50話 お姉ちゃん
孤児院に戻ってきたツムギ一行。
孤児院では、ドワーフとの契約祝い、
新しい仲間【メイアン】の歓迎会などと称して
宴が開かれていました。
「八雷神とやらはこれで全員倒したのかい?」
「あと一人いるはずですが……
おそらくヤマト国にいるでしょう」
「ならしばらくは変な刺客も無さそうじゃのう」
「ええ。ヤマト国きっての暗殺集団でしたからね。
ひとまずは安心でしょう……」
「姉ちゃんとは話はこじれんかったのか?」
「はい〜♪大丈夫でした〜♪」
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八雷神撃破後のドワーフ地下帝国にて――
八雷神三人を縛りあげたところで
その人はやってきた。
アヤメのすぐ真後ろに突然現れた
姿を完全に消してしまう【隠密】
という神託スキルの能力者。
「……アヤメ。どういうことだ。
なぜこんな遠い国へツムギと来ている?
説明してもらうぞ」
「……!アズミ様!!」
アヤメはすぐに跪く。
気づいたハクまでも猛スピードで頭を垂れた。
「わんっ!」
「誰にゃ!?」
「……!?」
みんな突然現れたくノ一軍団に身構えるが
「あらあら〜♪まぁまぁ〜♪」
「ムギ!?誰!?」
「アズミお姉様〜♡」
アズミに突進して抱きつこうとするツムギ。
「むぎゅうっ!?」
アズミに頭を掴まれて悶絶するツムギ。
「ツムギ。応えろ」
ぐりぐり……
「ほぎゃぁぁ!?
あ、アズミお姉様〜
す、すいません、
ちょっと国内のつもりが
つい、色々見たくなりまして……
少しだけ遠出をしてしまいました……」
「みんな大丈夫です!
アマハラ家次女アズミ様でございます!」
アヤメがそう叫ぶと
みんなは驚き戸惑う。
「ムギのお姉ちゃん〜!?」
「八雷神の動きがおかしいから
追ってみたらまさか狙いがお前とはな」
「えへへ〜♪アズミお姉様にまた
護ってもらいました〜♪」
「しかもなんだこの従者共は?
地上にもバケモノみたいなやつがいたぞ?」
「あ〜多分ヒスイのことかしら〜?
ちょっと竜な感じです〜えへへ〜」
「お前は相変わらず話にならんな?
おい、アヤメ……。
間違っても我が妹にケガをさせるなよ?
あと、遠出しすぎるな。
早めにヤマトへ戻ってこい。
わかったな?」
「は、はい!かしこまりました!」
「うへへ〜♪アズミお姉様〜
ご飯一緒に食べましょ〜♪」
「拙者は任務中だ。
……お前のせいでな!
早いうちにヤマトへ帰れ!
八雷神はうちで回収するぞ。
いくぞお前たち!」
「はっ!」
それだけ言うとくノ一軍団は捕獲した八雷神を連れて
さっさと引き上げてしまった。
「あ〜ん、アズミお姉様かっこいいですわ〜♪」
「ムギのお姉ちゃん、怖いわね……」
「たしかに凄い覇気だったにゃ」
「アマハラ家の忍者で最強のお姉様です〜♪」
「無理矢理連れて帰られるかと思いました……
アズミ様は一見怖いですが
なんだかんだムギ様にはお優しいですから……」
強制送還されずに済んだので
まぁ、よしとしましょう……
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宴は夜も続いています。
すっかりツムギに懐いてしまったメイアンは
ツムギに抱きついてちっとも離れません。
「ムギちゃん〜うひひ……」
「はい、あーん♪」
両サイドから果物をツムギの口に
ひたすら運んでいる。
「美味しいですわ〜♪」
ツムギにくっついている小さい軍団が
また増えてしまいました。
リッカ、ヒナ、ノゾミ、メイアン……。
「狭ィデス薄型モードニ変形カシャカシャ……」
「ちょっとあんた達!ムギの服の中は
あたしが1番先輩なんだからねっ!」
謎のポジション争いが勃発しているようですが
それもまた微笑ましいものです。
「ボクは御守りの中をしっかり確保したからね〜
わーはっはっは♪」
「我が主様とずっとくっついていられるなんて……
羨ましい限りでございます……ポッ♡」
「ムギっちはモテモテですぅぅ☆」
「わんわんっ!」
「ムギムギの魅力には脱帽にゃー♪」
すっかり、大所帯になってしまったツムギ一行。
微笑ましく見ていたテレサとジャンヌ。
「ムギさんはすごいね!?
精霊を使役するなんて、
本当はエルフ族なのか?」
「いいえ、ジャンヌ。エルフ族とは
銀髪で耳の長い種族ですよ。
ムギ様はヤマト国の姫様です」
「え〜わたくしがエルフ〜?」
「そ、そうですか!
エルフ族という者が精霊を使役するのが得意だと
聞いたことがあるものでして……」
「あらあらまぁまぁ〜♪
エルフ族様は?
精霊様を〜?
使役なさっている〜?
あらあら〜♪」
「ちょっと、ジャンヌ。あんた余計な情報を……」
「……え!あたし何か変なことを言ったか!?」
「にゃは♪少なくとも次の行先は決まったにゃ?」
「そうですね〜」
「えー!!」
「アハハ」
「クスクス」
「エルフ族の住む森というのが
たしかナーロッパから北へ向かった
寒冷地にあるらしいのう?
妾も行ったことはないが」
「かなり極寒の地らしいですね。
ただ、ちょうど今の時期なら
白夜と呼ばれる太陽の沈まない時期。
それほど寒くはないはずでございます」
「カエデわかるの!?」
「いえ、北から飛んできた渡り鳥から
少し聞いたことがあるだけです。
詳しいことまでは……」
「精霊様に聞けばいいんじゃないの?」
「ん〜?ボクたち精霊はあまり精霊同士の
コミュニケーションはないんだよ。
各地で好きにしてるからね〜
ボクとアンはたまたま同じ
地域にいたから一緒にいただけさ。
エルフの森のことはわからないね?」
「うひひ……噂程度なら
エルフの森といえば
この世で最強の精霊様がいるとは
聞いたことがあります……」
「おおお!最強の精霊様!?」
「……はい……詳しくは知らないけど……
たしか、【時を司る精霊】様と……うひひ」
「うひょー!最強の匂いがぷんぷんしますわ〜♪」
「ムギ様……次の目的地決まりましたか……」
「ええ♪テレサ♪お世話になりましたわ〜
孤児院のみんなも本当にありがとうですわ〜」
「また遊びにきてくださいっ!」
「ムギ姉ちゃんまたね!」
「ムギお姉ちゃん!」
孤児院の子供たちとも挨拶ができました。
しばらく滞在した砂漠の国とも
ついにお別れです。
「さぁ、みんな♪
次は目指せ♪
エルフの森ですわよ〜♪」
「うひひ……!」
「おー♪」
次は最強の精霊様?を求めて
精霊使いと呼ばれるエルフ族の住む
エルフの森へ――
お姉ちゃんに早く帰ってこいと言われましたが
懲りないアマハラ家四女
ツムギの冒険は
まだまだ
続くようでございます――
読んでいただきありがとうございます!
もし少しでも面白いな、
続きが気になるなと
思っていただけましたら
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