じたが、晴れない気分のせいだということにし、神経科の受診とカウンセリングに同意した。

 カウンセリング……面接……この引っかかりはなんだろう。

 記憶の隅に引っかかると言えばよいのだろうか。心を病むことには無縁の生活だった。だから神経科に行くことも、カウンセリングを受けることも、その必要自体がなかった(はず)のだ。

 それなのに、カウンセリングという言葉に引っかかる。

 待合室で他の患者と一緒順番を待っていると、程なくして神経科の診察室と面接室と書かれたカウンセリングルームに呼ばれた。

 あれ……?

 今のご時世、神経科に通っている人は少なくはないはず。なのに何故、予約も入れていない自分が受診できるのだろう?そもそも、この人たちの順番は?この人たちは、予約をしてずっと待っている人たちではないのか?

 でも、なんだか……

 今にして思えば、この待合室にいる人たち……なにか変だ。そうしないものだということもないだろうが、皆が一様に俯いていて、女性ならば顔が完全に髪で隠れている。神経科にかかっている人全てがこんな風に、覇気がないものなのか?それに、二人で来ている患者もいるようだが、誰も会話をしない。

 いや、この待合室だけではない!

 この病院全体が嫌に静かだ。

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