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68話 勇者と魔王


「わ、わかったよ、妖精の涙はうっかり

こぼして、なくしまったんだね……」


「ご、ごめんね?ナギちゃん……」


「いえ、まぁ何とかしましょう……

正直、私だけならば時空魔法により

妖精の国へ行くことができます……」


「ええ!?ナギちゃんいけるの!?」


「はい、ただし、妖精の涙がないと

行ってからまた帰ってくるのに時間が

かかってしまうので……」


「どういうこと?」


「別次元の異世界となる妖精の国へ

私は強引に時空を歪ませて

単独で入ることはできるのですが、

身体や魔力の負荷が大きすぎるんです」


「妖精の涙があると?」


「妖精の涙は簡単に言えば

仮死状態にさせる劇薬なのです。

それを使い魂だけの状態をつくり

ここの天使たちにその魂を【妖精】に宿らせて

妖精の国へ送ってもらうというのが

スムーズに妖精の国へ行く手段です。

時空魔法で無理矢理入ると

妖精の国での体の維持に魔力を使い切ってしまい、

戻るのにかなり時間がかかるということです……」


「なるほどですわ〜それでどうしますの?」


「奥の手を使います。

ここでお待ちください。

無理矢理妖精の国へ行くのは

危険なので、私が

妖精の涙を調達してきます」


「あらあら〜手間をかけさせてしまって

ごめんなさいですわ〜……」


「ふふふ。大丈夫ですよ。

ゆっくり宴を続けていてください♪」


そう言うとナギは黒いモヤモヤを出し

その中に自ら入ってしまいました。







⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆








「さぁさぁ今夜は豪華ディナーでございます」


「うひょー!カエデのご飯〜♪」


あらゆる土魔法、火魔法、水魔法などを駆使し、

とても美味しいシチューをこしらえたカエデ。


「美味いな♪カエデはアマハラ家の料理人にも

引けを取らない素晴らしい腕前だよ」


「はふっ!はふっ!わんわん!」


「ぺろぺろ……美味いにゃー!」


「やるじゃないカエデ!

あたしの専属にしてあげてもいいんだからねっ!」


「有り難きお言葉感謝でございます」


「うふふ〜♪妖精の件はまた明日ゆっくり調べる

ことにしまして今日は呑んじゃいましょう〜♪」


「やったぁ♪」


酒盛りを始めたツムギ一行。


みんな楽しくお酒とディナーを楽しみ


今宵は深く眠りに落ちたようです……。







みんなが寝静まった頃――


ツムギたちの部屋に

何やらひとつ人影のようなものが……


「ふふふ……ツムギちゃん……お邪魔しますね」


「ふご?ふにゃ?」


夜は更けていきます……








翌朝





「ああああ〜!!!」


叫び声で起きたみんな。


「ほえ〜!?」


「何よヴァンパイア〜うるさいわね?」


「くぅぅ〜ん」


「にゃぁご……もう、呑めないアル……」


「よ、妖精の涙が……」


「え?」


「ケースが開いて……

中身が床に零れてしまっています!」


「えええ〜!!!」


無惨にも中身がぶちまけられてしまっている秘宝。


「なんで!嘘!?」


「くぅぅん」


床の絨毯がすっかり涙を吸い込んでしまっている。


「……」


「あらあら〜」


散々酔っ払っていた記憶はある。


犬と猫は走り回るし

蜂は空飛び回ってるし

鬼は酔っ払って説教始めてたし

神木は一番最初に酔いつぶれていた。


「ムギ様……申し訳ありません……」


「えへへ♪まぁ零しちゃったものは

しかたありませんね〜♪

みんな、ドンマイですわよ〜♪」


国の秘宝を零して無駄にしてしまうという

ポンコツぷりを発揮。


これ以降お酒を呑む時は誰か1人介抱役を

決めることになったそうです……







⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆







黒いモヤモヤの中からまたナギが出てきました。


「あ、ナギちゃんおかえり〜♪」


「ふふふ。ただいま戻りました」


ナギの手にはいつぞや見た事のある

ケースに入った妖精の涙が……


「ああ〜♪それそれ!それだ!妖精の涙!」


「無事回収してまいりました」


「どうやったの?」


「時空魔法を使い、少し過去のチャイ国に行って

呑んだくれて寝ているとある一行の部屋に

お邪魔してきました。そこでこの妖精の涙を

別のモノとすり替えて取ってきた次第です」


「……え?」


「……?」


「なんかそれ……

さらっととんでもないこと言ってない?」


「ええ。時空魔法とは時空管理ともうひとつ、

過去へ行くことが出来ますから――」


「ええええ!!?」


「なんだそりゃ……過去に行ける?」


「ええ。あまりやりすぎると

現在に異変を起こしてしまうので……

危険なので多用はできません。

今回もモノをすり替えて

わざと床に零すという作業をして

現在に異変を起こさないように仕向けています」


「絵本でタイムワープするお話がありましたわ〜」


「うんうん。

過去の現象を変えればもちろん

この今が変わるのですけど

それを不用意にやると

パラドックスという現象が起きて

この世界に異変が起きる。

誰かの存在がなかったことになり

消えてしまうとかね……

取り返しのつかないことになるんだ。

なのであまり使いたくないんだよ……」


「ほえー!」


「いや、ほんとに【時を司る精霊】の名は

ダテじゃなかったんだ……」


「ナギすごいわんっ!」


「いやぁ、おかけで毎回とんでもない魔力を

使うので普段何もせず

温存して寝ているのを許しておくれ……」


「ははは……」


「ふむ。

……そういうことか……!

わかったぞ?

魔王をその時空の狭間に封印した者。

100年前に誰も倒せなかったという魔王を

封印したという伝説の勇者……」


「なんだか突然現れて魔王を封印して

そのまま消えたってお伽噺のやつ?

何者かもわからない夢か幻かとも言われた……


あっ!」


「まさか!?」


「ああ。そうだね」







周りの天使たちはみんな知っているようでした。


「はい、紛れもなく、このお方こそ……」






100年前の過去へ飛び、

誰も倒せなかった魔王を

時空の狭間である妖精の国へと

封印し世界を救った



時を司る精霊こと






――伝説の勇者ナギ様でございます――











読んでいただきありがとうございます!


もし少しでも面白いな、

続きが気になるなと

思っていただけましたら

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