53話 災害
こちらは飛竜二匹に乗ったヒスイたち。
「マオ。お前なら飛竜の呼吸に合わせて
乗りこなせるはずじゃ。やってみろ」
「にゃー!」
ヒスイと共に飛竜に乗っているのはアヤメとハク。
もう一匹の飛竜には
マオマオ、カエデ、ボタンが乗り込み
マオマオに手綱を引かせている状況。
「なるほどアル……
飛竜たちは賢いにゃぁ!
ちゃんとこちらの意思も汲み取って
合わせてくれるにゃ〜」
「マオマオ。さすがでございます……」
「やるねぇ猫のくせに。おろ?熊やったかね?」
「パンダにゃ!」
「おい!なんだあれは!?」
アヤメが指さした先で海に大きな渦が発生。
「海底に引きずり込む大渦じゃのう……」
「船が飲み込まれるわんっ!」
「うむ。残念ながら船は無理じゃのう」
大渦に飲み込まれる船。
「あのまま船に乗ってたら……」
間一髪海の災害を回避できたツムギ一行。
「キラービーが西の方向を指している。
おそらくムギ様が西へ向かっているという
メッセージだろう。ヒスイ。向かうか?」
「いや、ちょっと待て……」
「どうしたわん?」
飛竜を見事に乗りこなしマオマオ達も近づいてくる。
「どうしたにゃ?」
「……少し妾の話を聞けお前たち」
「……?」
「この世に竜と呼ばれる存在は4種おる。
元々は神に仕える聖獣として
存在していたのじゃが……
実際今となっては
神に仕える役目などあまり為してはおらん……
お前ら地下帝国でニーズヘッグに遭遇したじゃろ?
あれが地底を担当している地龍ニーズヘッグ」
「無茶苦茶デカかったにゃ!」
「あいつはほぼ知能がない。
地底でマグマを活発化させたり
地震を起こしたりするただの災害じゃ」
「……ふむふむ」
「アヤの出身のヤマトにも地上を担当している
ヤマタノオロチというのがおる。それも龍じゃ。
山ほどの大きさじゃな」
「イザナミ家が所有していると言われる聖獣だな。
わたしも実際見たことはないが」
「そして、妾たちはアマゾネスに住む
天竜と呼ばれる竜でバハムートと呼ばれている。
ほかの竜と比べると小さいがそのかわり
数匹存在して徒党を組む。
この飛竜ワイバーンも天竜の眷属。
今は妾は全てを娘のコハクに託しているので
実際の今の天竜はコハクじゃ。
よってこの飛竜たちもコハクから借りておる」
「ヒスイ……お前聖獣だったのか……」
「そりゃ強いわけだね?ケタケタケタ♪」
「まあ引退しとるからの、
実際今は妾の力は全盛期の三割程度。
つまり今のコハクには妾が三人おっても勝てぬ」
「……コハクちゃんえぐいな……」
「妾はつまり地底のニーズヘッグにも
地上のヤマタノオロチにも
一人で挑んでは到底勝てんという話」
「……ふむ?それは理解した。
つまり?何が言いたいんだ?」
「もうひとつ、最後の竜は
水龍リヴァイアサン。海を担当している」
「……え」
「そう、水龍リヴァイアサンとは
実体が存在しない。海で起こる災害そのもの。
海震、津波、大嵐、海底火山噴火、大渦……
それら全てがこの水龍リヴァイアサンの仕業なのじゃ」
「……まさか!」
「そうじゃ。あの貧乏神のアンのヤツ。
地底でニーズヘッグを呼んだだけでは飽き足らず
この海で水龍リヴァイアサンを呼び起こしておる」
「この災害そのものが……」
「ああ。水龍リヴァイアサンがここにおる!」
「ど、どうするにゃ!?」
「どうにかできるレベルじゃないだろう!?」
「うむ。問題は……海中へ潜った娘たち。
リヴァイアサンがそちらに標的を向けたら……」
「主様が危ないわんっ!」
「リヴァイアサンが
海中にいる娘たちに向けて攻撃をするとしたら
海底火山の噴火じゃな。
これをされたらあの土ゴーレムも
ひとたまりもない……」
「お、おい?ヒスイどうすれば!?」
「リヴァイアサンは実態はないが
意識は存在しておる。標的が娘たちに
行かないように妾たちが囮になって
こちらに、意識を引きつける!」
「無茶苦茶だ……」
「仕方ないの。諦めて囮になって時間を稼ぐぞ!」
「ではまずは私が、結界をなるべく張りましょう」
「幻覚魅せれるかわかりゃしませんえ……」
「雷落としてみるわんっ!」
「チャイ!拳!ぱーっ!!」
「おい!アヤ!?やめろ!海はアカン!
ワイ錆びるからあかんで〜!」
「……観念しろチドリ」
「ぎゃぁぁあ!覚えとけよアヤ〜!!?」
「いくぞ!ドラゴニックショック!!」
ドドドドドド……!!!
海に向かって攻撃を始めるアヤメたち。
ツムギを標的にされないために
必死で攻撃を続けて意識を向けさせる作戦……!
海上でそんなことが繰り広げられていることを
知りもしないツムギは……
人魚のマリナに夢中になっていました……
「マリナちゃん〜♪
ほらほらよく見てくださいまし〜♪
ゴーレムの中に人が入っているのですわ〜
わたくし、ほらほら、中に人です〜」
ゴーレムの頭部は透明なガラス状になっているので
視界が良好。中からも外からも様子が見える。
「はわわ〜?
あなたがウチをこんな姿に!?
変な人っちゃんね〜?」
「あらあら〜お気に召しませんでしたか〜?」
「い、いや……
人魚は肺呼吸もエラ呼吸もできる
海において至高の生物っちゃ。
人間とも魚たちとも意思疎通ができるし……
イルカよりも早く泳げるし……
文句はないっちゃけど……」
「気に入ってくれましたのね〜♪」
「はわわ〜?
なんだか丸め込まれる空気感がしとるとよ〜!?」
「わーはっはっは♪
こうやってみんなムギちゃんのペースに
巻き込まれていくんだね♪」
「うひひ……ねえ、
調子に乗ってだいぶ深く潜ってるけど
水深100Mも超えれば地下帝国と同じく
水圧でやられちゃうよ……?」
「うんうん、リッカがやばそう」
「……え?リッカちゃん!?」
そういえばリッカのツッコミがなくなっている。
「うう……これ水圧の影響なの……?
物凄く息が苦しい……はぁはぁ……」
「やばいね!?一度海上へ出よう!」
「あらあら〜!リッカちゃん〜
カエデがいないので
具合が悪くなるのはダメですわ〜」
「あ、えと……
それなら……!
ウチらイルカが海中で空気を取れる特別な
場所があるのでそこへ行くっちゃ!」
「まぁまぁ〜マリナちゃんそんなところが?」
「はい〜ウチ人魚なってしもたから
特にオススメできるとよ!」
「……?どういうこと?」
「はい〜
そこは海底で結界が張られている
人魚の住む神殿……」
――海底神殿と呼ばれている場所っちゃんね!――




