18話 悪い夢から覚めましょう
インディ国のお城に
招待されたツムギ。
今回の付き添いは
アヤメとこっそり服の中に忍び込んでいる
リッカの二人だけ。
あとのメンバーは宿で留守番。
獣人は目立つし、
カエデには万が一何かあった時のために
控えてもらっている。
「よく来られたなムギムギ殿。
我がインディ国王
マハラジャ・シルバである!」
「ご招待感謝いたしますわ閣下」
「我にお告げがあった。
お主を城に招き、
会食の場を設けるようにと」
「あらあら〜まぁまぁ〜
夢の神様のお告げが聞けるとの話は
真でございますか〜
さすがは閣下でらっしゃいます」
「うむ。二人きりにて会食をおこなう!
ほかの者は席を外すがよい!」
「ムギ様!?さすがに二人きりというのは……」
「アヤぽん。構いませんわ。任せてください」
「(あたしが、こっそり服の中に潜んでるから〜)」
「(頼むぞリッカ)」
王様とまさかの二人きりの会食となったツムギ。
「うむ。夢の神より話は聞いた。
我以外で初めて神と会話をしたのだな?」
「光栄なことでございます」
「夢の神とは夢の中でしかやり取りができぬ。
だがしかし、我を導き、この国を護ってくださる。
そんな神と会話ができたムギムギ殿は
特別な存在である。よって、我にも
なんの遠慮もせず話をするがよいぞ」
「あらあら〜良いのですか〜?」
「うむ。ムギムギ殿の話を聞くようにとの
神のお告げである」
「そうですか〜では遠慮なく〜
まず、戦争をおやめくださいませ閣下」
「戦争を指示したのは神のお告げぞ?」
「ええ。そのためにわたくしが
ここへ呼ばれたのでございますから〜」
「どういうことだ?」
「あの夢の神様は……神様ではございません」
「……な!
お、おい!?
なんというバチ当たりな!?
愚弄は許さぬぞ!?」
「アレは……悪魔でございます閣下」
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まだ幼い頃から
次期国王となるために
英才教育を受け続けていたシルバは
毎日の勉強や鍛錬に、ほとほと疲れ果てていた。
そこへ現れたのは神々しく光り輝く
空から舞い降りたまさに神のお姿。
「おお神よ……!なんと美しいお姿……」
「なんだ小僧!?
あちきが見えるのかい?
珍しいこともあるもんだね
ケタケタケタ♪
残念ながらあちきは悪魔。
神様でもなんでもないさね」
「何をおっしゃいますか神よ。
どうぞ我をお導きください」
最初はただの退屈しのぎだったのかもしれない。
サキュバスは夢の世界の中で
初めて自分と会話をしてきた
この国の王子と少しだけ
退屈しのぎに遊んでやろうと――
王子の愚痴も相談も
サキュバスは何でも聞いてやった。
「そうか、ならばお前は特別なチカラがあると
民に伝えよ。あちきが民に夢を見させて
全てお前の言う通りにことを起こしてやる」
「そんなことが出来るのですか……!」
「お前にとってよくないものは排除してやる。
そしてお前の都合の良いように
ことを運んでやるさ。どうだい?」
「ありがたきお言葉……!」
サキュバスは夢の中でしか人と関わることはない。
現実では干渉はできない。
毎日同じ夢を見させることで
民に夢か現実かをわからなくさせた。
王も含めて国中の民の夢の中へ
侵入することができるサキュバスは
その者の記憶の中にあるモノや知人、情報を使い
民へアプローチをかけることができる。
だがしかし、それはその人の記憶の中の
人物を通じてでしか伝えれない。
サキュバス自身が人と会話をするというのは
この国の王子、シルバだけであった。
シルバは何かあれば夢の中で
サキュバスに相談をする。
サキュバスは唯一
自分を自分と認識して
会話をしてくれる
この王子とのやり取りを
楽しんでしまうようになっていた。
そう――
サキュバスは孤独だったのである。
サキュバスにとってはシルバは
初めてできた【友達】だったのだ。
次第にやり取りはエスカレートしていく。
シルバは何をするにも
全て夢の神へ相談をする。
サキュバスは唯一の友達のために
何もかもをするように。
自分でなんの判断もできない
情けない王と
そんな王を崇拝する民を
夢の中で洗脳して作り上げてしまい
もうこの王と悪魔は
すでに
取り返しのつかない
後戻りのできない状況になっていたのである。
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「閣下。最初からあのお方は自分のことを
神などと名乗っておられません。
閣下が勝手に解釈をされただけでございます。
そうでございますよね?」
「そ、そんな……ち、ちがう!
あのお方は!夢の神!
夢の神のお告げなのだ!」
「なぜわたくしをここへ呼んだか
それは……もう閣下との今の関係を
終わらせるためでございます」
「そ、そんな……我は神に見放されるのか……」
「閣下……もうご自身でもお気づきなのでしょう?
もうお互いが依存しあってしまっていること……
このままでは国はダメになってしまうこと……」
「や、やめろ!お前の勝手な解釈であろう!?」
「いいえ閣下。
さぁ、あとはご自身で
お話をしてくださいませ……」
「ま、待ってくれ!おい!ムギム……」
そのままシルバは力を失い気を失ってしまう。
「……ありがとうリッカちゃん」
シルバの首元に針を刺し眠らせたのはリッカ。
「言う通りしたわよ?いいのね?これで?」
「ええ。もう、大丈夫ですわ
あとはご本人同士で……」
きっと
大丈夫
お互いにとって
それは
かけがえのない存在
お互いにとって
最適な答えを
2人でしっかりと
話しをしてくれると
信じていますもの……




