第20話:独り
悔しい。
何で気づくの?
どこにいても見つけてしまう。
悟夢のこと―――・・・・・。
あなたがあたしに気づいて。
あたしの足は勝手にあなたから逃げていた。
記憶がないんでしょ?
ならどうしてあたしを追いかけるの?
どうしてあたしは逃げるの?
逃げてる間、ちらりと目に入ったトラック。
まさか・・・・・・。
でも・・・・・・。
駄目っ!こないで!!
気がついたら飛び出してた。
気がついたら助けてた。
気がついたらどこか分からない場所にいて。
あたしは意識を失って冥界の国にいるのだと不思議と受け入れることが出来た。
悔しい。
睨まれても。
ミヨナにだまされてても。
記憶がなくても。
こんなに・・・・・・。
こんなに・・・・・・。
あなたのことが好きなんて。
悔しい。
悔しい。
悔しい。
忘れたいのに。
消し去りたいのに。
嫌いになりたいのに。
どんどん好きになるなんて。
悔しい。
どうしてあたしの体は・・・・・・心はいつの間にかこんなにも一丸となって悟夢を求めるようになってしまったの?
同じ境遇だったから?
そうかもしれない。
かわいそうだと思ったから?
そうかもしれない。
ときめいたから?
そうかもしれない。
癖やしぐさが全部、かわいいと思ったから?
そうかもしれない。
愛しいと思ったから?
そうかもしれない。
だって、それ全部で彼なんだから。
一つでもかけてたら彼じゃないんだから。
悔しいよ。
あたし・・・・・・いまだにこんなにあなたのこと、好きです。
大好きです。
忘れることなんて出来ない・・・・・・!
あなたじゃないと嫌なんです。
どうかだからもう、いいよね?
どうせ、あたしがいなくなっても、こんなに苦しい思いを・・・・・・するなら。
記憶も、カラダも、なくなっても・・・・・・いいよね?
大好きなお父さん。
お母さん。
そこにいるのがそうね?
二人ね?
今、行きます。
今、あいに逝くからね。
おもむろに歩いてすぐに足を止めた。
どうして・・・・・・どうして二人はそんなに寂しそうに笑うの?
知ってるでしょ?
私、二人がいなくなっちゃったから、すっごく、すっごく苦しかったんだよ?
家族って呼べる人全部、失っちゃったんだよ?
今も、存在できるあたしの居場所なんて、なくなっちゃったんだよ?
おばあちゃんやおじいいちゃんも現れ、みんなは笑いながらどこかに消えていく。
まって!まって!!
あたしは転んで、そのままみんなの姿は消えて、わけの分からないところに一人、取り残されてしまった。
―――また、独り・・・・・・。




