仮タイトル アレ 左右田綾乃
「うううう」
左右田綾乃は核爆弾投下以降久しぶりに悪夢にうなされていた。ただしこの度の夢は、今まで見ていた悪夢とは違っていた。そこには、核の業火に包まれる都市はなく、溶け爛れた人もいない。ただ無機質で無情な、どこにも存在しない空間に一人佇んでいた。そんな左右田綾乃を無数の何かが貫いていった。貫かれた左右田綾乃は過去の似たような経験から不快な・・・いやもっと辛い思いを呼び覚まされていた。それは敵からの自白を強要される拷問訓練だった。拷問訓練とは自白剤、暴力などに耐え決して秘密を漏らさない訓練なのだ。その耐え難い訓練を思い起こさせるほどだった。ただし今回は貫かれるたびに、彼女の意思とは関係なく、深層心理をも白日の下に晒されていた。それは訓練を耐え抜いたものにとって屈辱以外の何者でもなかった。その辛さや屈辱感からなのか左右田綾乃は夢にうなされながら涙を流していた。
左右田綾乃を貫いていた何かが左右田綾乃に呼びかけ始めた。
(左右田綾乃・・左右田綾乃・・こちらに意識を集中させなさい・・・)
(だっ誰!)
(左右田綾乃我々はお前たちが「アレ」と呼んで対応に困り果てでいる者だ!)
(アレがなぜ・・アレには意思があるのか?)
(左右田綾乃お前は我々に核を投下した。我々には核を始め、お前たちの作った物など何も効かない・・・ただ活動を少し止めただけだ!左右田綾乃我々に関わるな。これ以上の関わりはお前たちに更なる災をもたらすことになる)
(活動とは?関わり合うとは・・・災?・・・・)
左右田綾乃は翌朝起床時間を1時間も早く目覚めた。
「嫌な夢だった・・・。アレが話しかけてくるだなんて・・・。ただアレに意思があるなんて・・まさかな!」
左右田綾乃は夢は夢としておさめて、普段の業務にった。
「諸君!本日のミッションだ!」
各中隊長に指示書を手渡し意思疎通を図った。
「大尉来月から始まる大規模訓練における準備ですね」
「そうだ!来月から1ヶ月長期訓練について各中隊及び小隊はしっかりと備えておくように!我々はアレを無力化できた事に少し気が緩んできている。訓練とは言え大変厳しいものになる全員心しておくように!解散」
朝のブリーフィングが終わり自室に帰ろうと資料を纏めていたとき、左右田綾乃を無数の何かがまた貫いた。貫かれた左右田綾乃はその場に手を胸の辺りに当てて膝をついてしゃがみ込んだ。
(なにをしているのだ左右田綾乃)
(ううう)
「大佐大丈夫ですか!どこかお加減でも・・・」
「だっ大丈夫です!・・・」
ゆっくりと呼吸を整え立ち上がると厳しい顔で天井を見つめた。
(我にかかわるな)
「大尉こんな時に休暇だなんて・・」
総務部の声を無視して部屋を飛び出した。三日三晩くるまを走らせアレの元にやってきた。
「私は、ここに・・・爆弾を落としてしまったのだな・・・。この砂漠やアレをどうするっていうのだ・・・・?」
左右田綾乃は砂漠に新しく設置されたであろう20を超える工事看板群を見つけた。
「これか!これのとをいっているのか?」
左右田綾乃は工事看板を一つ一つどんな工事が行われるのか確認していった。
「なるほど土地改良を行なって都市にする計画なんだ!結局アレが発見されるまでの計画を実行するわけか!・・・アレはそれが気に入らないのか?アレはどうするんだろう?」




