44話 黒い水
イザナミ家に暗殺部隊が存在するように
アマハラ家には忍者部隊が存在する。
ヤマト国においてこのアマハラの忍者部隊は
諜報活動から密偵、裏稼業に至るまで
多くの場で活躍をしている。
この忍者部隊を統括しているのが
アマハラ家三男イナリ。
そしてくノ一部隊を率いているのが
アマハラ家次女アズミ。
イナリの持つ神託スキルは【変化】。
体内に九尾の狐という妖を宿しており
自分の姿を変化させることができる。
アズミの持つ神託スキルは【隠密】。
こちらは姿を完全に消すことができる。
この最強の忍者二人の姉弟により
アマハラ流忍者部隊は
イザナミ家の暗殺部隊にも劣らない
ヤマト国での最強軍隊の座を得ていた。
「……イナリ」
「どうしましたか?アズミ姉さん」
「八雷神の二人、火雷神と若雷神がヤマトを出た。
先日も土雷神が海外へ出ていた……
どうも何か怪しい動きをしている。
うちの部隊につけさせているが少し心配でな。
拙者も確認に出ようと思う」
「へえ?八雷神最強と言われるあの二人がですか。
それは何かありますね……? わかりました。
ヤマトのことはお任せください姉さん」
「……頼んだぞイナリ」
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こちらは砂漠の国アラプト。
「呼ばれて出ましてノゾミちゃ〜ん♪」
ツムギの持っている御守りの中に忍び込んだ
ノゾミは登場する度にいちいちこのセリフを吐く。
「せっかくランプから解放したのに
あんた結局狭いところ好きなんじゃん」
「わーはっはっは♪
もう10数年ランプの中に居たからね!
落ち着くというか、納まりがいいと言うか……
でもこの御守りはすごいね?
高度な結界が張られている」
「うふふ〜♪わたくしのお姉様から
貰った大事な御守りですのよ〜♪」
この御守りには【破魔】スキルを持つ
アマハラ家長女ヒミコによる結界が付与されており、
すでに何度もツムギの窮地を救っています。
「ところであの黒い水の件ってなんなの?」
「うんうん。孤児院の裏から黒い水が
湧いたろう?ボクはアレの正体を知っているんだ」
「とても水としては使えなさそうな
あのギトギトした液体ですよね?」
「あれはね、とある一族が
とても重宝しているエネルギー源なんだ。
その者たちはアレを石油と呼んでいる」
「あらあら〜♪聞いたことありませんね?」
「隠しているからね、
本当にごく一部の人間しか知らないと思うよ?」
「ではアレの存在は隠すべきだと?」
「そうだね。改心した王様に言ってもいいけど、
前科があるからね。正直信用はできない。
なので石油の取引を直接その一族とするのが
まぁ早いと思うんだ」
「ふむふむ」
「ボクの体は実はその一族の姿を模していてね、
土の精霊であるボクは古くから付き合いがある」
「……え!その小人サイズが?
てことは小人族……?
小人族てことは……まさか!」
「そう、この世界の地下に住む
ドワーフの一族さ」
「おお!エルフと並ぶ希少種のドワーフか!」
「人間より遥かに高度な技術を持っている。
小さいから直接その作られたモノを
人間が使うには人間が自ら作らなければ
実用性はない。
蒸気機関車を扱っている国があったろう?
アレも地上に出た【はぐれドワーフ】が
人間に技術を伝えたモノなんだよ」
「ふおぉ〜♪ノゾミは
小人のドワーフちゃんだったのですね〜♪」
「ふふふ。模しているだけさ。
人間とコミュニケーションを取るには
人の姿を借りるのが早いからね。
ボクは土の精霊だから、たまたま交流があったのが
地下に住むドワーフ達だったので
基本ベースの姿がこのサイズなだけ。
実際それを言うならこのチームなんてまさに
人型に進化した者の集まりじゃぁないか♪」
「そう言われればそうですわね〜♪」
「妾も長く冒険者をしていたが、
ドワーフやエルフという種族は
噂にはよく聞くが、会えたことはないのう」
「ヒスイでも会ったことがないくらいレアなのね」
「そうだね。誰も行き方を知らないからね。
だけど、実はここにそれを
知っている者がいるんだよね〜♪」
ニヤニヤしながらみんなを一瞥し、
ドヤ顔を披露するノゾミ。
勘づいたツムギはノゾミに言ってあげる。
「ノゾミ〜♪
ドワーフちゃんたちの住む地下へ行きたいわ〜♪」
「わーはっはっは♪
仕方ないなぁ♪
その願い!
ボクが叶えてあげよう〜♪」
「わーい!」
「やったやった!」
「ドワーフの地下帝国か……
噂には聞いていたがとても楽しみだな」
次の行き先が決まりました♪
小人族であるドワーフの地下帝国!
石油を使ったすごい技術を持つドワーフ。
今回掘り当てた石油の取引を持ちかけるために
土の精霊ノゾミに案内してもらうことに……!
しかし――
ツムギ一行のそばで怪しく動く黒い影が……
その黒い影は
ツムギ一行から離れると
とある人物と接触した。
「見つけたぜ!間違いねぇ、
例の四女一行だ!……しかも
ドワーフの地下帝国へ行くようだぞ!?」
「でかしたぞ!黒雷神!」
「こりゃいい。えらい儲け話になるかもだぞ?」
八雷神が一人、黒雷神の持つスキルは【漆黒】。
己を漆黒の闇に紛れさせ、
影などに擬態して諜報活動をする。
析雷神とジョーカーは
黒雷神の報告を受けて
この場では対応せず、
招集している火雷神と若雷神の到着を待ち、
ドワーフによる儲け話を思いついた
ジョーカーと共に
ツムギ一行のあとを追うことに……
ドワーフに浮かれるツムギ一行。
それを追う八雷神とジョーカー……!
舞台は
地下帝国へ――




