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37話 貧困の村の孤児院


「なんという恵み……

ムギ様本当にありがとうございます……」


シスターテレサはツムギからの大量の

ほどこしにただただ感謝と祈りを捧げる。


「これだけの孤児のお世話をしている

シスターの姿勢に感銘を受けての行動ですわ……

これはシスターの日々の献身的な行いの

結果でしてよ?」


「ムギ様……ぅう……」


テレサは感激のあまり涙を零す……


「ママ!これは一体なにごとなんだ!?」


「おかえりなさいジャンヌ。

こちらは異国の貴族のご令嬢ムギ様です。

食材の寄付をしていただきましたのです」


「貴族だと!?お前ら何が目的だ!?」


「ジャンヌ!失礼な口をきいてはなりません……」


「貴族がなぜこんな真似をする!?」


「あらあら〜?

シスターのお力になりたいと思ったのです……

余計なお世話を働き申し訳ありません〜」


「姉ちゃん!この人ら村のみんなにも

食材配ってるんだ!いい人らだよ!」


「……!?」


「ムギ様……申し訳ありません……

ジャンヌは孤児の中で一番のお姉さんでして

みんなの面倒をよく見てくれている

心の優しい子なのです……

王宮の貴族様にどうしても良い印象がなく、

大変失礼致しました……」


「よくってよテレサ。

しっかりしたお姉ちゃんなのでございますね。

とても素敵です〜」


そこへ現れたのは

巨大ケバブを抱えて帰ってきたヒスイ。


「ガキ共ご馳走じゃぞ〜!」


「うわぁぁあ!」

「でけぇ!!」

「け、ケバブだぁぁあ!!」

「こんなの見たことないよ!」


「ほれ並べ、切り分けてやるぞ」


孤児院の子らにとってケバブはご馳走。

みんな大喜びなのです。

わーわー♪

肉だ肉だぁぁあ♪


「あらあら〜ジャンヌお姉ちゃん、

お怪我をされていますわね?」


「……!ち、ちょっと擦りむいただけだよ!」


「カエデ~」


カエデの回復魔法でジャンヌの怪我はすぐ治療。


「今日はトカゲ一匹しか捕れなかったんだ……

みんなに食べさせるものが足りなかったから

少し遠出をしたけど怪我をしたから帰ってきて……

ママごめん……役たたずで……」


「ジャンヌ。いつもありがとう。

弟や妹たちはあなたのことをとても頼りにし

心から愛していますよ……

無事に帰ってきてくれて感謝致します……」


「さぁ、ジャンヌお姉ちゃんもどうぞ

ケバブを一緒に食べましょう〜♪」


「ぅ、うぅ……」


ジャンヌはツムギよりひとつ年上でした。

ツムギは自分の姉達のことを思い出しながら

一緒にケバブを楽しみます。


シスターは貧しいながらも

孤児たちと家族のように過ごしている。

シスターとは生涯独身なので

もちろん孤児の子達とは血の繋がりはない。


しかし、

血の繋がりはあっても

ツムギは兄弟や姉妹とは

ほとんど一緒に過ごすことはなく

母が亡くなってからは

侍女のアヤメと

ハクたちペットの動物たちと過ごしていました。


ツムギは本当の家族よりも

ずっと仲が良く見える

この孤児院の家族の子たちを

心から救いたいと思うようになっていました。


ジャンヌが狩ってきたトカゲに触れるシスター。

カエデが反応する――

「主様……シスターは特殊なお力をお持ちです」

「え?テレサ今のは……?」


「……ええ。これは魔法の一種なのですが

浄化魔法と呼ばれるモノです。

食材となる命に感謝を込めて

安らかに眠っていただく祈りと共に

殺菌や消毒などの効果があります」


「解毒の治癒魔法と似ておりますが

ヤマトの神託スキルに似た特殊魔法ですね。

教会のシスターならば納得の魔法でございます」


「浄化ですか……!テレサ、あなたは

なんと素晴らしいのでしょうか……♪」


「神の導きでございます……アーメン」


子供たちが病気になってしまうことが

とてもリスクが大きく

医者に見せることも難しい貧困の村。


子供たちの笑顔を支えているのが

このテレサとジャンヌなのだと

ツムギはよくよく理解しました……。





夜――


村の宿に泊まっているツムギ一行。


「ほどこしが目先の付け焼き刃でしかないことは

よくよくわかっております……

みんなお力を貸していただきありがとうですわ……」


「ふふふ何を今更……

ムギ様であればいつものことです」


「孤児院の子達みんな喜んでました♪

お役に立ててウララも嬉しいですぅぅ☆」


「村の人達も感謝していたわんっ」


「お人好しは今に始まったことではありんせん……」


「主様少しこの国に滞在しましょうか……」


「ええ。せっかく仲良くなりましたので

この村で少しお世話になりましょう……

何かわたくしたちにできることを探したいですわ〜」


「王宮オアシスの街はほんとに栄えている。

うちの子らで情報は集めてみるわね!」


「どうも、貴族が民を救わず

私欲に走っているように見えますね……

まさにヤマトのイザナミ領地と同じ状況……

いえ、これはあれより酷いですね」


「妾も明日から冒険者ギルドで

最近のこの国の動向を探ってきてやろう」


「あちきがインディ国に居た時は

自国の民はきちんと潤わせていたでありんす。

この国はちとキナ臭い匂いがするねぇ」


「みんな、本当にありがとうですわ〜」


「ムギムギえらく気にするにゃ?

らしくないにゃ?」


「ええ。どこまでわたくしが

この国、この村のお力になれるのか……

正直なところ、自信がないのです……」


「ムギ様……」


国の政策には口も出せない。

村で仕事にあり付けず貧困に苦しむ民。

異国の旅人でしかないツムギができるのは

目先のほどこししかない……

ツムギも世界中を旅しながら

そのことをよくよく理解するようになっていた。


「……なんとかしたいですわ」


「主様……私たちが居ります。

みんなで力を合わせましょう……!」


「カエデ……ありがとうですわ」


みんなが優しく微笑みツムギを見る。


「みんな……ありがとうございます……」


珍しく少しナイーブになったツムギ。

どうやら自身の家族のことを思い出したようです。


ツムギはアマハラでは

ハズレスキル持ちとして

役たたずと判断され

家族から期待されず

距離を取られ過ごしてました。


それでもいつもそばにいてくれたのは

アヤメと、ハク。


そして今は――


こんなに沢山の仲間ができています。



そうですよツムギ。



あなたは決して


一人ではありません。


家族よりも確かな絆が


もうここにはあるのでございます――









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