54話 三種族
その小人は魔物と呼ばれ
人間から忌み嫌われ
迫害を受けていました。
とても手先が器用でしたが
精巧な武器を作り始めたことによりさらに、
人間から恐れられ嫌われてしまい
悲しんだ小人はついに
地底から地上へ出てこなくなったそうです。
銀髪の耳の長い長寿の生物だったその魔物は
不思議な力を使えました。
森に住む精霊の声を聞くことができ
土や水、大気に宿る力を扱い
それらは現在の魔法と呼ばれるものの
すべての基礎となりました。
しかし、その力を悪用し、我が物としようとする
人間たちに狙われてしまいます。
愚かな人間とのやり取りに嫌気がさした
その魔物はおよそ人間の寄り付かない
極寒の地の森にて人々を迷わせる結界を張り
人間を拒絶するようになりました。
人と魚と両方の性質を持つその魔物は
人間と魚の間を取り持つ
仲介者として存在しましたが
人間たちは魚を食材としてしか
認識することはなく
その尾ヒレをもつ魔物は
見世物にするために捕獲し
私利私欲のために扱うばかりでした。
ついにその魔物は海底深くの人間の来れない所へ
身を隠し、ひっそりと過ごすようになりました。
この三種の魔物は人間と相容れることができず
長らく身を隠して過ごしていましたが
ある時
とある神様がこの者たちに魔物ではなく
人間側の名前を授けました。
小人達のことはドワーフ族。
耳の長い者たちはエルフ族。
人と魚の間の者たちはマーメイド族。
彼らは魔物ではなく
人としての名前を授けてくれたこの神様に感謝し
信仰の対象とします。
今でもなかなか人間との間に距離はあるものの
魔物ではなく人間の種族として
扱われるようになった彼らは
この神様を祀るべく
三種族みんなで力を合わせて
大きな神殿を作りました。
建築をドワーフが。
結界をエルフが。
管理を海底にてマーメイドが。
そうして、
この海底神殿は
海の深くにて
今も
こうして
三種族の崇める
神の神殿として
存在しているのでございます――
「すごい!この神殿の中空気がある♪」
海底神殿にたどり着いたツムギ一行は
空気があるのでゴレダムから降ります。
神殿内は結界が張られ、空気があることにより
リッカの体調はみるみるよくなりました。
「この神殿の中なら水圧の影響をほぼ
受けないね!」
「うひゃひゃ……
噂で聞いたことがありますね
人魚の護る海底神殿……
ここがそうなのね……」
「すごいね!実在したんだね〜♪
これこそお伽噺の世界だよ」
「奥に人魚さんが何人かいますけど
ウチも新顔ですから
ちゃんと歓迎してくれるかは
わからんとよ〜?」
「マリナちゃん〜♪ありがとうですわ〜」
人魚のマリナにくっついて離れないツムギ。
「はわわ〜!?くっつきすぎです〜 ……
し、刺激が強い〜!?」
人魚の体にまだ慣れていないようで
マリナはツムギのくっつき攻撃にひたすら
悶えています。
一方水圧で苦しんでいたリッカは
「少し楽になったわ〜……でも、
精霊や銃は平気なのなんとなくわかるけど
なんでムギは水圧平気なの!?」
「あらあら〜?なぜでしょう〜?」
「てか、地下帝国に居た時もさ……
みんな暑いだの息苦しいだので
高温多湿と高気圧で苦しんでたのに
ムギ全然平気そうだったよね!?」
「うふふ〜♪圧に強いのかしら〜?」
「そんなことある??」
「……あ、姉様から貰った
破魔の御守りのおかげかもしれません〜」
「その御守りは確かに強力な結界が張られているね」
「こないだ来た忍者のお姉ちゃんじゃないのね?」
「はい〜♪
これはアマハラ家の1番上の姉様
ヒミコ姉様から貰ったものです〜
姉様にはもう子供がいましてね〜
わたくしの姪っ子になるのですが〜
カグヤちゃんと言いましてね〜
これがまたもう
めちゃくちゃ可愛くてですね〜
くどくど、くどくど……」
「あーもうわかった!話が長いのよ!」
「あらあら〜マリナちゃん〜
わたくしには姉様が三人居ましてですね〜……」
「はわわ〜!」
「マリナに標的を変えるのやめなさいムギ!
マリナも相手しなくていいわよっ」
「わーっはっはっは♪」
「うひゃひゃ……」
精霊二人はいつものムギとリッカのやり取りを
楽しく見ているだけ
「人魚さんたち居ますよ〜」
神殿の中には別の人魚が数人いました。
「見ない人魚ね?それと、精霊様?
あなた方は何者ですか……?」
「あらあら〜
ムギと申します〜
空気が欲しくて寄らせていただきましたの〜
遭難中なのですわ〜♪」
「そ、そうですか……」
ツムギのお気楽な挨拶に
人魚たちも少し引いていて面白い。
「ここが、希少種と言われる三種族が
神を祀っている神殿なんだね〜」
「そのドワーフのようなお姿の精霊様は
何かしらドワーフ族とご縁がおありなのですね?」
「ボクは土の精霊さ〜♪」
「それはそれは……
よくぞお越しくださいました。
その通りです。
この神殿こそ
我々三種族に名前を授けてくださった
命名神を祀る神殿でございます」
「ほえー♪」
「へぇ……なんだかどこかで
聞いた気がするわね?
命名……?」
リッカは我が主をチラリと見ますが
「あらあら〜?
わたくしもお祈りを捧げますわ〜♪」
ツムギはいつも通り気楽に
命名神様へお祈りを捧げています。
「……気のせいか」
ふふふ♪
リッカちゃんは
勘がするどいですね♪
まぁ
このお話は
いずれ
わかる時が来ますよ……
ふふふ♪




