続けてください♡
私は叫ぶように懇願した。そして、過激なおねだりをした。
「服を脱がせて、さっきの続きをしてください……」
羞恥を自ら煽る、ひどく淫らなお願い。加えて――。
「できましたら洞穴から引きずり出して、外でしてください♡」
太陽の光が燦燦と照りつける場所で、何もかも曝け出して、旦那様から徹底的に辱めていただく。私は従魔なんかじゃない。旦那様の前では、奴隷として扱われたいの。
きっと私は壊れてる。支配することで快感を得る普通の淫魔なら、私みたいに被虐的な遊戯に耽ったりしない。主導権を渡して辱められて悦ぶ淫魔なんて、たぶん私くらいしかいないと思う。
夢でそう見せることはあっても、自らの生身を誰かに隷属させるなんて――完全に狂ってる。
旦那様は俯いて考えている。そして返された言葉は――。
「ごめん、それはできない」
「なぜですか旦那様。どうか、どうかお願いいたします」
「ダメなんだ。僕はラズをおもちゃのように扱うなんてできない」
「そうしてほしいんです。私は旦那様の奴隷なんですから!」
私は一生懸命にお願いしたけど、旦那様は首を横に振るばかり。調子に乗っちゃったのかな、私。悲しい目を向けられてる。違うの、そんな目をさせるつもりはなかったの。
「もしかしてラズのこと、軽蔑しましたか? もしそうでも構いません。だって私は旦那様の所有物なんです。どう思われたとしても、使っていただければそれで……」
「軽蔑なんてしてないよ。ラズが本心を言ってくれているのも分かる。でもね、そんな風にキミを辱めるなんて、僕にはできないんだ」
「辱めじゃありません。それが私にとってご褒美なんです。そう、これはラズの可愛がり方だと思って、どうか……」
旦那様の表情はかたいまま。このままじゃ私、嫌われちゃうかもしれない。やだ、絶対やだ。それだけはイヤだよ。
私、我がままになってるんだ。少しおさえなきゃ——。
「でしたらせめて、さっきの続きを!」
「……それもできない」
「どうして……」
イヤ、だめ。離れて行かないで。どこへも行かないで。繋ぎとめなきゃ、旦那様の心を繋ぎとめなきゃ。そうしたいのに声が出ない。なんでこんなときに。
そしたら、旦那様が——
「でも……」
「でも?」
「下着を残すなら……いいよ」
ほっとして、目頭が熱くなる。待って、泣いてる場合じゃないの。
「えへへ♡ ありがとうございます♡」
なんとか涙をこらえて、笑顔で応える。
私は再び後ろ手に手枷を嵌めてもらう。首輪に取り付けられた鎖がピンと張られた。力強く引かれ、その振動に安心感を覚えた。
——下着姿にされる。
「おいで、ラズ」
「ああ、旦那様……お願いいたします♡」
足を閉じて恥じらって見せる。違う、本当に恥ずかしい。閉じた太腿の内側がひどく熱を持ってる。鎖が引かれる。抵抗するように体をのけ反らせながら、一歩前へと踏み出していく。
「ああ……」
顔を背けて進むまいとする。また鎖が引かれる。一歩を踏みしめる度、体温が上がっていく。洞穴の入り口がすぐ傍まで迫る。脹脛が太陽に照らされる。そしてまた一歩。太腿が引きずり出される。
腰まで陽に曝されたら――。
そう思うだけで体が震え出した。怖いからじゃない、うれしいからなの。それを分かっているのか、旦那様はあえて手を止め、私に言ったの。
「僕の目を見て、ラズ」
羞恥心を高める、絶妙な間合い。懇願と拒否が心の中で混ざり合って、体は感度を急激に上げていく。次に来る言葉に期待が膨らむ。
「あと一歩で、どうなるか分かる? もっとこっちにおいで、ラズ」
「ああ……だめです旦那様♡」
「じゃあ……やめる?」
迷いまで感度に上乗せする言葉。もう全身びしょびしょ。
「……いいえ」
旦那様は陽の下で立ち止まり、鎖を手繰り寄せる。光に辱しめられる私。露になる私。
「綺麗だよ」
「恥ずかしい……。見ないで……ください」
「見なくていいの?」
私の心は旦那様の支配下。体の自由だけじゃない、心の自由も旦那様のもの。私がほしいと思っている言葉を、的確に浴びせてくれるの。
容赦なく引かれる鎖。ついに全身が光の舞台に上がった。ひどく明るいその場所で、私の体、じっくり見られてしまう。体が悦びに震えている。
「見てごらん。素晴らしい眺めだよ」
旦那様は眼下に広がる雄大な景色へ意識を向けさせる。私はそこに大勢の観衆がいるかのように錯覚した。
呼吸する度、全身が大きく揺れる。整えようとしても息はますます激しくなる。逃げ場のない羞恥に私は夢中になっていた。
「旦那様……これ以上は、私……」
「これ以上……どうされたい?」
「……もっと、恥ずかしいご命令を……くださいませ」
旦那様の視線が足の先から腰へ、お腹へ、胸へと昇ってくる。見られてる。こんな明るい場所で見られてる。吹き抜けていく乾いた高山の風。ふわりと鼻をかすめていく私の匂い。
「足を開げて、風を感じてごらん」




