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36話 砂漠の国の冒険



ぼわわわ〜ん……


――やぁ♪よく呼び出してくれたね!

そうとも、僕がランプの魔人だ♪

どんな願いでも3つ叶えてやろう♪――


ぼわわわ〜ん……








「来ましたわ〜♪砂漠の国アラプトですわ〜♪」


ツムギ一行がやって来たのは砂漠の国アラプト。

反物や貿易の盛んな砂漠の中にあるオアシスの国。


ここはツムギの大好きな絵本

【ランプの魔人】の舞台となった国であり、

ツムギが憧れた国のひとつなのです。


「はっきり言っといてあげるけど、

ランプの魔人なんていないわよ?」


「えええ〜〜~!!」


本気で驚いているツムギ。


「本気で信じてたんだ……さすがムギね……」


「この国の秘宝が魔法のランプだと聞いたことが

ありますが、実際のところはわからないですね」


「空飛ぶ絨毯はありますわよね〜?」


「あんたすでにうちの子らの上で

寝そべって移動してるじゃん!?」


人目がない所ではキラービー軍隊の上に乗って

自堕落な移動をよくしているツムギ。


「ええ〜ん、リッカちゃんいじわるですわ〜!」


「妾はこの国へはだいぶ昔に来たことがあるぞ」


「おお♪さすが世界最強冒険者様!」


「まだ冒険者として始めたばかりの頃だったの〜」


「どんな冒険をしたのですか〜?」


「その頃はまだ金もなかったからの。

小さいながらも冒険者ギルドがあって、

そこに通ってよく金策をしてたのが懐かしいわい」


「ヒスイなら相当稼いだんだろにゃ?」


「そりゃ妾は最強じゃからの〜♪

妾が冒険者としてこの約20年で稼いだ額は

国家予算クラスになるぞ?」


「おお〜♪すごい……!」


「……やった!そんな金持ちなんだ!?

じゃぁ、あたしのコツコツ蜂蜜売りも

もう卒業できるのね!?」


「ん?ああ、すまんな。

妾は死ぬつもりじゃったからのう、

財産は冒険者ギルドに

全部寄付してしまったので、もうないぞ?」


「ないんかーい!!」


「アハハ」


「またメイプル&ハニーをコツコツ売りましょう」


「まぁそのかわりと言ったらなんじゃが、

冒険者ギルドには多少は顔が効くから

何かあれば頼み事はしてやれるぞ」


「多少ではない気もしますが……さすがですね」


一応形上は引退したとはいえ

最強冒険者ヒスイの仲間入りは

本当に心強いのです。


「世界中のギルドの力を

借りれるのはありがたいですね。

地元の情報集めがとても早くなります」




「見えました!あれが王宮のあるオアシスです」


オアシスの街へやってきたツムギ一行は

さっそく美味しいご飯を求めて宿へ。


「あいにくですが……

大きな行商人一行が来ておりまして、

しばらく満室でございます……」


「あらあら〜困りましたわね〜?」


砂漠というのは昼は猛暑で夜は極寒となる

厳しい気候。夜営は現実的ではない。


リッカがキラービー軍隊で偵察。

アヤメは空き宿を探して回る。

ヒスイも冒険者ギルド【アラプト支部】で

紹介できる宿を探しにむかう。


ツムギたちは先にお腹を満たしに屋台をまわる。


「これがアラプト名物のケバブですね」


牛肉や羊肉の合い挽きを塊にして焼いた

アラプトの名物料理。

とても美味しいのです。


「美味しいでありんす〜♡」

「おいしいですぅぅ☆」

「わんわんっ!」


みんなでケバブを楽しむ。


アヤメたちが戻ってきた。


「空き宿がまったくありませんね……」


「街の端っこまで見に行ったけどだめそう……」


「この王宮オアシスの街にはもう空きはないのう……

相当大きな行商人一行がしばらく滞在している

らしく数日は空く予定もないそうじゃ。

少し離れるが開き直って隣の村まで行くしかないのう」




仕方なく宿を取るために

王宮オアシスの街から離れた

隣りの村まで向かうことに。



華やかで活気に溢れていた王宮とはうってかわって

隣りの村は……


路上で座り込んでいる民。

あきらかに痩せこけた子供たち。

賊に見える荒くれ者……。


「うーん、この既視感……おい、ハク」

「……わん」


アヤメとハクは何かを思い出したように

荷物を広げ持ってきている食事や水を取り出す。


それと同時に


「まぁまぁ〜これは……」


ツムギが何を言い出すか

もうよくわかっているのです……


「アヤ。……この村の民に

持っている食事を全て分け与えなさい」


「かしこまりました」


ツムギ一行は村の民にほどこしを始める。


小さな子供たちが群がってくる……。


「ありがとう!お姉ちゃんたち!

もっと小さい子供たちがいるんだ!

助けてよ!」


聞けば孤児院があるそうで

ツムギたちはそちらへ向かう。


その孤児院は村の中では一際大きな建物。

元々は教会だそうで

村のシスターが独りで孤児を養っていました。


「神の恵みに感謝いたします……アーメン」


テレサと名乗ったそのシスターは

孤児たちの母親代わりを務め

貧困に苦しみながらも愛を注いでいます。


「オアシスの街はあんなに華やかでしたのに……」


「富裕層と一般人の格差が大きいですね」


「ヤマト国を思い出すわん……」


「妾が昔来た時はここまで

王宮と周りの村に格差はなかった気がするがのう」


シスターテレサは言う――


「ここ10数年ほどでございます……

王宮オアシス周りだけ雨の恵みがあり、

水や植物も生い茂っておりますが

まわりの町村では逆に雨も降らず

草木も枯れる一方でして……

仕事を失った人間はオアシスの富裕層の

奴隷となり重労働を強いられております。

それでも餓死するよりましだと、

皆オアシスの街へ行ってしまい、

残された子供たちを

この孤児院で引き取っているのです……」






ツムギはすぐにお供たちに指示を出します。


「すぐに王宮オアシスの街から買えるだけ

食事や水を買ってきてください……!」


「かしこまりました……!」


「主様の仰せのままに……」


「どうせそういうだろうと思ったわよ……!」


「ぎゃはは。うちの娘はとんだお人好しじゃのう」


「困ってる人たちを助けるのですぅぅ☆」






さて


案の定始まってしまった

ツムギの愚行ともいえる善行ですが


やはり


やっぱり


これがトラブルの始まりと

なってしまうのでありました……









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