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恐怖  作者: 仲島香保里
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OL生活は変わりなく?

 乗車率百パーセントは確実に超えているだろうと思われる電車に、いつもならイライラしたりするところだが、今日はそれどころではない。髪が薄く、腹の出た脂ぎった中年男が電車の揺れで派手にぶつかってきても、なんの感情も湧かなかった。

 オフィスに入り、自分のデスクに座ってパソコンを立ち上げ、仕事を始めるも、どこか上の空。

 あきらに何度か名前を呼ばれたようだが、しばらく返事ができていなかったようだ。あきらは笑いながら、大丈夫?と聞いてきた。そのときは、寝不足だからと答えたが、本当の理由は自分でもよくわかっている。あの夢のせいだ。

 あんな夢さえなければ、悩む時間をもっと効率的に使えるのに。

 あれ?課長が呼んでる……?課長が……

 あ、はいっと大声で返事をしてしまった。しまった。課長から呼ばれていたのに気付かなかった。

 席を立って、小走りで課長のデスクへ行く。どうやら、私が風邪を引いているのに我慢して出社したと思ってしまったようだ。今日がもう帰ってもいいとまで言ってくれた。

 まさか、怖い夢を見たせいですとも言えず、若干申し訳ないと思いつつも、甘えることにした。

 ごめん、先に帰るね、とあきらに告げ、お先に失礼しますと部署に声をかけ、オフィスを出る。

 会社の近くにあるカフェレストランで昼食を摂ろうかとも思ったが、会社の人に見られては気まずくなってしまう。諦めて電車に乗り直し、定期券内の駅で途中下車し、適当に見つけたセルフサービスのカフェに入り、サンドイッチとコーヒーを注文する。

 家に帰りたくなかった。

 家に帰れば、嫌でも夢のことを思い出し、また思い悩んでしまう。とにかくどこでもいいから、外で食べて気分転換したかった。

 サンドイッチを一口食べ、コーヒーを啜る。

 体が重力で下に下に沈んでいきそう。こんなときに本など読もうものなら、数文字読めば爆睡できる気がする。

 柔らかくて小さめのフランスパンに千切りにした野菜や茹で鶏、茹で卵のスライス、酸味の効いたソースが挟んであるサンドイッチを、ゆっくりゆっくり食べる。

 コーヒーを飲んだが、頭がまだ冴えない。

 最後の一口のサンドイッチを口に放り込む。あぁ、体が重い。

 カフェを出て、駅に向かう。電車には幸い座ることができた。座った途端に目を開けることができなくなった。おそらく、自分が降りる駅まで一度も起きなかっただろう。

 足を引き摺るようにして歩き、ホームから改札へ。そして歩いて自宅へ。玄関にバッグを放り出し、ジャケットほハンガーにもかけず、椅子に放る。ストッキングやスカートを脱ぐ元気もない。そのままベッドに俯せで倒れ込む。

 そのまま眠ってしまったようだ。帰ってきた時刻ははっきりとは見ていないが、おそらく正午にもなっていなかった。なのに、今時計を見ると、デジタル時計の数字は「16:14」となっていた。ざっと四時間ほど寝ていたらしい。しかも、俯せの状態から起き上がったことから、どうやら寝返りも打たなかったようだ。

 しかし今朝のような悪夢も見なかったおかげか、随分と熟睡できた気がする。

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