51話 航海
「3回目じゃな……
さっさと、吹っ飛ばしてかまわんか?」
「お願いしま〜す」
「ドラゴニックショック!」
どどん!
「ぎゃぁぁぁ!!」
近づいてきた海賊船をヒスイが吹っ飛ばすこと
実に3回目……
ただいまツムギ一行はエルフの森があるという
寒冷地へ向けて航海中ですが
「こんなに襲われるもんなの?」
「この辺りはバイキングと呼ばれる
海賊が多くてな……
船には護衛として
用心棒や騎士や冒険者などを乗せるのが定説じゃ。
妾も貴族さんの航海の護衛などで
よくこの辺りでは仕事はしたもんじゃ」
「冒険者ってそんな仕事もするのね〜」
「ああ。しかし一航海で3回バイキングに
襲われたのは初めてじゃがな。ぎゃはは」
みんながツムギの肩に乗って寝ている
メイをじっとみつめる。
「うひひ……?」
起きているのはアンの方。
「思ったんだが……メイが寝ててアンが起きてると
運が悪くなってないか……?」
「そしてメイが起きててアンが寝てると
何やらいい事が起きるような……」
「うひひ……あたいが言うのもなんですけど
人生なんて
悪いこともあれば良いこともあります……
確率は半々に収束します……
ただ多分あたいらがいると少し
振れ幅が大きくなるだけだと思うよ〜」
「振れ幅あからさまだよ……」
メイアンの運の仕組みを
なんとなく理解したツムギ一行。
運を可視化できると考えれば
とても有能だとは思いますが
なかなか思い通りにはいかなさそうです……
「おい!アヤ!
またお前可愛い髪飾りなんか買いやがってよぉ?
ええ歳こいて色気づいてんじゃねえぞぉ!」
「これはツノを隠すためのものだぁぁ!
チドリ変なことをみんなの前で言うなぁあ!」
「アヤぽんは〜かっこ可愛いですわ〜♪」
「あひゃひゃ!」
「チドリ貴様ぁ!海に落としてやるぅぅ!」
顔を真っ赤にしてチドリをぶん投げようとしている
アヤメをなんとか取り押さえるみんな。
「アヤは歳いくつなの?」
「わたしは35です……ムギ様に仕えると
決めていますので縁談は断っております……!」
「あひゃひゃ!行き遅れやぁぁ!」
「……この!断ったと言ってるだろう!?」
「……チドリ。
あまりアヤぽんをからかい過ぎないようにしてね〜」
「おっと、調子乗りましたわ、すんまへん〜」
チドリもツムギの言うことだけはきちんと聞く。
長い船旅となっていますが
ツムギ一行はみんなの力もあり
順調に航海を続けています……
目的地は
ナーロッパの北の寒冷地。
迷いの森と呼ばれるエルフの住む森。
――ところが――
「雲行きが怪しいのでございます……」
「どうしたのカエデ?」
「船の乗組員が慌ただしいのう?」
「北の空が真っ暗です」
「大嵐だな……」
「みんな船内へ……」
ついに海賊では飽き足らず
大嵐まで呼び起こしてしまうアン。
ドドドドド……!
「うわ!?何だこの音!?」
「これはまずい……
海震か、海底火山の噴火かもしれぬ」
「おいおい、まじか」
海震、海底火山、大嵐のコンボ!?
船の乗組員もあおざめている状況。
「ドラゴンキラーさん!なんとかなりませんか!?」
船の乗組員までヒスイを頼り出した。
「ふむ。妾は実はな……」
「……おお?何か秘策が……!?」
「泳ぐのが苦手じゃ……」
「えええ〜!!??」
ヒスイに思わぬ弱点。
「にゃーも泳ぎはしたことないにゃ」
「キラービーは羽根が濡れたら飛べないわよ?」
「刀が濡れると錆びますので基本海には入りません」
「樹に海を泳げなどとは言わないでくださいませ」
「アマハラ屋敷の庭の池なら泳いだことあるわんっ」
「あちき、そもそも夢の中で生きてたでありんす。
現実の世界で泳いだことなどありんせんよ?」
「ボクとメイアンは精霊だから大丈夫さ!」
全員がツムギを一瞬見て
まぁ泳げるわけないよなとすぐ諦める。
「あらあら〜?」
「……海全員苦手じゃん!!」
……大ピンチ襲来!!
「ウララ変身すれば10分は飛べますが
船ごとキラキラ星に乗せるのは無理ですぅぅ
やれても数人です……」
船は貸し切っているので
船員さんが、4人。
「コハク……ワイバーンを借りるぞ!」
ヒスイは口笛を吹いた。
「おお!飛竜!?」
「近くにおるのは……2匹か……
飛竜に乗れるのはせいぜい3人ずつ……」
「ウララちゃんは船の乗組員さんを
助けてあげてくださいまし〜」
飛竜には3人ずつ合計6人が乗り込む。
ウララちゃんは船の乗組員さんを、担当。
そしてツムギは……
「土霊機動巨人ゴレダム発進〜♪」
ツムギにくっついてる組と共に
ゴレダムの中へ!
「ボクのゴレダムなら水中でも移動できるよ!
ムギちゃんとリッカ、ヒナ、メイアン、ボクで
海の中へ入る。
空をとべても落ちたら危険だからね、
逆に海の中の方が安全ってわけさ!
ただゴレダムに入るのは1人が限界なので
ムギちゃんと小人組になる」
「よし、ノゾミ、主様を頼んだぞ!」
「キラービーを各みんなのポケットに忍ばせて!
それであたしがみんなの状況を把握できるわ!」
「リッカ!素晴らしいね!最高だよ君は!」
「え!……いや!
よ、余裕よ!?
あたしの有能さに今頃気づくなんて
甘いわね!?
このくらいあたしにかかれば
へっちゃらリッカなんだから〜!」
「へっちゃらウララですぅぅ☆」
「へっちゃらムギムギですわ〜♪」
……飛竜が来た!
「みんな〜絶対無理せず〜
死んじゃダメですわよ〜」
ツムギはゴレダムで海中へ避難!
ウララちゃんは船の乗組員の救出!
飛竜2匹で空に避難は
ヒスイ、アヤメ、ハク。
マオマオ、カエデ、ボタン。
海の大嵐を無事に乗り切れるか……!
「……すやすや……」
……いやいや!
メイちゃん起きて〜!!




