仮タイトル アレ 真佑
「渡部!」
「・・・真佑ちゃん?どうしてここに?」
真佑は渡部達を呼んでヒソヒソとこれまでの経過と、ここの役割を説明した。
「やっぱりそうだったか」
「でももっと最悪じゃないか」
「どっち道ここからは出られないんだから・・・」
「待って渡部あんた達の一日ってどうなってんの?」
「今の俺たちに時間の概念はないんだよ。突然耳が壊れるくらい大きなサイレンがなるんだ。そしたら食事さ!そのあとシャワーをして次まで寝てまた大きなサイレンが俺たちを起こしてくる。それの繰り返し」
「たぶん天井にある小さな穴からカメラを通してわたし達の動きを監視しているんだと思うから」
「 もうこのままの繰り返しを続けるだけだよ」
「何言ってんの?今が逃げ出すチャンスだよ」
「どうやって?」
「ここの建物って前に授業の建築構造でここにきて図面見ながら調べた事があったの!そしたらやたら欠陥構造物だってわかったの!この部屋もたぶん私調べたと思うから・・・どこかにわたしのサインがあるはず!みんなカメラからの監視に気をつけながらサインを見つけて!それから・・・」
真佑は小声をさらに小さくヒソヒソと耳打ちを誰もにした。そして渡部達に言った。
「ところで渡部、あんたここにくるまえにさぁ私を誘って二人キリで食事に行くとか言ってたじゃない!あれってどうなったの」
「こんな状況で誘えるわけないだろ」
「ちょっと待てよ渡部なんでお前だけ真佑さんを食事に誘ってんだよ」
「えっ!そんなオマエ知ってるだろオレが真佑ちゃんを誘って振られ続けてる事」
「そんな事オレが知るか」
突然キレた仲間は渡部を壁の所まで押していって、肩と袖のあたりを掴んで渡部を投げた。
「おい何するんだよ突然!」
投げられた渡部の上に乗りかかり渡部の顔が天井から見えなくなる様に覆い被さった!
「おい渡部このまま回りながらサインを探すぞ」
囁かれてようやくじたいを飲み込めた渡辺はわめきながら、上に乗ったやつをどけようとくるくる回ってサインを探した。
「渡部達やめてぇ!」
真佑も二人を制しするそぶりをした。またほかの数名も渡部たちが動きやすくするために長机などをどかしていった。
「あっ!」
「おいいい加減やめろよ!」
ようやく周りが二人を引き裂いた。
渡部は壁に背をもたれてあいてを睨んでいた。
「・・・おい今の大きな騒ぎはなんだ!」
部屋のスピーカーから問いただす声が聞こえた。「ただの痴話喧嘩です!こんなところに閉じ込められたんでストレスが溜まっちゃって!」
「・・・あまり騒ぐんじゃないぞ!」
「はいはい」
渡部の周りに誰もが集まった。
「真佑ちゃんこれじやない?」
渡部は床についた手の甲を目でさして真佑にサインの場所を促した。
真佑は頬を一瞬綻ばせて軽く頷いた。
「間違いないこの部屋だよ!しかも一番壁が手抜きをされていたやつだよ」
「で?これを・・・」
「そうこの建物はいい加減に立てられてコンサルや建設業者は逮捕され多額の賠償金を払わされたんだ。ただそのあとずーっと放置されたままこんな使い方されてるんだよ」
「・・・・」
「その時壁の中を調べたら中の鉄筋は錆びてたし、コンクリートもかなりゲル化してたんだよ、だからちょっと硬いものですぐにポロポロと壁を剥ぎ落とすことがでくるんだ!」
「あーでもここには何も無いよ!せいぜいこのパソコンと筆記用具くらいかな!」
「食事の時どうしてるの」
「部屋が突然暗くなって、そのあと明るくなると食事が机にセットされているんだ。食べ終わるとまた暗くなって回収されている」
「それって箸とかスプーンがついてきてるでしょ?」
「あぁー確かに!」
「今回ひとつスプーンを返さないでやってみようよ」
「えっでも大丈夫かな」
「渡部ってアルバイトした事なかったっけ」
「ほら回収された使用済みの食器って業者が集めて一箇所で洗浄するってやつ」
「あぁ!やったやった!」
「たぶんこんなところのも回収してるよ」
「じゃわかんないな」
渡部は自分のスプーンを一つ食べ終わったら直ぐにポケットの中に仕舞い込んだ。
まもなく部屋が暗くなり食器類が撤収された。
「渡部スプーン貸して!わたしからやってみるから、みんなで少しづつ掘っていこ」
まず宣言通り真佑から壁を崩し始めた。




