42話 情報屋
ここは王宮オアシスの街にある
冒険者ギルド【アラプト支部】
冒険者ギルドを代表する2人がここに――
「ようスイ、お前が呼び出してくるとは
なにごとだ?急に引退などしやがって」
「もう冒険者はやめたのじゃ。
妾は今はヒスイと名乗っておる。
お前、あんだけ寄付してやったのに
文句を言うのか?ぎゃはは」
「なんだ?寄付金返せとでも言うのか?」
「そんなしょうもない事でわざわざ
ギルドマスターを呼ぶか。
ちとこの国のことを調べて欲しいんじゃ」
この男は世界中の冒険者ギルドを束ねる
ギルドマスター【ウイリアム】。
文字通り冒険者ギルドの頂点にいる者。
ヒスイとは20年来の旧知の仲であり戦友でもある。
「この国は王族が異様に力をつけて
貧富の差の酷い国に成り下がっている。
すでに色々情報は手に入れている」
「そうか、さすがじゃな?話が早い」
「裏の情報屋【ジョーカー】を知っているか?」
「ふむ。聞いたことはあるな?
鑑定スキルというレアスキルを持っていて
あらゆる情報から表も裏も影で支配する男。
普通ならわからないこともスキルの力で
個人情報まで全部見抜くらしいのう?」
「ああ。その男が恐らくこの国を裏で牛耳っている」
「なるほど。そのスキルで何かをして
富と恵みを王宮にもたらしているのだな?」
「うむ。対象を見ただけでその者の素性から
持っているスキルや能力まで見抜くらしい」
「鑑定スキルか……そりゃすごいのう」
「商人や貴族にもうちから圧力をかける。
あまりの殿様商売にギルドとしても
手を打とうと思っていたところだったからな」
「そうかそうか、ならもうお前に
任せることにしよう。妾の出番はなさそうじゃな」
「ああ。貴族まではまぁなんとかしてやる。
王族はさすがに手が出せんがな。
それでお前は国なんかに関わって何をしているんだ?」
「ああ。ただのおせっかいじゃな。
妾の主はちと変わり者でのう。ぎゃはは♪」
「あ、あ、主〜!?なんだそれは!?
お前が誰かの下に付くだとぉ!?」
「ああ。妾の余生を捧げると決めた主じゃ」
「おいおい、ふざけるなよ?
俺はお前にならギルドマスターの座も
譲るつもりだったんだ!」
「それは断って寄付したろうが?」
「いやいや、この世の最強生物を倒した
ドラゴンキラーの上に立つなんて
どれほどの存在だよ……
魔王か?勇者か?」
「ぎゃはは。
100年前に世界を支配したという魔王と
それを封印した勇者の伝説か?
もはやお伽噺じゃろう?」
「茶化すなよ、何者なんだお前の主とやらは?」
「ただの動物が好きなお人好しの娘じゃよ」
なんだそいつは――
ぎゃはは――
こちらは王宮――
「ど、どういうことだ!?
魔法のランプが壊れて精霊がいなくなってる〜!」
王宮では国宝のランプがなぜか壊れて
封印していた精霊が逃げ出し大混乱です。
「ジョーカーは!ジョーカーはどこへ行った!?」
「そ、それが、数日前から居なくなっており……」
「こんな時に限っていなくなるだと!?」
「探せ!ジョーカーの力無しでは
王宮に富と恵みをもたらすことは叶わんぞ!」
「は、はい〜!」
こちらは街の酒場――
情報屋【ジョーカー】はすでに
この国を離れる準備を済ませていた。
「ああ。まさかドラゴンキラーが来るとはな。
完全に何かを掴んで嗅ぎ回っている。
あんなのに狙われたら問答無用の力技で
むちゃくちゃにされかねん。
もう充分稼がせて貰ったからな。
ここらが潮時だ」
「なんだ?この国を離れるのか?
どこへ行くつもりだ?」
「適当に稼げそうなところを探すさ」
「ふむ……いや、というか本題は?」
「ああ。確証がないからな。
一応見たままだけ伝えておく。
依頼のあったヤマト国アマハラ家四女の件。
お供の可能性のある獣人が
旅芸人として王宮に来ていた。
犬と猫の獣人だ。
小さい娘が連れていたがこの娘は別の女だった」
「犬と猫の獣人のセットの時点でほぼ
間違いない。それだな」
「そうか、最後に依頼をこなせてよかった。
一体なんなんだ?その四女てのは?」
「ああ。我らイザナミの八雷神のうちの三人と
棟梁黄泉醜女のヨミ様を消したやつらだ」
「は?八雷神とあの鬼の棟梁を!?」
「ああ。絶対に許さねえ。
俺たち八雷神は大雷神を棟梁に据えて再始動した。
俺の剣の師でもある鬼のヨミ様がやられるなんて
考えられん。地の果てまでも追い詰めてやる」
「へぇ?なんだか少し面白そうだな?」
「そうか、……どうだ?
次のアテがないのなら
俺たち八雷神に付き合わねえか?
ジョーカーさんよ?」
「いいだろう。だが稼げる匂いがしなかったら
とっとと降りるからな?析雷神よ」
「すぐに他の八雷神を招集する」
「楽しませてくれよ?イザナミ家さんよぉ」
どうやら
まだまだ
一波乱ありそうな気配……
ツムギたちの運命やいかに――




