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恐怖  作者: 仲島香保里
12/18

OL生活は変わりなく

 汗で急激に冷えていく体をベッドから引き摺るように下ろし、洗面所に向かい、汗臭いパジャマを脱いで洗濯機に放り込んでから、シャワーを浴びる。朝から汗臭いのは耐えられなかったし、少しは目が覚めてくれるだろうと思ったからだ。

 手早く温かいシャワーを浴び、とりあえずスウェットに着替える。すぐに着替えられるようにブラウスとスーツを持ってテレビの前のソファに向かう。長い溜息と共にソファに座り込み、ぼんやりと天井を見つめる。

 こんなことをしてたら、また眠気に襲われる。

 力強く目を開いて立ち上がり、台所へ。ケトルで湯を沸かし、パンをトースターに放り込む。理由はどうあれ早く起きたし、賞味期限も危なくなってきたベーコンを炒め、卵を落とす。焼けたパンにバターを塗って、ベーコンエッグを乗せる。インスタントコーヒーに砂糖だけ入れて、今日はちゃんとテーブルで食べる。

 多少なりと、夢の悪影響が出ているのだろう。疲れが取れた気がしない。夢の中での出来事とはいえ、人を追い詰めて傷つけていたのだ。そして、夢の中でもはっきりと感じた、あの〝殺意〟――あの殺意は本物だった……

 夢の中で、あの加害者――「私」は、襲っていた人を看護師だと認識している。全ての設定を夢で見たわけではないが、「私」は彼女が出てくるのを、どこかで待ち伏せしていたようだ。そして、不意を衝いてナイフで襲い、その後も執拗に追い掛け回している。そして、相手が転んだり、恐怖のあまり悲鳴を上げることに快感を感じている。

 前に見た男性の夢のときに比べて、より「自分」が体験しているような感覚だった。前の夢は、今から思えば……実況に近い――ような気もする。

 たかが夢。たかがゆめ。たかがユメ。

 そう思い込むのも、無理矢理感が出てきた。

 確かに夢は夢なのだ。何度でも自分に言い聞かせていて、頭で理解はしているのだ。それでも、繰り返し見られる、妙に現実じみた夢――まるで自分自身が体験したことを思い出しているような夢は、徐々に神経の疲れとして蓄積されていった。夢に悩むなんて馬鹿馬鹿しい。そう思っていた。こんなこと人に話せない。夢に見る内容が怖くて困っている、なんて……

 せっかく久しぶりに作った、まあまあちゃんとした朝食があまり美味しく感じられない。

 パンの耳をコーヒーで流し込み、もう一度大きな溜息をつく。

 のろのろと立ち上がり、スーツに着替えてメイクアップし、髪を一つにまとめてシュシュでヘアゴムを隠す。毛先を軽く巻いてスプレーで固めて、バッグを持って家を出る。

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