64話 高天原
「あれが天空要塞、高天原……」
「ど、どうしましょう〜!?」
大事なアマハラ家の天界への門
タカアマハラを墜落させてしまったツムギ。
「姫。とりあえず救出に向かいましょう。
あの要塞は天使たちが管理しています」
「わぁ、ナギちゃん、あそこの人たち
知っていますの〜?」
「はい。さすがに落下してしまっては
要塞の修理と怪我人をまずは助けないとです」
「で、ですわよね!?
ありがとうナギちゃん、行きましょう〜」
絶対兄姉に怒られると恐怖に震えていた
ツムギでしたが、我にかえり、
とりあえず要塞へと向かいます。
ひとつの大きなお屋敷くらいの天空要塞。
黄泉の国の使者が鬼の者であり、
こちら天界の使者が天使というわけ。
要塞の中は大パニック。
10人ほどの天使たちが
騒ぎ立てている。
「みなさん無事ですか〜!」
怪我人も多数いる様子……
すぐにカエデが治癒魔法をかける。
世界樹として進化したカエデのスキルは
【マナ覚醒】。
生命力、魔力、スキル能力の大幅な増幅。
自分自身だけではなく、周りの仲間の能力も
向上させる最強バフスキル。
「こ、これは?あっというまに怪我が治った?」
カエデの回復魔法が超絶パワーアップしています♪
怪我をしていた天使たちも
なんとか落ち着きを取り戻しました。
「これは……!ナギ様ではありませんか!
見ての通り突然高天原が浮力を失い、
墜落してしまいまして……!」
「無事で何よりです。ドミニオンはどこですか?」
「高天原の動力の源を調べております……」
「案内しなさい」
「は、はい!」
ドミニオンとはこの要塞の責任者の天使のこと。
「ナギは天使たちのこともよく知っているのね?」
「知り合い程度ですよ?」
「……あ、あの……
ね、ねぇナギちゃん……
ど、どうしましょう?
やはりわたくし、
怒られますでしょうか〜……」
「ふふふ……任せてください姫」
「だってぇ……
アズミ姉様のこめかみぐりぐりは
地獄の拷問より痛いのですわ〜……」
幼少期より粗相をしたら
次女アズミによる頭わしづかみ攻撃で
お仕置をされていたツムギは
終始おどおどしています……
要塞の中心部にドミニオンと呼ばれる
天使がいました。
「こ、これはナギ様!」
「無事かい?」
「はい、しかし墜落の原因がわからず……」
世界樹を消した張本人は
ナギの後ろから恐る恐る声をかける。
「天使様。お初にお目にかかります……」
「……!!」
ツムギをみた天使はびっくりして凝視する……
「あ、あなた様は……まさか!?」
「こちらアマハラ家四女ツムギ様であらせられます」
ナギが紹介してくれました。
「……おお!やはり……!
ツムギ様……お会いできて光栄です……」
天使ドミニオンは涙を流しツムギに向かって
跪いてきました。
「なんとも……若かりし頃の
ナデシコ様にそっくりでございます……」
「まぁ!お母様をご存知なのですね!」
「ええ、もちろんです。
この高天原を長らく管轄していたのが
ナデシコ様でしたから……」
後ろで見ているツムギ一行も
気まずそうにしていますが
成り行きを見守るしかありません……
「ムギの実家ってやっぱすごいのね……?」
「そうみたいじゃのう?
娘があれじゃからなぁ。
そんな気配はまるでないがの。ぎゃはは♪」
「し、しかし、ツムギ様はなぜここに?」
「たまたま迷いの森へ来ていたのですわ……
それで従者と共に急ぎ駆けつけた次第です」
「それはそれは……
そ、そうだ、とりあえず
セイメイ様に報告しなくては……」
「セイメイお兄様……!?
あ、お兄様にはわたくしから
連絡しておきますわ……?
たまたま近くにいたのでわたくしが
対応致しますので、ご、ご安心を〜!」
「おお!なんという奇跡の幸運!
ツムギ様感謝いたします……!」
天使は涙を流し喜んでいる。
「アレ絶対、自分のせいで墜落したのを
家にバレないようにしようとしてるわよね……」
ナデシコ亡き後、
この高天原を管轄しているのは
長男セイメイだそうです。
「ドミニオン様、天使全員怪我から回復しました」
「なんと?一体なぜ!?」
「それが、なんと、世界樹が具現化して
我々を魔法で治療してくださったのです!」
「おおお!?これは一体!?」
カエデがあっというまに天使たちの怪我を
治してしまったので天使たちは
カエデにまでひれ伏している。
先代高天原管轄者ナデシコにそっくりな
アマハラ家四女ツムギ。
さらには最強の時を司る精霊ナギと
世界樹のカエデの登場で
天使たちは感激の連続。
「怪我人の手当をありがとうございます。
しかし、ツムギ様……あなた様の従者……
これは一体……」
ドミニオンは
多種多様すぎるツムギの従者を見て
頭が追いついていない様子。
「安心なさい。
わたくしの優秀な従者たちです。
すぐにこの高天原の墜落の件も
なんとかしましょう……」
「ありがとうございます!ツムギ様!」
「ムギ……あんた調子乗ってないで
さっさと謝った方がいいんじゃないの?」
「リッカちゃん!ダメです……!
しー!ですわ〜……!」
自分のせいで墜落したとは言えず
ひたすら誤魔化そうとしていますが
なんだか後戻りできずに
困る結果になりそうで怖いですね……
さてさて
ツムギは
怖〜い兄姉たちにバレずに
天空要塞高天原を無事にまた
空へと戻せるのでしょうか……?




