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23話 妖刀


「ヨミ様。土雷神が到着しました」


「悪かったな急に呼び出して

どうしても捕らえたい一味がいてな」


「ヨミ様と鳴雷神で取り逃すとは

どれ程のやつらだ?

俺のスキル【索敵】でそいつらを

探せってことだろ?」


「ああ。生け捕りしたくてな。

だが手加減してではなかなか骨のある連中だ。

このフロンティア国内におそらくまだいるはずだ。

たのむぞ。」


「へえ?久しぶりに面白そうな仕事じゃねえか」


招集された八雷神のもう一人。

土雷神のスキル【索敵】は地面に微量な雷を

流し込みその反応で標的を探すという能力。


「アマハラ家の四女?

聞いた事ねぇな?

は?伏雷神をやったのもそいつら?」


「ええ。おそらくですが。

わたしの縮地法も見られて逃しましたので

次は総力戦になります。

頼みますよ土雷神」


「へえ?いいね、たぎってきたぜ……」






⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆







宿に戻ってきたアヤメとハク。


「ムギ様。刀を一振り購入しました。

わたしは追加の装備はいらないなどと

言っておきながら掘り出し物だったものでつい――

ムギ様?」


ボタンの膝の上に座ったツムギは

何やら絵本をボタンに読んでもらっている。


「やっと大人しくなったから

ちょっとあとにしてあげてくれる?」


「どうしたのだ?リッカ」


「魔法少女トゥインクルウララの最新絵本が

街で売っててね。それを買って

さっきまで走り回るわ真似事するわで

散々暴れ回ってたんだけど

やっとボタンがムギの母親?の声真似をして

絵本の読み聞かせをして大人しくなったとこよ」


「そ、そうか……」


ボタンのスキルは【幻覚】。

幻覚を見せたり

幻聴を聞かせたり。


夢の中に入り込めば

かなりの規模の夢の世界を展開し

洗脳の域に達してしまう。

現実では多少混乱させる程度だが

夢の中に至ってはご存知の通り

国をも滅ぼしかねない

ほぼなんでもありの無敵に近い能力。


今回はツムギの母親の声色を

幻聴として真似をして

絵本を読み聞かせするという状況に。


ツムギは目がとろっとして

ヨダレをたらしながら

ボタンの読む絵本に夢中になっている。


「ナデシコ様の声色とは……

ボタンのやることは本当に規格外だな……

なんだか危険な匂いがぷんぷんする」


「さっきまでの暴れ回るムギを見てたら

そんなこと言えなくなるわよ?

アレを見てたあたしらからしたら

よく大人しくさせたもんだと賞賛に値するわ?」


「そ、そうか……」


「主の銃の練習はどうだったわん?」


「ダメね?話にならないわ?

百発撃って一発も的に当たりゃしない」


「相変わらずわん……」


「やはり護身用程度ではアテにはできないな……!

我々でしっかり護衛をしよう」


「はぁ〜ん【ウララ〜】♡

わたくしの愛するウララは最高ですわ〜♡」


絵本を抱きしめうっとりしているツムギ。


「ボタン〜ありがとう〜

とても素敵な思い出と

絵本の世界を堪能できましたわ〜♡」


「ツムギ……わたしの可愛いツムギ……」


「はぁぁあん♡お母様〜♪」


「いや、危ないな?

あまりやりすぎないようにしてくれよボタン」


「ふふふ♪承知でありんす〜」


「あぁんアヤぽんおかえり〜

大丈夫ですわよ〜

ボタンの能力だと

きちんとわかっていますわ〜♪」


「……これ刀を購入しまして」


「全然かまいませんわよ〜

むしろ遠慮などせず

買ってくれてよかったですわ〜」


「なんだいその刀?

えらく禍々しい雰囲気をしてるじゃないか?」


「おお、ボタンはわかるのか?

わたしも違和感を覚えて購入したのだが

どうも妖刀らしくてな。

ヤマト国の名工の業物なのだが

呪われているらしいのだ」


「カエデの魔法では何かわからないかい?」


「魔法でかけるバフなどならわかりますが……

これは私の管轄外でございますね……」


「名工マサムネ様の業物ですか〜

お名前はたしかによく聞く名工ですわね〜」


「こちら千の鳥と刻まれています。

これが刀の名前でしょう」


「アヤぽん、これは千鳥……

【チドリ】と読みます。

千の鳥そのままよりも

千を取るという語呂合わせで

勝運祈願や目標達成という

縁起物としての名前なのですよ〜」


「なるほどです。

……そうか、失態を犯した今のわたしには

ちょうど良いかもですね……」


「へぇ、ムギムギはたまに博識にゃ?」


「名付けに関しては

わたくしのスキルのこともあり

多少勉強はしましたから〜

こういうものの語源などは少しだけ人より

わかるかもですね〜」


「さすが我が主様……ポッ」


「ガルル!!!」


え?


「どうした!?ハク!?」


「その刀おかしいわん!!」


「え?」


「柄に目と口があるわん!

さっきまでなかったわん!!」


「なに!!?」


「アハハハハ!!

なんやこれ!?ワイの刀身に

何をしよったんじゃ!?」


「うわぁ!刀が、喋ったァァ!?」


「あらあら〜?」


「なんやお前鬼の子か?

ワイの新しい持ち主はお前か?

ほなワイに命を吹き込んだのは

お前の主のほうやな?」


「まぁまぁ〜♪刀がお喋りになるなんて〜♪」


目をキラキラさせているツムギとは

対照的に身構えるみんな。


「呼吸してるにゃ!?」


「まさか……これ」


「アハハハハ!

よろしく頼んますわ

ワイの名はチドリ言いますねん

ワイを手にしたことぉ

良くも悪くも後悔はさせまへんで〜……!?」





――さすがはツムギ様。


刻まれた刀の名をふと読んだだけで


授名してしまうとは……


どうも授名の能力自体のお力もやはり

あがっているようでございます。





さぁ、ついに刀にまで授名してしまいました。


新たな仲間


【妖刀のチドリ】は


ツムギ一行にどんな奇跡を


もたらすのでしょうか――
















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