38話 仲間がおりますもの
「買い占めと転売の疑いがかかっている!」
王宮オアシスの街から商人と近衛兵が来て、
先日、食材や水を大量に購入したことについて
何やら難癖をつけられてしまっている。
「誤解だ。孤児院への支援の一貫でしかない」
「あきらかに過剰な支援だ!どこか別の場所に
食材を流通させているのだろう!?」
話が通じず困っているとヒスイがやってきて
「妾の連れだ」
「うお!?ドラゴンキラーのスイ殿!?」
「この村と孤児院には妾が駆け出しの頃
助けてもらった恩があってのう。
それで礼をしてもてなしたのじゃ。
何か問題があったかの?」
「……そ、そうでしたか……
あまりに過剰な量でしたので……
今は行商人が多数来ています。
警戒や警備も強化されていますので
程々にして、目立たぬようお願いします……」
「そうかそうか!ご苦労、さぁ帰れ帰れ」
「……ちっ」
さすがはヒスイ。有名人。
商人と近衛兵は大人しく引き下がる。
王宮、貴族、商人と
どうもこの国の富裕層はキナ臭い。
「ヒスイありがとうですわ〜」
「しばらく大丈夫じゃろう。
妾はまた冒険者ギルドで情報を取ってくる」
ボタンは宿にこもってほぼ寝ている。
王宮や貴族の夢に入り込んで
情報を取るために集中してくれているのです。
「な、なぁ!アヤ!あたしに剣を教えてくれよ!」
「ジャンヌ殿。スキマ時間なら構わないが、
きちんとシスターの許可は取るように」
「わ、わかったよ!」
ジャンヌはツムギ一行の力を目の当たりにして
特にアヤメの剣技に憧れだした様子。
村に滞在している間は
アヤメから剣を教えてもらえることに……。
「姉ちゃん!」
「姉御!」
孤児院の子達はジャンヌを姉と頼り
よくよく懐いている。
「クスクス……姉御ですか〜
ジャンヌお姉ちゃん〜♪」
ツムギもジャンヌをお姉ちゃん扱いしている。
アマハラではなかなか
姉たちに甘えることが出来なかった妹ツムギの
心情を察してアヤメは無言で見ています……。
「あらあら〜♪アヤぽん、ジャンヌお姉ちゃんや
孤児院の子達のことよろしくお願いしますね〜♪」
「かしこまりましたムギ様」
何やら孤児院の子達の教育鍛錬を担当することに
なってしまっているアヤメ。
元々ツムギの世話役教育係でもあったアヤメは
剣技ももちろんだが、教養にも長けているのです。
ヤマト国の学び舎でしっかりと勉学を学んでおり
今学び舎に行けば先生として職につける知識量。
ちなみにツムギはおバカすぎて
学び舎には通わせてもらえず……
家庭教師としてアヤメが付いていたというわけです。
「ほんとに何から何までありがとうございます」
テレサはツムギたちに頭があがらない様子。
カエデも孤児院のお料理や雑用を手伝っている。
「テレサはご自身の自己犠牲心がひどいですわ?
立派を通り越して無謀です。
あなた自身もしっかり食べて、
みんなを守る体力をつけませんと……
【ママ】がもし倒れでもしたら
村人も孤児院のみんなも悲しみますのよ〜」
「感謝致します……アーメン」
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ツムギは
特に姉たちが大好きでした。
長女ヒミコ【破魔】35歳
次女アズミ【隠密】31歳
三女ミヤビ【魅了】27歳
そして
四女ツムギ【授名】15歳
このミヤビとツムギの間に兄三人がいる。
姉たちとは少し歳も離れているのもあり
ツムギのことを可愛がってはくれたものの、
それぞれがアマハラの大事な役職についている。
ヒミコはヤマト天皇の直属の護衛部隊の棟梁。
アズミはアマハラの最強忍者部隊のくの一。
ミヤビは父にかわり領地の政治内政をほぼ仕切っている。
忙しいのもあり、
なかなか本家に居ることも少なく
たまに会えた時には
ツムギはいつも姉達にまとわりついていた。
「ヒミコ姉様!天皇家はいかがですか?」
「ワタクシが結界を張っておりますので
安定しておりますよ……
今度ツムギも遊びに来なさいな。
ツムギの社交界お披露目も兼ねましょう〜」
「ヒミコ姉様!嬉しいですわ〜
わたくしのことをお国の方々についに
紹介していただけるのですね〜♪」
「ふふふ♪我がアマハラ家の秘蔵っ娘ですからね♪」
「アズミ姉様の忍者部隊憧れますわ〜
カッコイイです〜♪」
「ツムギ。お前は少しどんくさいからな。
拙者が護ってしんぜよう」
「アズミ姉様〜♪
ツムギのことを護ってくださるなんて……
うぅ……」
「何を泣いておるのだツムギ。
まったくお前はいつまでたっても泣き虫だな」
「ミヤビ姉様……!今日もなんとお美しい……!」
「おほほ♪ヤマト国の民全てから愛される
君主を目指しているわたくしにとって、
美の追求は当然でしてよ♪」
「お母様を超えるヤマト史上一の
絶世の美女と呼ばれておりますわ〜♪」
「うふふ♪ありがとう〜
でもね、一番、お母様に似ているのは
……あなたよツムギ。
ホントにお母様にそっくりになってきましたわ……」
「ミヤビ姉様〜♪ミヤビ姉様〜♪」
「ツムギよしよし……」
「護ってやるぞツムギ」
「可愛いツムギや……」
姉君三人に囲まれ
ツムギは幸せな時をすごしました……
……あ
目を覚ましたツムギ。
ここは
アラプトの村の宿。
「姉様たち……」
仲間たちはみんなまだ寝ているようだ……
……。
まわりの仲間たちを見つめるツムギ。
「……大丈夫ですわ、わたくしには
もう、こんなに素敵な仲間たちがおりますもの
何を怖がっていたのでしょうか……
こんな素敵な仲間たちがいるのに……
ふふふ。
ありがとうボタン……
野暮なことをさせてしまい申し訳ありませんわ♪」
何かが吹っ切れたツムギは
朝
みんなに告げます。
「……そろそろ動きますわよ〜♪
王宮へ……行きますわ!」
さぁ
珍しく少し足踏みをしたツムギでしたが……
いつもの暴走が
始まるのでございます――




