52話 希少種
ウララちゃんのトゥインクルスター☆に
乗った船の乗組員4名。
ウララちゃんは10分で着ける可能性のある港町を
乗組員さんから聞き出し、
全速力で空を飛び続けた。
「うちの娘がよく見てた絵本の……
本物なのかい?
君は本物の……トゥインクルウララ……?」
「今まさに空を駆けているんだ……
疑いようがないだろう……」
「乗組員さん!ウララのことは……
内緒でお願いしますぅぅ☆」
最低限の荷物を抱え、船は一度捨てた。
大嵐が落ち着いたら改めて船を探しに戻ることに。
「見えた!港町だ!」
なんとか10分で港町までたどり着けました。
「ありがとうウララちゃん!」
「まだです!海震から津波の可能性があります!
港町の人々に高台への避難指示を
お願いしますぅう☆」
「なんてしっかりした子だ……!」
「まだ子供なのに……」
「ウララは海の怪獣からみんなを守るのです!
にぱー☆」
ウララちゃんのポッケから出てきたキラービー。
地面の土にお尻の針で文字を書き始めた。
「必ず迎えに行くから待機!」
「リッカちゃん!わかりました!
プルル!みんなを避難させよっ!
ウララはここで津波に備えますぅぅ☆」
「ぷる〜☆」
――こちらは海中へもぐったゴレダム
「海底火山の噴火の気配は無さそうだね
でも地震の可能性が高いね〜。
ボクの予想通り海の中は安全といえば安全だけど
周りの魚たちが西へひたすら逃げてるから
ついていくことにしよう……!」
「ゴレダム様〜♪西へ発進ですわ〜♪」
「ムギあんた、なんで楽しそうなのよ」
「だって海の中なんて初めてですもの〜♪
お魚さんがたくさんでしてよ〜♪」
海中でのゴレダム遊泳に感動しているツムギ。
「うひひ……ムギちゃん楽しそう……」
「マイマスター、ゴレダムニ気化爆弾ガ
新シク装備サレテイマス。
撃ツ時ハヒナニ指示ヲクダサイ〜」
「うひょー!海中でも撃てますの〜?」
「いやごめんムギちゃん。海中は無理だよ……」
「うーん!残念ですわ〜!」
「むにゃむにゃ」
「あ!やっとメイが起きたわよ!」
「ええ〜?ここどこ……!?」
「うひひ……メイ、あたいら遭難中よ」
「おぉ〜さすがだねアン♪」
「何がさすがだよ!?メイちゃん助けて〜!」
「うーん……そうだね、
とりあえずはアレだね
アレについていくといいよ〜」
メイが指さした先にいたのは
「きゃぁ!イルカさんですわ〜♪」
魚たちと共に泳ぐイルカの群れ!
「キュー!キュー!」
「キュー!キュー!」
「イルカさんきゃわわ〜♪」
遭難中だというのにまったくブレない
ツムギのテンションは相変わらず
興味の湧いたものに一直線なのです……
「イルカは実は肺呼吸だから
しばらくすると海上に顔を出すはず。
魚だとずっと海中にいるからね。
ついていくならイルカってわけさ」
「め、メイちゃん!なんて賢いの〜♪」
メイちゃんにチュッチュしだすツムギ。
「うひゃー♪」
「うひひ……」
「ムギ!状況確認よ!
ウララちゃんは港町に到着。
こちらは大丈夫そうね。
アヤたちは飛竜の上から船を目視できる範囲で
待機中ね。しばらく様子見してもらってる」
「イルカちゃぁぁん♪」
「ちょ!ムギ!聞いてるの!?」
聞いていません……!
「素敵な素敵なイルカちゃん……
あなたには海という意味の【マリナ】
という名を授けちゃいま〜す♪」
「なに海中で魚に名付けしてんのムギ〜!?」
「あらあら〜魚さんではなくってよ?
イルカさんは哺乳類なのです〜」
「それは別にどうでもいいのよっ!」
「まぁまぁ〜?
リッカちゃんたら喜んじゃってもう〜♪」
「手に負えない!ちょっとノゾミなんとかしてよ!」
「わーはっはっは♪
ムギちゃんを止めれる存在なんて
この世にいるのかい!?」
「うひひ……」
「うひゃひゃ」
「マイマスターノ仰セノママニ」
「ダメだこりゃ!」
――カッ――
名付けたイルカの一頭が光り輝く……
「え、まさかイルカの擬人化?」
「うひひ……これは」
そのイルカはみるみる上半身が人間に――
そして下半身は尾ヒレの姿へと――
「うひゃ!これはまた!珍しいところがきたね!」
「あああ〜!」
この世界には三種類――
希少種と言われる
人間とほぼ関わりを持たない
種族が存在します。
ひとつは
地下帝国の【ドワーフ】
ひとつは
迷いの森の【エルフ】
そして
もうひとつが
海底の
――【マーメイド】――
「……人魚!
イルカがマーメイド族に成ったぁぁ!?」
「うひょー♪」
狭いゴレダムの中でヨダレを撒き散らすツムギ。
「ムギ!ヨダレ〜!」
ヨダレを浴びているリッカちゃん……
イルカの群れの中に一人
人魚が誕生してしまったのでございます……!
「はわわ〜!?ウチどないしたと!?
人魚になってしもたばってん〜!?」
「マリナちゃん〜
やほやほですわ〜♪
わたくしムギと申します〜」
「はわわ〜!?な、なんで
ロボットが泳いどると〜!?」
「お友達になりましょ〜♪」
「えええ〜!!!?」
海中にてまさかの無理矢理の授名――
もう、
ツムギ……あなた
少しは自重しなさ〜い!
……人魚はとっても可愛いけどっ!




