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ヤンデレ魔族と没落貴族のヤバい生活  作者: 有の よいち
第1部

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12/22

ふたりきり♡〈side/ラズ〉

 旦那様ったら、すぐに赤くなる。その反応が見たくて、思わず悪戯(いたずら)っぽい言い方をしてしまうの。そんな私みたいな子のことを人間は小悪魔って呼ぶんだっけ?


(わし)の家でイチャつかんでくれますかい?」

「そ、そんなんじゃないよっ」


 焦ってる旦那様、可愛いな。ずっと見ていられる。ボルガさんは指でぽりぽり頬を掻いて、なんかちょっとかわいらしい。


「まあ、この家はふたりを泊めるには手狭です。離れを案内しましょう」

「あ、もしかしてそこって、むかし酒造りのときに寝泊まりしていたところ?」

「よく覚えてらっしゃいますな。あそこには台所やベッドもありますから、ひとまず住むには困りませんよ」


 ボルガさんはお優しい方です。それに、()()()()()()いらっしゃいます。


 旦那様とふたりきり――。


 自然と気を回して下さっています。おかげで私、今日から旦那様とひとつ屋根の下。もうドキドキしてきてる。でも今は考えちゃだめ。

 

 トリノメーアの町外れ、森を少し入っていくと、大きな岩場に洞窟がありました。中には酒蔵があるといいます。


 その近くに、ボルガさんの言う離れがありました。大きな丸太を組んで作られていて、ボルガさんの家よりも立派に見えます。


「ここなら町からは見えんし、教会の連中も来ませんからな。おふたりの隠れ家にはもってこいでしょう」

「ボルガさん、ありがとうございます」

「いやいや礼には及ばんよ、お嬢ちゃん。今はあまり使っとらんから遠慮はいらんさ」


 旦那様は懐かしそうにあちこち見ています。


 私は今夜からどうやって旦那様に楽しんでいただこうか、結局そればかり考えてしまって。えっちな妄想が止まらなくなってる――。もう、私ったら。


「おふたりさん、腹を空かせてるんじゃないですかい? 簡単なもので良けりゃこれから作って持ってきますんで、ここでちょっと待っていてくだされ」


 私と旦那様は同時にお礼を言ったけど、あまりにも息がぴったり過ぎて。思わず顔を見合わせて、ふたりとも照れてしまって。お互い顔を反らしたりして――なんかこういうの、いいな。


 ボルガさんはふっと笑って、お家へと戻っていきました。


「中に入ろうか」

「はい」


(これって、同棲開始ってこと? もしかして……同禽(どうきん)? キャー♡)


 気持ちが高ぶり過ぎて、もう体が熱い。ローブが胸に擦れて感じちゃう――。


 何か話さなくちゃって思ってたら、旦那様の方から話しかけてくれて。


「ねえラズ。あのさ……」

「何でしょうか、旦那様」

「ふたりきりのときは人間に変身しなくていいからね。今みたいにサキュバスの姿でいてくれても大丈夫だから」

「え?」


 旦那様のご指摘にびっくりして、頭を触ってみたらツノは出てるし、お尻を触ってみたら尻尾は出てるし。


 (旦那様の前では人間の姿を維持できなくなってるの? 私……)


「良いのですか?」

「うん。本来サキュバスのラズの方が本物のラズでしょ?」

「はい、そうですけど……。でも私、仮の体に慣れてしまって、生身の体だと……あの……」

「ひょっとして都合悪かったりする?」

「いえ、そうではなくて……」


 ちょっと言い出しにくいかも。私がえっちなことばっかり考えてる子って思われそうだし――。ううん、旦那様には全てさらけ出さなきゃ。


「私、術を使っているときは夢の中の仮の体を使ってるんです。生身の体とは感覚だけが繋がってて、実際に生身の体は使ったことがなくて……」

「えっと、それって……」


 多分、旦那様はちょっと誤解してる。サキュバスだからこれまでにエッチの経験くらいあるだろうって思ってる。


 確かにお姉様達は生身の体も使ってるみたいだし、私も同等の感覚だけは経験してるし――間違っているわけではないけど。でも、ちゃんと伝えたい。


 すごく恥ずかしいけど――。


 貴方だけのものでありたいから――。


「私まだ……………処女なんです……」


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