25話 絵本
みんなが寝静まったその日の夜――
ウララの絵本を抱きしめスヤスヤ眠るツムギ。
いち早く気づいたのは
やはり結界を張っているカエデ――
!!――キエエエエエエエエ――!!
いつぞやのマンドラゴラの悲鳴のような
雄叫びをあげたカエデ!!
「敵襲!敵襲!」
敵も超一流の暗殺部隊。
当然夜襲なのであります……!
「ほええ〜?」
「この宿だ!行くぞ!【万雷】!」
ピシャァァ!
ゴゴゴゴゴ……!!!
宿に向けて広範囲の雷を放つ土雷神!
「きゃぁぁあ!!」
ドゴゴゴゴ!!
まったく容赦ない攻撃が宿ごと破壊しにかかる!
あっという間に半壊した宿。
ニヤニヤ笑う土雷神。
「なんだ?終わりか?口ほどにもねえな?」
その瞬間
二匹の獣人が宿から飛び出してくる……!
「ガルル!」
「アチョー!」
「万雷!!」
ピシャァァ!!
ゴゴゴゴゴ!!
「お前ら許さないにゃ!!」
「何度も雷打ち込みやがって!
いい加減ハクも怒ったわん!!」
「出たな?チャイ拳使いの猫……
俺もお前に用があるんだよ?」
「にゃ!?」
「お前だろぉ?チャイ国で俺の弟分を
やってくれたのはよぉ?」
「弟分?どこのザコのことアルか?
ザコのことなんかいちいち覚えてないにゃ!」
「獣人は殺していいと許可が降りてるんだ……
悪いが一切容赦しねぇぞ……!」
カエデとボタンは囮となり
またリッカの力でツムギを空へ避難させようと動く。
「ほえ〜」
「ムギ!起きなさい!
何で魔導銃じゃなく絵本抱きしめてんのよ!」
「へっちゃらウララですわ〜……むにゃ」
「もう!おバカ!」
「……標的は……蜂の魔物!
縮地法!雷鳴発破!」
ドン!
バリバリバリ!
「きゃぁぁぁ!!」
鳴雷神の標的になってしまったリッカ。
雷に打たれてしまう……!!
「きゃぁ!リッカちゃん!」
「しまったでありんす!」
「まずいのでございます……!」
「何度も同じ手が通用すると思われたとは
舐められたもんですね……?
この蜂が司令塔なのでしょう……?
まずは司令塔を消すのが常套手段です」
「キラービーたち……ムギを守りなさい……!」
そのまま地面に落ちるリッカ。
「見つけたぞ!お前だな!四女!」
キラービー軍隊が一気にツムギの周りに集まる!
「雷鳴発破!」
バリバリバリ……!!
ギャアアアア!!
キラービーたちは為す術なく雷を喰らい
次々と地面へ落ちてゆく。
助けに向かおうと動く、カエデとボタンの足元の影に
「影縛り!」
カカッ!!
クナイが打ち込まれる!
「ああ……!」
「くっ!」
動きを封じられたカエデとボタン……
動けないカエデとボタンに向かって刀が振り下ろされる!
「イザナミ流剣術!百花繚乱!」
「させるかぁぁ!」
「黒鉄流剣術!【黒閃】!」
キィィィン!!
間一髪のところでヨミの刀を受け止めたのはアヤメ!
「……ちっ」
「貴様の相手はわたしだ!ヨミ!」
「姫さん!」
「主様!」
カエデとボタンのクナイはアヤメに蹴り飛ばされ
二人はツムギと鳴雷神の元へ!
キラービー軍隊はほとんどやられてしまっている。
「く!間に合え!?」
「縮地法!雷鳴発破一閃!」
バリバリバリ!
雷鳴発破の一点集中攻撃が
無情にもツムギの胸元を捉える!
「きゃぁぁぁぁぁ!!!」
ピシャァ!
「主様ぁぁ!!」
「姫さん!!」
討たれたツムギ……
ツムギはその場で崩れ落ちてしまった……
……ドサリ
胸を一点狙い撃ちして気を失わせる技。
「く!あいつ早すぎます!
雷魔法ライトニング!」
ピシャァ!
ゴゴゴゴゴ!
「おっと、またそれですか?
あなた達は芸がかわりませんね?」
難なく雷魔法を避ける鳴雷神。
ツムギの元へ辿り着いたカエデとボタン。
「アレに捕まったらあの瞬間移動で
連れ去られるでありんす!」
「ボタン!主様を!私が食い止めます!」
そう、目的はツムギの捕獲。
鳴雷神がツムギを捕まえた瞬間、
縮地法で移動されれば追いつける者はいない――!
カエデは大きな結界を張り
鳴雷神を食い止める!
気を失っているツムギを守り切れるか――
「ほえ〜びっくりしましたわ〜!」
すぐに、ムクリと起き上がるツムギ。
「姫さん!?無事でありんす?」
「はい〜♪」
「なに!?一閃を胸に打ち込んだはず……!?」
「主様!?」
ツムギの胸元にあるのは大きな絵本。
「あらあら〜♪わたくしのことを
ウララが護ってくれたのですわ〜♪」
まさかの絵本の分厚さでガードに成功していた!
「ち!まさかしくるとは!
四女だけは手加減しないといけなかったのが
仇になったか……!」
「ウララ〜♪愛していますわ〜♡」
絵本にスリスリしだしたツムギ。
ここで
ツムギはまたも――
奇跡を起こします。
ずっと、ずっと、何度も、何度も……
絵本に対し
【ウララ】と
呼び続けていました。
そして、今の雷のショックも合わさり、ついに
絵本への【授名】が覚醒したのでございます――
「――ウララ――ウララ――
そう、あたしの名前はウララ!」
絵本は光り輝き
人と成ります――
ウーラーラー♪
絵本の中から飛び出したその主人公は
まさに絵本の中の主人公
そのものの姿で顕現したのです――
「トゥインクル☆トゥインクル☆ウララララ〜♪」
「ああああ……!!!」
「魔法少女☆トゥインクルウララ♪
悪い人はお仕置きですよっ!にぱー♪」
「ウララちゃぁぁぁん!!!」
ついに本物の魔法少女トゥインクルウララを
顕現させてしまったツムギ。
あまりの興奮にどばっと
鼻血を吹き出してしまったのは
あまりにもかっこ悪いので
見なかったことにいたしましょう……




