刺激的♡〈side/ラズ〉
「旦那様……今夜は眠れそうにないです。何だか胸がいっぱいで……」
「メルドナさんが養生するようにって言っていたし、思うようにゆったり過ごそうよ」
私は返事の代わりにキスをおねだりした。
湿った音が響いてる。旦那様の唇をいっぱい潤す。唇で軽く挟んで軽く舌を這わせて。首へ、そして胸へと。
「旦那様、気持ちいいですか?」
「うん。……もっとしてくれる?」
全身隙間なくキスして、見える肌の全部を私の色に染めていくの。だって、虜にしたいから。
旦那様はお返しとばかりに私の体に口づけようとした。ちょっと待って――。
「あの……お風呂がまだ……です」
体を綺麗にしておきたい。旦那様には最高の私を味わってほしいから。
「じゃあ、体を洗いながらしてあげるよ」
「えっ? 恥ずかしい…………です」
客間のお風呂は部屋とは完全に仕切られていて個室みたいな作り。それはいいんだけど――。
「あ、あの……このお風呂って……」
見慣れない器具がいっぱいある。ううん、何に使うのか用途は知ってる。だから、すごく恥ずかしい。思わず足を内股に閉じちゃう。
顔が熱い。体がもじもじしちゃって、このままじゃ恥ずかしがってるのバレちゃうよ。
「いろんな設備があるんだね」
旦那様も気がついた。どう使うか、きっと知ってるよね。だって目が輝いてるもん。
天井にフック、床には足枷――特殊な形状の椅子に、意味深なアイマスク。ひとつひとつがドキドキのレベルを上げてくる。
「せっかくだからさ、全部試してみようか?」
「え? ……旦那様の…………えっち」
浴室には大きな鏡がある。浴槽に向かって側面と正面、全体が見られるようになっている。全方位から裸、見られちゃう。
旦那様が裸になる。私もすぐに――。
正面の鏡のすぐ隣に大理石の小さなテーブルがあった。旦那様が近づいて、その上に何かを見つけたみたい。
「これ、さっそく着けてみようか」
差し出して来たのは拘束具。天井のフックに吊るせる形状の、黒い皮製の手枷だった。素材を見てすぐに気がついた。魔力を狂わせ無力化する、ミスリルレオンの皮だ。さっき床にあった足枷も、よく見たら同じ素材だった。
(ここ、本当に客間なの? 別の用途の部屋だったんじゃ……)
旦那様が私に手枷をかける。手枷にはロープが付いていた。
「こっちにおいで」
息が苦しくて声が出せない。興奮してるの、伝わってるよね。
フックの真下へ連れて来られた。足を広げられ、足枷を嵌められた。旦那様は天井にロープをかけ、迷わず近くにあった滑車を回した。回転するたびにフックが天井へと動く。踵が床から離れそうになったところで、旦那様は手を止める。
「旦那様、もしかしてここのお風呂を知っているのですか?」
「……実はね。ラズが眠ってる間に調べておいたんだ」
なるほど、手際がいいわけです。それを黙っているなんて、ひょっとして私を驚かそうと準備してくれていたのかな。
「お湯を張るまでの間、この格好でしっかり体を洗ってあげるね」
「え? こんな格好でですか?」
旦那様の方からこんな刺激的なプレイに誘ってもらえるなんて。胸が壊れそうなほどドクドク脈打ってる。触られたら声が出ちゃいそう。
「ラズ、すごく興奮してるね」
「はい……。もうヤバくて……」
旦那様が浴槽に備え付けてある蛇口をひねると、すぐにお湯が出て来た。きっとこれも前もって調べておいたんだろうな。お湯を桶に取って私の足元に置くと、石鹸を泡立て始めた。
「この石鹸、すごく泡立ちがいいんだ。だからとっても気持ちいいよ」
にこっと笑顔で私を見上げる。視界の端に私の胸が。これも旦那様の計算なのかな。私の羞恥をきっちり煽って興奮を高めてくれているのかな。
もこもこの泡をたくさん抱えて、旦那様は私の肩から洗い始めた。
「は……ああ……」
少し声が出ちゃった。肩ぐらいでこれって、ヤバいかも――。
「どう? この泡、気持ちいいでしょ」
「はい。……あっ♡」
滑らかに泡を伝わせて、絶妙な力加減。手で直接肌に触れるときだって、触れるか触れないかの絶妙な手つきの旦那様。虜にさせられちゃうテクニック、天性なのかもしれないな。
今度はロープに吊られている腕、そして脇の下。声を我慢してたら、小さな泡が弾けるときの刺激まで感じるようになっちゃった。――次、胸だよね。どうしよう、絶対に声出ちゃう。
「胸、また少し大きくなってるね。……いくよ」
何とか吐息だけで我慢する。細かな変化まで指摘されて、旦那様ったらどれほど私のこと見てくれているんだろう。うれし過ぎて、それも感度に足されちゃってる気がする。
それから旦那様は、ていねいにじっくりと泡で私の全身を包んでいった。首から下のすべての肌を満たすと、また手を止め、正面から私を見つめた。
「ねえラズ、お互い裸のこんなときだけど、僕の話を聞いてくれる?」




