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17話 夢喰いの悪魔


「それは、夢というものなのですよ〜」


「にゃーを騙そうとしたにゃ!?」


「夢の中での出来事でしょ?

なら問題ないじゃない」


「そうだね。夢でよかったね」


「夢でよかった!?なんでにゃ!?」


「それは眠っている間に見た幻でございます」


「……ほんとにゃ?問題ないアルか?」


「ええ。大丈夫です。夢ですから。

しかし、わたしもこの宿に泊まってから

やたらいやな夢を見ている気がする……

どんな夢だったかは思い出せないが……」


「そういえばハクもよくうなされてますわね〜」


「くぅぅん」


「……」


「まぁ違う国の宿に泊まっているし、

寝つきが悪くなることもあるだろう。

枕が変われば悪い夢を見ることもあるさ。

マハラジャ・シルバ王に感謝をこめて

また今日もゆっくり眠ろう」


「そうね。ヴァンパイア。

素晴らしきインディ国王に祈りを捧げましょう」


「……」


「マオマオ?どうしましたか?」


「これも夢にゃ?」


「あらあら〜?」


「マオマオは寝ぼけているのでございます」


「ふふふ」


「……」




インディ国の宿に泊まって1週間。


お偉い様方と外交問題を解決するような

場を設けることができるわけもなく

結局ダラダラと

滞在を続けてしまっているツムギ一行。


すぐというわけではなさそうだが

あきらかに軍を編成して戦争の準備を始めている。


ゆっくりしていて大丈夫なのだろうか……?





その日の夜――




ツムギはアマハラの屋敷にいた。


「まぁまぁ〜お兄様も姉様も

みんな揃っているなんて

なんて珍しいことでしょう〜♪」


アマハラ本家にツムギの兄弟姉妹が

全員集合している。


普段国中に別れて領地を統治したり

国の内政に勤しんだりと

それぞれアマハラの兄弟姉妹は

忙しくすごしている。

全員集まることなど

正月でも難しい。


「セイメイお兄様。見てください。

ハクが獣人化しましたのよ」


「……」


「ヒミコ姉様。見てくださいませ。

アヤメがわたくしを守って鬼人と成りましたのよ」


「……」


「お兄様姉様……」


「動物と遊んでいるだけの我が愚妹よ!

貴様にはほとほと呆れたわ!」


「まぁ……お兄様?」


「ツムギ!お前を産んでから

母様は具合を悪くされたのよ!

あなたさえ産まなければ!」


「ね、姉様……ご、ごめんなさい……」


「役たたずめ!」


「お前なんかいなければ!」


「……うう……」


悲しみに打ちひしがれるツムギ……


呼吸が乱れる。


「……はぁ、はぁ……」


呼吸……?


はて


呼吸とは


なんでございましたっけ……









――ムギムギ――





……あっ!




「マオマオ師範!」


「お気楽妹め!」


「……呼吸!呼吸ですわ!」


「母様を返せ!ツムギ!!」


ちがう……!!


呼吸を


していない……!!


これは


偽物……!


いや


夢の中でらっしゃいますわ!


「あなたは!」


「?」


「どちら様でいらっしゃいますの!」


「……」


「わたくしのお兄様姉様の

真似事はおやめくださいませ!」






「……お前こそ何者でありんす?

あちきの支配を超えて

干渉してくるなんてさ」



「……やはり、見つけましたわ。

マオマオ師範の言うことは間違いなかったですわ」



――ムギムギ。

何かおかしいと思ったら

呼吸を見るアルヨ。

そうすればきっと真実が見えるにゃ!――



「チャイの人間じゃない?

ヤマト?

くくく。

どこの誰かは知りませんけど

あちきに干渉できたやつは

お前で2人目だよ。

やるじゃないか?

褒めてやるよ」


「それはそれは光栄ですわ〜♪

わたくし、ツムギと申します。

押忍!ですわ♪」


「あちきは夢喰いの悪魔。

サキュバスなんていう言い方の方が

一般的だろうね?」


「まぁサキュバス様。

悪魔様でらっしゃいますのね〜

素敵ですわ〜♪」



すでに


この場は

ツムギとこの悪魔の二人だけ


「一人目とはマオマオ師範のことで

ございまして?」


「ん〜?

いや、チャイのやつらは

夢の中だとは気がついても

あちきに干渉までは出来ていない」


「あらあら〜そうなのですね〜」


「ああ。あちきに干渉できたもう一人とは


この国の王。


マハラジャ・シルバ


ただ一人だったよ」


「あらあら〜ではやはりわたくしは

とても、光栄なことなのですね♪」


「そうでありんす。で?なんだお前は?」


「はい〜あの〜王様に〜

ちょっと、戦争お控えいただきますよう

お伝えくださいませんか〜?」


「お前になんの関係があるのさ?」


「ええ〜少しだけお世話になったので

恩返しといいますか〜」


「はぁ?なんだお前?嘘をついてるな?

この空間ではあちきに嘘は通用しないぞ?

お前の精神と直結しているからな?」


「あらあら〜お恥ずかしい〜

では正直に言いますね〜?」


「ああ。小細工は無駄でありんす」


「では――

夢か現実かを

わからなくしてインディ国を

裏から洗脳するのを

おやめいただけませんか〜?」


「……!」


「にぱー♪」


「ケタケタケタ♪

面白い娘でありんす♪」


「悪魔様――

わたくしが干渉したことにより

とても嬉しそうでしたし

そして今また悲しい表情をされています〜

きっと、あなた様は

苦しんでおられるのでしょう?」


「……」


「わたくしがお力になれることは

ございませんか?」


「ツムギと言ったな。

ケタケタケタ♪

面白いな

よかろう

お前さんの顔を立ててやる

……悪い夢から醒めるがよいぞ」


「あらあら〜?」









⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆





翌朝



宿のツムギの元へ来客が。



「えと、ムギムギ様はこちらですか?」


「ああ。そうだが?」


対応するアヤメ。


「こちらムギムギ様宛に

我が国王マハラジャ・シルバ様より

城への招待状でございます」


「え!」



王様から!?



呼び出し!?



「ええええ〜!!??」





「ふふふ♪

やっと、お偉い様に

お会いできますわね♪」






さすがツムギ姫。


王様との謁見に


ついに


こぎつけたようでございます……!






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