第19話:戻った記憶。
分からない・・・・・・分からないんだ。
何もかも。
でも、気がつけば俺はマオを睨んでいて。
それ以来マオも俺のところに来なくなった。
毎日のようにミヨナが俺のところに来て。
マオの悪口を言っていく。
ミヨナの言うことは全部本当なのか?
すべてが遮断された俺にとって、外から入ってくる情報はミヨナから与えられたものしかなかった。
退院した。
誰かが喜んでくれる気がした。
でも、ミヨナ以外、誰もいない。
家族もあいにこない。
何故かは入院中思い出したから分かった。
でも、重要なことが思い出せてない。
分からないんだ。
マオが頭からはなれようとしない。
ミヨナみたいにべったりと俺の脳裏にくっついたまんまだ。
ミヨナは相当俺に惚れているらしくべったりしてくる。
かなりうざい・・・・・・。
いや・・・・・・うざいなんて思っちゃ駄目だ。
彼女だったし、彼女・・・・・・なんだから。
会いたい。
マオに。
すべてを聞きたい。
俺のことを知ってる限りですべてのことを。
聞きたいんだ。
なんで俺の見舞いなんかきてくれた?
本当は俺、お前のほうが彼女なんじゃって気がしてならないんだ。
でも、今さらだよな。
おせぇよな。
時はあっという間に過ぎる。
もやもや感は募るばかり。
ぱっと顔を上げると、ぱっと顔を逸らした少女がいた。
「・・・・・・マオ?」
マオはびくりと体をこわばらせると反対通行のほうへ逃げた。
「まって!まお!!まてよ!!」
そこにトラックが来ていた。
悪いのは完璧に俺だ。
マオが後ろを振り返った。
「・・・・・・だめっ!こないで!!」
次の瞬間・・・・・・。
キキィィィィィイイイ!!!
グシャ・・・・・・。
ドサドサドサ・・・・・・。
二人して弾き飛ばされた。
俺は壁に頭を強くぶつけて、マオは・・・・・・トラックの下にいたと思う。
そのまま意識がとんだ。
ここ、どこだろうか。
俺、マオに聞きたいことあったのに。
きけないままってことか?
でも、なんだろう。
次々に浮かんでくるこの映像・・・・・・。
まおが笑って。
カフェにいて。
学校サボって。
遊園地にいて。
ミヨナが邪魔して。
薬やって。
マオに嫌われて。
でも、付き合えて。
悲しい。
恋しい。
愛しい。
すべて混ざって、涙になる。
マオ・・・・・・ごめん。
やっぱマオが彼女だったんだな。
マオ・・・・・・ごめん。
いいや、正式名、如月痲緒梨。
好きだ・・・・・・。
やっぱり俺、記憶がなくても、お前のことが頭から離れなかった。
お前が好きだよ。
痲緒梨・・・・・・。
でももう、死んじゃったからこの気持ちも伝えられないな。
ガクンと体が揺れる。
みぞおちパンチをくらった気分だ。
いてぇ・・・・・・。
とたんに目は覚めた。
頭をぐるぐる巻きにして、ミヨナが目の前にいた。
「悟夢!!」
「触るな。」
「え?」
「俺に触るな。大嘘つきめ。」
「もど・・・・・・ったの?」
「全部戻った。痲緒梨はどこだ。」
「いかせない。」
「は?」
「アイツの元へなんか絶対いかせない!!」
俺の前で両手を広げた。
ミヨナは俺を睨みつけながら泣いていた。




