7話 魔女の伝説
――魔女の伝説――
このナーロッパ諸国において
魔法使いというのは貴族の証明であり
国の軍事戦力として
常に中心にありました。
その魔法使いが唯一恐れた存在が
――魔女――
最上級の魔法を使うことはもちろん
何より魔女を魔女たらしめたのが
魔法使いを殺すのが魔女だったからです。
魔法使いは詠唱が出来ないと魔法が使えない。
その声を封じる魔法を使ったのが魔女。
禁忌の魔法と呼ばれた
その【沈黙の魔法】は
魔女と呼ばれる存在にしか
使えるものはいなかったという……
今でもこのナーロッパ諸国において
魔女というのは
最上の称号であると共に
忌み嫌われる存在でもあったのです。
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「え〜!?てかなんであたし
人間みたいになってんの!?え?え?」
リッカは自分の姿に驚きつつ
周りをキョロキョロ見ながら
ツムギの方を見た。
「リッカ!?……あたしの名前?」
「そうよ〜リッカちゃん〜♪」
「……はぁ。あんたがボス?てことは
全部あんたの指示ってわけ?」
「うふふ〜♪」
ニコニコしているツムギの横に来たアヤメが
「……虫も殺せぬお姫様ですからね」
皮肉たっぷりにそう伝えると
「はぁ……どおりでうちの子らみんな
生きてるわけだ?」
なんと――
あれだけいたキラービーの群れは
一匹たりとも息絶えてはおらず
ハクに殴られ気絶しているか
アヤメに羽を半分斬り落とされて
動けなくなり地面に落ちているかの
どちらかなのです。
「あれだけの数のキラービーを相手に……」
圧倒的な実力差を披露したアヤとハク。
「んで?その人間は何者なわけ?
ヴァンパイアか何か?」
「うふふ〜♪秘密♡」
「それしかないでしょ〜よ」
「ええ?アヤさんが……吸血鬼?」
「オズの皆さん。黙っていて申し訳ない。
ですが、わたしのこともムギ様の能力のことも
内密にお願いしたい……」
「ムギさんは擬人化能力……?」
「まぁ、そんなところです〜♪
リズさん、内緒でお願いしますね?」
「は、はい……わかりました……!」
「そうか……つまり……
ハクちゃんもそういうことなのか……」
「わんっ!」
「はは……ムギさん、あなたの方が
よほど魔法使いではありませんか……」
「うふふ♪少し懐かれやすいだけですわ〜♪」
ツムギ一行の規格外を目の当たりにした
オズのメンバーにしっかりと口止めをお願いして
一行は次の目的へ
「リッカちゃん?マンドラゴラの根もお持ち帰り
したいのだけど案内してもらえるかしら?」
「いいけど、あいつら引っこ抜くと奇声あげて
めんどくさいよ?うちらも手に負えないもの」
「そんなにややこしいですの?」
「あいつらの奇声は
この森の魔力をフルに使った魔法なんよね。
だからこの森のマンドラゴラは特に危険。
魔力量がはんぱないから。
そこのヴァンパイアといえど、
身動きできなくなるわよ〜?」
「……一応対策としては引っこ抜かず、
土ごと持って帰るというのが手段らしいです」
「ほら、その犬の横、マンドラゴラ」
「わんっ!?」
言うが早いか
すでに
ハクが
マンドラゴラを土から引っこ抜いてしまっていた。
「……あ」
「あ……」
「……引っこ抜いたらダメだったわん?」
!!――キエエエエエエエエエエエエエ――!!
衝撃波
一言で言うならそれは
衝撃波
頭蓋骨にまで響くあまりの音量に
全員が耳を塞がずにはいられず
レオとカインは一撃で失神。
ついてきていたキラービーの群れとリッカも
気を失って堕ちていく。
ツムギ一行も
音というものが振動であることを
体現するかのごとく、身体中が震え
身動きを封じられてしまった。
「ぅわぁぁあ……!!」
「あぁぁあ……!」
「くぅぅぅぅん……!」
ツムギ達もまったく動ける状態ではなくなってしまい
為す術なしの状況に陥ってしまったのです。
このままでは全員意識を失いかねない……
そんな危険を救ったのは
――意外な人物でした。
覚醒したその者は
突然大量の森の魔力を体内に引き込み
窮地を救うべく
とある伝説の魔法を無意識に発動。
その【沈黙の魔法】は
叫ぶマンドラゴラの魔法を
一瞬にして封じ込めてしまったのです。
「……おさまった?」
「リズ!?一体、何をしましたの?」
リズの身体は光り輝き、
まだ幼い少女だったその姿は
大人の女性のような姿になっておりました。
「こ、これは……?」
「リズ!!リズが!!
変身しましたわ〜♪」
「えええ!?」
マンドラゴラの叫びの魔法を
沈黙の魔法で打ち破ったリズ。
――そう。
彼女はたしかに
すでに
名付けられていたのです。
――あなたは【魔法少女】と名乗るのですよ〜――
この窮地に
リズは人を超えた
英知の結晶とも言える
【魔女】へと、進化したのです。
「なんて魔力……わたし、一体、
どうなっちゃったの……?」
ツムギの授名の奇跡が
伝説の魔女を
呼び起こしてしまったのでございます――




