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ヤンデレ魔族と没落貴族のヤバい生活  作者: 有の よいち
第1部

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25/58

この感じ♡

 岩山に降り立って、洞穴の前へ。


 どうやら魔獣とかの巣ではなさそう。周りに何かいるような気配もない。見晴らしはとっても良くて、休憩するには最高の場所。景色を楽しむにも、遮るものが何もないから言うことなし。


 旦那様は着くなり大興奮。


「うわあ、すごい! 海も山も良く見えるね。霞んではいるけど、大陸の北端も見えてるんじゃないかな?」

「ラズには見えますよ。ほら、あそこです。海岸線が見えてます」

「えっ、どこどこ?」


 旦那様の顔がすぐ近くに。私は指でその場所を示しながら、ちゃっかり体をくっつける。いい雰囲気。景色に夢中の旦那様と自然とイチャイチャできちゃってる。


「霞の濃いところの下あたりに」

「う~ん。あっ、あそこかな? 茶色に見えてるのは山かな、そのすぐ左斜め上の辺り!」

「そうです、そうです!」


 旦那様ったら子供みたい。すごく可愛い。目をキラキラさせて、声まで上ずってて。今すぐ抱きしめたくなっちゃう。


「大陸がこんなに小さく見えるなんて。海だってこれほど青いとは思わなかったよ!」

「うふふ♡ そうですね」


 旦那様の腕にしがみついちゃう。胸をぎゅっと当てて意識させようとしたけど、景色に夢中過ぎて気付いてない。もっと押しつけて顔を寄せる。


 市街地を指差しながら――


「あそこが今日の目的地です」

「あ……うん、そうなのか」


 見た、私の胸の谷間を。意識してる。だって二度見してたの、見逃してませんからね。


 景色を十分に楽しんで、洞穴の入り口に座ってひと休み。ひんやりしてて気持ちいい。誰にも邪魔される心配のない、ふたりきりの空間。大胆なことしたくなっちゃうな、ここで。


 屋外なのに――。


「旦那様ぁ♡」

「わっ……ラズ?」

「ふたりっきりですね♡」


 えいって旦那様の胸に飛んで行って、しっかり上目遣いで甘えちゃう。毎回毎回同じじゃ飽きられちゃう?


 ううん、男の人は好きでしょ? 何回でもされたいことだって、お母様も言ってた。シャイな旦那様には、あざといくらいで丁度いいはず。


「ラズ……うれしいけどさ…………」


 すぐ顔を赤くする。あ~、まんざらでもないんだ。ここでしちゃっていいの?


「うれしい……けど?」

「……ああ、もう!」

「きゃっ!」


 旦那様ったらきつく抱きしめてきたりして。そうやって照れを隠すのが癖になってるの?


 息が耳にかかってる。くすぐったくて変な声が出ちゃいそう。開いてた足を閉じたら、旦那様の膝の上に乗る感じになって。


 腰を強く押しつける。私、興奮しちゃってる。


 悪戯な気持ちが加速する。変なこと考え始めてる。翼をバサッと羽ばたかせ、いったん旦那様から離れる。そして――。


「旦那様、こんなのどうですか?」

「……これって」


 魔法で首輪なんか出しちゃった。首輪に鎖をつけて旦那様に手渡す。リュケイオスの廃墟で出会ったとき、私はこんな格好をさせられてた。


 興奮を煽る道具で男心に訴えかける。


「ご要望に何でもお応えします。どうぞこの鎖を引いて、ラズを好きなように扱ってください♡」

「あのさ……それじゃあのときの連中とやってることが変わらないよ……」

「違うんです。私ああいうシチュエーションに興奮しちゃう、ダメな子なんです」


 両手をグーにして口元にあてておねだりしてみる。小悪魔みたいに。私、本物の魔族だけどね。


 旦那様の呼吸が変わった――。


 急に静かになる。肩で息をしてる。少しずつ、少しずつ、鎖を手繰り寄せ始めた。


 私を見つめる。鎖がピンと張る。旦那様の喉が動いた。そして鎖をゆっくりと引き絞って――。


「ラズ…………おいで」

「……はい♡」


 この感じ、すごくイイ。旦那様に必要とされてる。支配されちゃってる。


 ――私、喜んでる。


 奴隷商人にばかりわざと捕まっていたのは、自分の性癖を満たすためでもある。でも、ずっと期待外れだった。みんな自分のことばっかりで。


 ――旦那様は違う。


 私の心をくすぐるの。貴方のような人にこそ、私は支配されたいの。誰かの自由を奪おうなんて考えたりしない貴方だから。


 ちりちりと鎖が鳴る。首輪に振動が伝わる。さらに鎖を引かれて、顎を持ち上げられて――。


「んん……」


 唇を塞がれる。逃げられない。強く引かれる鎖と、動きを封じる首輪。柔らかな旦那様の感触。


 両手で首輪ごと私の首を掴む。旦那様の目に野性の色を感じる。ほんのちょっと怖い、ぞくぞくされられる視線。


「……こういうのが好きなの?」

「はい……。軽蔑しましたか?」

「しないよ」

「でしたら……もっと過激なこと、お願いしてもよろしいですか?」


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